ソウル・コレクター



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初公開日(参考)2009年10月
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長編小説

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ソウル・コレクター

2009年10月29日 ソウル・コレクター

科学捜査の天才リンカーン・ライムのいとこアーサーが殺人の罪で逮捕された。自分はやっていない、とアーサーは主張するも、証拠は十分、有罪は確定的に見えた。しかしライムは不審に思う―証拠がそろいすぎている。アーサーは罠にかかったのではないか?そうにらんだライムは、刑事アメリア・サックスらとともに独自の捜査を開始、同様の事件がいくつも発生していることを知る。そう、姿の見えぬ何者かが、証拠を捏造し、己の罪を他人になすりつけ、殺人を繰り返しているのだ。犠牲者を監視し、あやつり、その人生のすべてを奪い、収集する、史上もっとも卑劣な犯罪者。神のごとき強大な力を持つ相手に、ライムと仲間たちはかつてない苦戦を強いられる…。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.33pt

ソウル・コレクターの総合評価:7.38/10点レビュー 40件。Aランク


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全3件 1~3 1/1ページ
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

情報化社会の恐ろしさ

リンカーン・ライムシリーズ8作目の敵は他人の情報を自在に操るソウル・コレクター。彼は他人の趣味趣向を調べ上げ、その人の持ち物と日々の行動範囲などから証拠を捏造し、犯人に仕立て上げる連続殺人鬼だ。

通常殺人事件の犯人となれば自身を特定する情報を失くすために慎重に痕跡を消し去るものだが、今回のソウル・コレクターは逆に他者を特定する証拠を残すことで捜査の眼から自身へつながるルートを誤操作させる。それはデジタル化した個人情報を巧みに操ることで可能とする。まさに過剰化する情報化社会が生んだモンスターなのだ。

リンカーン・ライムのシリーズではしばしば「ロカールの原則」というのが引用される。すなわち犯罪が発生した際、犯人と犯行現場と被害者との間には例外なく証拠物件が移動するという原則だ。
本書の連続強姦殺人鬼ソウル・コレクターはこの「ロカールの原則」を逆手に取って捜査を誘導する、まさに鑑識にとって天敵なのだ。

それに加えて前作の宿敵ウォッチ・メイカーの追跡も行われる。彼と思われる人物がイギリスへ逃亡したことを知り、ロンドン警視庁と共同で捕獲作戦を行う。

さて本書の題名ソウル・コレクターだが、実は一度も作中に登場しない。作中では未詳522号もしくは素っ気なく522号と呼ばれるだけ。5月22日に発生した(発覚した)事件の容疑者だからと由来も素っ気ない。
つまりソウル・コレクターとは訳者の創作による命名なのだろうと思ったら、実はディーヴァー本人が訳書のために挙げた候補の中から選ばれたそうだ。なんというサーヴィス精神か。

ちなみに原題は“The Broken Window”。作中でも語られるがいわゆる「割れ窓理論」を指す言葉だ。
窓ガラスが割れたままだとその状態が当たり前になり、人の心も荒んで犯罪が増えるという理論だ。これはニューヨーク市長がスラムの割れた窓を補修し、建物の落書きを消して綺麗に整備したことで犯罪発生率が激減したことからも証明されている。実に有名な話だ。

しかし本書ではもう1つの意味を持っている。それは人々のプライヴェートを割れた窓から覗くというものだ。そうすることで個人の情報を白日の下に曝し、その人の行動を先読みし、誘導していく。趣味嗜好まで把握し、また個人的な悩みも知らされる。人相が似ている犯罪者を捜し出して、逆に警察官を犯罪者として通報し、誤認逮捕を行わせようとまでする。

それらの情報は今我々が使っているインターネットは勿論の事、クレジット・カード、銀行のATM、日本で云うところのETCの通過記録、市街に設けられた監視カメラ、警察の免許証更新記録などなど通信機能を備え、電脳空間を介する行為が蓄積されたデータバンクから引用されるのだ。しかも記録されることを逆手に取り、盗んだ個人情報を悪用して買い物をし、精神カウンセラーの案内を取り寄せたり、出退勤記録も改竄して、さも冤罪者が犯罪者であるかのように誤導するのだ。

これは堪らない。
なんせいつもと変わらぬ朝を迎えたところにいきなり警察が乗り込んでくるような事態に陥るのだから。まさに情報化社会の恐ろしさをまざまざと思い知らされた。

さらに敵の氏素性が解ると今度は情報を操作し、あらぬ罪を被せ、身の覚えのない借金を抱えさせられる。
アメリアは父親から譲り受けたカマロを没収され、ライム宅は電気料金未納で電気を止められ、ロン・セリットーは麻薬所持の罪で停職処分にさせられ、プラスキーは妻と子供が不法滞在者として拘留させられる。
いやはや情報というものがこれほど我々の生活を脅かす存在になるとは思わなかった。

本書に出てくるデータ・マイナーというあらゆるデータを保存する会社は存在している。知らないうちに我々も番号化され、趣味嗜好、思想や人間関係の繋がりなどがどこかでデータ化され蓄積されているのだろう。いわば見知らぬ誰かに丸裸の自分を把握されている状況だ―何しろ長らく秘密とされていた介護士トムのラストネームでさえ判明する―。
だからこそこのような個人情報を扱う会社はセキュリティを絶対無比の物にしなければならないし、また情報を扱う社員も人格者でなければならない。情報化社会と一口に云うが、その重大性や脅威について本書でその本質を知らされた次第だ。

しかし本書は真犯人が誰かとかウォッチメイカーは捕まったのかよりも情報の持つ恐ろしさをまざまざと思い知らされたことが大きい。
モバイル機器のCMで「いつもどこかで誰かとつながっている」なんてコピーが温かみを持って流されるが、その裏に潜む怖さが本書を読むことで先に立つ。
便利になった現代社会の歪みを見事エンタテインメント小説の題材に昇華したディーヴァー。まだまだその勢いは止まらないようだ。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

