監禁



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初公開日(参考)1998年01月
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長編小説

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監禁 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

2000年08月31日 監禁 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

神に憑かれた牧師アーロン。彼は神への生贄として少女を誘拐、朽ちかけた教会に監禁する。置き手紙から当初は家出と思われたが、状況に不審な点を感じた少女の父親テイトは、元妻とともに娘の行方を追う。テイトの協力者を悪魔的な機知で次々始末していくアーロンが最後に目指すものは?狂気に満ちた誘拐犯と追跡者たちの二つの物語が交錯したとき、驚愕の真相が!『静寂の叫び』に続く、緊迫感溢れる傑作サスペンス。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

監禁の総合評価:6.64/10点レビュー 11件。Cランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

味気ない邦題は何とかならないものか

前作『眠れぬイヴのために』は追う者と追われる者の物語だったが本書もまたその構成は同じである。『眠れぬ~』では逃亡した精神分裂症患者をそれぞれの事情を抱えて複数の人物が追い求めるという構成だったが、本書も娘を監禁した誘拐犯がその離婚した両親、娘の元彼氏、娘の父親と親しい刑事に追われる物語になっている。
つまりこの2作は実に似通った作品だといえよう。

精神異常者が主要な登場人物として扱われていることもまた同じだ。『眠れぬイヴ~』では追跡者であるマイケル・ルーベックは精神分裂症患者だったが、本書では被誘拐者のミーガンが情緒不安定でセラピーを受ける人物になっている。
そして誘拐者で敵役のアーロン・マシューズもまた小さい頃に父親から虐待を受けており、神父でありながらも殺人を厭わない残忍さを兼ね備えている。

このアーロン・マシューズという敵役は実に凶悪で底知れぬ恐ろしさを兼ね備えた人物だ。十代の頃に父親を凌ぐ説教を行う神父の卵として数々の信者から篤い信仰を得、さらに独学で心理学の書物を読み漁って無免許のセラピストとして開業もしている。そのため無敵なまでの腕力を誇るわけではなく、相手の心理を読み取り、信頼感を抱かせる声音を使って、追跡者を出し抜き、あの世へ送るサイコキラーなのだ。どんな人間も心の弱いところを突かれると冷静さを失い、いつもの自分の実力の半分も出せなくなる。
アーロンは人が持っている心の弱い部分を探り、その隙を上手く突いて相手の一枚も二枚も上に行くのだ。通常の作品であれば残るべき登場人物が次々と一人、また一人と彼の手によって抹殺されていく。従来の連続殺人鬼のイメージを刷新するキャラクターだ。

そんな相手に対峙するのがかつて敏腕検事として鳴らしたミーガンの父テイト・コリア。彼はそのあまりに弁が立つため、その切れ味の鋭さからかつて陪審員を見事に誘導させて無罪の人間まで死刑にまで持っていった苦い過去を持つ。
つまり相手の心理を読み、説得し、納得させることに関しては一流の男なのだ。人間の情理を操る2人の男の対決が本書の読みどころだ。

しかしもっと掘り下げて考えてみると、無実の罪の男を死刑に追いやるほどの説得力を持つ検事もまた、乱暴な云い方をすればある意味殺人者と云えるだろう。
つまりテイト・コリアとアーロン・マシューズは表裏一体の存在なのだ。しかもお互いがお互いの正義に従ってそれを成しているところが共通している。
検事であったテイトは法の名の下、犯罪者を死刑にするため、弁舌を揮う。
牧師であったアーロンは神の名の下、信者が自ら死を選ぶよう、人の心を揺さぶる声音で導く。
それぞれが善を司る職業に従事しているだけにこれは怖い。

そしてこの類稀なる頭脳を持った人間同士の戦いという構図は後のリンカーン・ライムシリーズの萌芽を感じさせる。そういった意味では本書が後のディーヴァーマジックの源泉と云えるのかもしれない。

彼アーロンがなぜテイトの娘を誘拐し、生贄に捧げようとするのか?その理由は実はかなり前からエピソードとして読者の前に提示されている。
テイトが自らの弁舌で死刑に追いやった青年が実はアーロンの息子であったのだ。アーロンは息子の敵を取るため、神の言葉に従い、テイトの娘ミーガンを誘拐したのだった。
しかし彼は幼い頃から誰にも愛されなかった経験ゆえに、唯一の理解者で話し相手だった息子が恋人に取られてしまうのに焦燥感を持ち、彼の恋人を殺してしまう。その罪を数ある証拠から息子本人に被せてしまったという皮肉な過去があった。このことからも実に利己的な孤独な男としてアーロンが描かれているのが解る。

しかし本書は『眠れぬイヴのために』の冗長さを感じさせない物語巧者としてのストーリーテリングの上手さが光る。上にも書いたようにアーロンが次から次へ追っ手を葬り去る手際といい、セラピストとしてミーガンの両親であるベットとテイトに直接対峙する綱渡りさえも見せる演出といい、サスペンスの盛り上げ方の腕が上がったように感じた。

しかし不幸なことに本書はディーヴァーの名を日本の読者に知らしめた『静寂の叫び』の後に刊行されたため、さほど話題にならなかった。逆に云うと『静寂の叫び』を未読の私にとってどれほどの出来栄えなのかが実に愉しみではある。

さて本書の原題は“Speaking In Tongue”という。解説の児玉清氏によればこれは「神の言葉を話す」という意味のイディオムらしい。
実に物語の性質と言葉を駆使するアーロンとテイトという2人の人物を捉えている題名だ。しかしこれを上手い邦題に訳すのは難しいだろう。
確かに邦題が示すように「監禁」が主題なのだが、これではあまりに素っ気無さ過ぎる。もっといい題名を考えてほしかった。

しかし追う者と追われる者というプロットといい、悪役の設定、精神を病んだ人物が出てくるあたりといい、実にクーンツの匂いを感じてしまう。前にも述べたがこの売れない時期、ディーヴァーはベストセラー作家であるクーンツにあやかろうと彼の作品をつぶさに分析し、自家薬籠中の物としようとしていたのではないだろうか。

しかし既存作家の翳を感じるようではまだオリジナリティがあるとはいえない。ディーヴァーが現在ミステリシーンを代表する作家となったその瞬間に早く立ち会いたいと思う。
それはもうそんなに遠くは無いはずだ。

Tetchy
WHOKS60S
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.10:
(5pt)

日本語版?

図書館で借りて読んでkindle版で読みなおそうとしたら洋書にリンクされていました。日本語版もkindle化お願いします。kindle化希望ボタン押せないので・・・
監禁 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:監禁 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150795576
No.9:
(3pt)

まぁまぁ

娘を拉致監禁されたテイトが、狂信的な犯人アーロンに辿り着くまでと、
そこからの待ちに待った論議バトル。
ついに来た!とここは盛り上がれた。

序盤のロットワイラーの描写が凶悪で、
ここはゾクゾク出来たんだけど問題は後半。

それは無いよ旦那といったあの人と、
ラストも、容易に予測できる範囲内で完全に尻窄み。
作品の雰囲気やテーマ、展開自体は悪くない為、
若かったのかな…という無念さがある。

独特の雰囲気はいいと思うので、これはこれで。
リンカーン・ライム、キャサリン・ダンスシリーズといった、
捜査モノに慣れてると、色々ともどかしいかな。
監禁 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:監禁 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150795576
No.8:
(2pt)

「初めに言葉ありき」だが......

「ライム・シリーズ」とは独立した作品。「初めに言葉ありき」との冒頭の聖書の引用が示す様に、「言葉」の持つ力をモチーフに、狂信的犯人の復讐劇を描いた物。犯人の「言葉」によるマインド・コントロールの様々な手口に見るべき点はあるものの(ただし、「言葉」より直接暴力に訴えた方が犯人にとって都合が良いのではと思うシーンが何度もあった)、「ライム・シリーズ」と比較すると一、二段落ちる出来。

事件の全体構造が脆弱で、ストーリー展開にも起伏を欠くため、読んでいてスリル・サスペンスを感じなかった。犯人像の造形にも既視感を覚えたし、作中で言及されている程に犯人の知能が高ければ、もっと巧緻・確実な犯行計画を練ったのではないかと思ってしまった。登場人物の何人かの再生の物語を匂わせる部分もあるのだが、これも中途半端に終っている。犯罪小説でありながら、前半の些細な記述が巧みな伏線となっている、と言ったまさに本格ミステリの王道を行く様な作者の手腕がまるで発揮されていない。内容に比して頁数が多いのも瑕疵に思えた。
監禁 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:監禁 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150795576
No.7:
(1pt)

ディーヴァー好きでも、読者は限定

日本にも多くのファンを持つディーヴァーの初期に分類される作品。
リンカーン・ライムらが活躍するシリーズを読破した読者はそれ以前の彼の作品にも興味を持たれるはず。
しかし、この物語は遅々として進まず、「ボーン・コレクター」などにみられるどんでん返しも無いまま
大団円を向かえます。−読み進めるのに苦労している間に新作「ソウル・コレクター」が発刊され、そちらを先に読んでしまいました−

この作品の意味は、リンカーン・ライムやキャサリン・ダンスなどの作品へ、
後に昇華する作家の萌芽として押さえるべきでしょう。

ジェフリー・ディーヴァーの作品群に興味を持たれ、作家としての軌跡に関心をお持ちの方のみにオススメします。
監禁 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:監禁 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150795576
No.6:
(2pt)

インパクトのある犯人、狂信的なサイコパス・アーロン

ジェフリー・ディーヴァーが『眠れぬイヴのために』の次に書いた作品。
本書には、アーロンという狂信的なサイコパスが登場し、重要な役割を演じている。

アーロンはセラピストを装い、17才のミーガンと面談し、洗脳といってもいいほど巧みに、家族や友人に対する“怒り”を誘導して家出の書置きを書かせ、それと見せかけ誘拐、人里はなれた教会に監禁する。彼はミーガンを2日後の‘聖金曜日’に殺害するつもりなのだ。

ミーガンの父親テイトは、家出とはどうしても納得できず、別れた妻、知り合いの刑事、ミーガンの恋人、元カレたちの助けを借りて捜索を開始する。
彼らはアーロンを着実に追い詰めてゆくのだが、恋人、元カレ、刑事はアーロンの魔の手にかかってしまう。

なぜアーロンはミーガンを拉致したのか・・・、やがてこの誘拐劇には5年前の冤罪事件が絡んでいることが分かる。
そしてアーロンは、過去にも無免許のセラピストとして何人もの患者に対して、無理やり“罪悪感”を引き出し、自殺や自傷行為に追い込んでいた。
アーロンはただの狂人ではなく、この日のために周到な準備と綿密な計画を練り上げてきたのだ。

ラストで、自力で脱出をはかるミーガンと、やっと教会にたどり着いたテイト、そしてアーロンの3者が合間見えた時、思いもかけない真実が明かされる。

本書の特長は、“先が読めない意外性”、“予断を許さないストーリー展開”、“スピード感のある短い章立て”、そして何より“インパクトのある犯人”である。

ともあれ、ディーヴァーは、前作『眠れぬイヴのために』と本書をはずみとして、続く傑作『静寂の叫び』、さらに、<リンカーン・ライム>シリーズ第一作『ボーン・コレクター』へと“化ける”のである。

監禁 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:監禁 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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