ソウル・コレクターの感想

リンカーン・ライムシリーズの個人情報をテーマにした作品です。
実際に作中のことが自分の身に行ったらと思うと背筋がゾッとしてしまいました。

▼以下、ネタバレ感想

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松千代
5ZZMYCZT
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

ソウル・コレクターの感想

1作目から読んできましたが、ここに至ってちょっとネタ切れ感がしなくもないかなあと。
ストーリーの構成とか緊迫感はそれなりに面白いのですが、ちょっと現実からかけ離れすぎている気がします。
今回は得意の物的証拠があまり活躍してなかった気がするし、アメリカではどうなのかわかりませんが、日本では高額の不動産の売買がオンラインだけで済ませられるなんて、ちょっとありえない気がします。
まあ、だんだんそんな世の中になっていくのかもしれませんが・・・。
次回作がまだ和訳されていませんが、あの人が復活するようなので期待したいなあと。


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たこやき
VQDQXTP1
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.37:
(3pt)

重箱の隅の隅のスミ

4作目の「石の猿」は、
作者の文革や毛沢東について錯誤があまりにひどかったが、
訳者さんには、あれっと思うような誤字脱字が目立ちました。
今回は、69P上段の「リンカー・ライム」は「リンカーン・ライム」でしょうし、
465P上段「燃えるような神」ではなく、「燃えるような髪」でしょう。

476Pの下段『「怪我はないか」ゴードンがサックスに歩み寄ろうとした。』
は、「ゴードン」ではなく、ジョーゲンセンでしょう。
5行前に「ゴードン」は、「白目をむいて仰向けに倒れ、そのまま動かなくなった」とあるし、
12行あとには「身動きできずにいるゴードン」とあるのだから。

わざわざ指摘するのも、ヤボというものでしょうが、
この訳者さんのほかのリンカーンシリーズでも、あれっと思うような記述があります。
このようなケアレスミスがあると、ちょっと興ざめします。
ソウル・コレクターAmazon書評・レビュー:ソウル・コレクターより
4163286608
No.36:
(3pt)

ソウル・コレクター 下

盗まれる個人情報、改竄されるデータ。知らぬ間に罪を着せられる恐怖!
殺人容疑で逮捕されたいとこを無実とみたリンカーン・ライムは、冤罪とおぼしき同様の事件の発生を突き止める。共通の手がかりが示したのは、膨大な情報を操る犯人像。真相を究明すべく、ライムのチームは世界最大のデータマイニング会社に乗り込むが――。データ社会がもたらす闇と戦慄を描く。
ソウル・コレクター 下 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:ソウル・コレクター 下 (文春文庫)より
4167812126
No.35:
(4pt)

面白い!

アマゾンで買った本のみレビューしています。物語・作り話が好きなので小説しか読みません。リアリテイー等は関係ありません。事実と違うなどと言ってる人がいますが、なぜ事実じゃないと知っているのでしょうか?学者が書いているから?不思議で仕方がありません。物語では信長は本能寺で死ななくてもいいのです。面白いか面白くないかのみが判断基準です。それではよろしくお願いします。
ソウル・コレクター 上 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:ソウル・コレクター 上 (文春文庫)より
4167812118
No.34:
(2pt)

前作の反動 (上)

ミステリーのレビューですので、なるだけネタバレにならないように気を付けてご紹介したいと思います。

今までのライムシリーズは、「エンプティー・チェア」を除いて、どれも「どこにいるか分からない犯人を索敵する」お話だったと思います。一方、今作は主な舞台であるデータマイニング会社のSSD社内にいるであろう犯人を「容疑者たちの中からあぶりだす」お話だと思っています。そのため、今までと違う傾向に最初は期待していました。
ところが、この小説はミステリーのはずが、やたらと「情報サービス」についてのうんちくが多く、私がその方面に疎いということを割り引いても読み続けるのに忍耐を要しました。
また、本来は上巻においても、ディーバーお得意の小さなドンデン返しがあってもよいものですが、それもほとんどなく、傑作の評価が高い前作「ウォッチメイカー」の反動がここに来たのかと思うほどでした。

そして、その分は下巻で盛り返すのかと思いきや、そうではない点が今回は残念な所です。
ソウル・コレクター 上 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:ソウル・コレクター 上 (文春文庫)より
4167812118
No.33:
(2pt)

前作の反動 (下)

ミステリーのレビューですので、なるだけネタバレにならないように気を付けてご紹介したいと思います。

今作の一番の失敗は、前作に引っ張られすぎたことにあると思います。それは、作者自身が、この作品の犯人、プロットだけでは話が盛り上がらないということを最も身に染みて感じていたからではないでしょうか。
そうでなければ、ウォッチメイカーをあのように登退場させはしないでしょう。まるでこの小説は、次作の予告編のような扱いです。作者は、彼を「ライムにとってのモリアーティ教授」にしたいのかもしれませんが、それでは、一つ一つの作品を作者自身が台無しにしているように感じられます。今回の犯人に関わるドンデン返しも、(どれとは言いませんが)以前のある作品を踏襲しており、作者は前作で精魂尽き果てたのではないかと勘繰ってしまいます。

また、ライムといとこのアーサーとの関係も、個人的にはライムと「石の猿」のソニー・リー刑事との友情関係や、前作「ウォッチメイカー」におけるサックスと彼女の父親との愛情関係ほどには心に響かないものでした。
ただ、最後の数行や、作者と故児玉清氏との対談はとても良かったです。
ソウル・コレクター 下 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:ソウル・コレクター 下 (文春文庫)より
4167812126



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