死の教訓



※タグの編集はログイン後行えます

【この小説が収録されている参考書籍】
オスダメ平均点

7.00pt (10max) / 1件

7.00pt (10max) / 1件

Amazon平均点

2.55pt ( 5max) / 20件

楽天平均点

4.33pt ( 5max) / 3件

みんなの オススメpt
  自由に投票してください!!
0pt
サイト内ランク []C
ミステリ成分 []
  この作品はミステリ?
  自由に投票してください!!

0.00pt

54.00pt

44.00pt

0.00pt

←非ミステリ

ミステリ→

↑現実的

↓幻想的

初公開日(参考)2002年03月
分類

長編小説

閲覧回数3,509回
お気に入りにされた回数0
読書済みに登録された回数2

■このページのURL

■報告関係
※気になる点がありましたらお知らせください。

死の教訓(上) (講談社文庫)

2002年03月06日 死の教訓(上) (講談社文庫)

半月の夜、暴行を受けた女子大生の死体が池の畔で発見された。現場に残された書き置きは捜査主任ビル・コードを名指しで次の犯行を示唆しており、血で描かれた半月が町の建物六ヵ所に一夜にして出現した。“ムーン・キラー”の凶行を恐れ、町はパニックに陥る。ノンストップ・サスペンスの王者が放つ衝撃作。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

死の教訓の総合評価:5.19/10点レビュー 21件。Cランク


■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

自戒を込めた教訓か?

今回はルーン物でもなく、ジョン・ペラム物でもない純然たるノン・シリーズの1篇。
よくよく考えてみると本書は私にとってディーヴァーの初のノン・シリーズ物だ。そのせいだろうか今まで読んだ作品に比べて主人公を務める保安官助手ビル・コードの存在感が薄いように感じた。

今回主人公を務めるビル・コードは舞台となるニューレバノン市で生まれ育った男だが、過去にセントルイス市で刑事に就いており、ある事件が元で辞職をし、故郷に戻って来た際に保安官に再就職した男だ。彼の過去とはセントルイス市警在籍中に自分のミスで同僚を死なせたというもの。再就職の際はその件については触れておらず、いつそれが暴かれるか不安を抱えている。
人物設定としてはオーソドックスと云えばオーソドックスで、しかも過去に人に死に関わり、それがスキャンダルとなったという点ではジョン・ペラムに似ている。しかしそれが本書では有機的に物語には寄与せず、単なる設定だけになっているのが惜しい。ジョン・ペラムシリーズではそれが足枷となって彼を苦境に陥れていくのに本書ではそれがない。

本書に散りばめられているのは現代社会が抱える問題である。
ビルにはセアラという学習障害児の9歳になる娘がいるが、妻のダイアンはその事実を頑なに信じようとせず、寧ろセアラは非常に悪賢い娘でいつも知恵を働かせては親を困らせようとしていると、自身の都合のいい解釈の殻に閉じこもって譲らない。さらにビルもまた薄々感じながらもノイローゼ気味の妻を思って敢えてそれを口に出そうとしない。そしてそれがビルとダイアンの夫婦間の不和を生み出している。
そしてビルたちにはジェレミーというもう一人子供がいて、彼は障害も持たず、レスリング部でエースとして頑張っている家族の希望である。しかしこのジェレミーもまたある問題を抱えている。

さらに被害者のジェニー・ゲベンは複数の男と寝る尻軽女であり、その相手の1人である大学教授助手ブライアン・オークンは彼女以外の生徒をつまみ食いしている。
他にも夫のDVに悩まされるSF好きの空想癖のある高校生フィリップなど、病んだ世相を反映しているような人物が登場する。

しかし私にはこれらがもはや全く作り物めいて見えなくなっている。寧ろこの作品に出てくる人たちは我々の隣人にいても全くおかしくない、そう思えるようになってきた。
実際私も子供を持ち、色んな親子と交流し、また子育て関係のセミナーを受けに行くと、本書に挙げられているよりももっと酷い環境の家庭があることを見聞きしているからだ。従ってここに書かれた彼ら・彼女らは私にとって現実味のあるキャラクターたちであった。

しかし本書の事件の焦点となる地方大学オーデン大学は淫欲の巣と化した伏魔殿のようだ。教師や大学院生は教え子とヤリまくり、レズやバイセクシャルが蔓延し、教師達は愛欲に夢中になっていく。
地方大学という閉鎖空間で繰り広げられる精神の歪みを描きたかったのだろうが、かなりドロドロとした状況だ。もしかしてこういうのはザラなんだろうか?

さて本書が書かれたのは1993年。この時期のミステリシーンはデイヴィッド・マーティンの『嘘、そして沈黙』などトマス・ハリスの『羊たちの沈黙』に端を発したサイコスリラーブームの只中にあった。
この洗礼をディーヴァーも例外なく受けたようで、出版社、もしくはエージェントの要請か解らないが、本書ではカルト狂信者の殺人がテーマにあり、殺人鬼の名前も“ムーン・キラー”と正にサイコキラーど真ん中のような名前のついた敵役が登場する。

しかしこれが読み進むにつれてディーヴァーの世に蔓延るサイコキラー物に対してのアンチテーゼであることが次第に解ってくる。保安官事務所の捜査方針が保安官がカルト狂信者による犯行だとみなしているのに対し、捜査主任のビルは盲目的にそれを信じることを拒み、関連性を見つけようとしている。そして決定的なのは大学の警備課長がビルの許へ持参する精神障害者による犯罪を分析した本について述べるところだ。読書の興を殺ぐので詳しくは書かないが、この内容は当時数多作られたサイコホラー物の中には安直に創られた狂者の論理による眉唾物の紛い物が出回っていたと告発しているように感じた。
私はここにディーヴァーの、安易に流行に流されまいとする作家気質を感じた。いや寧ろ流行を逆手にとってそれを自分流に料理しようとするしたたかさを感じた。

さて読むにしたがって次第によくなってくるディーヴァーだが、本書では特に上巻の引きに注目したい。アメリカの映画やミステリやホラーに出てくるいわゆるオタクの類の異性にもてない系の登場人物の1人が実に意外な人物であったという仕掛けだ。
知らぬ知らぬのうちに文章に散りばめられた人物描写に誘導されていたことがたった一行で知らされる。これがディーヴァーの技法かと感嘆した。

さらに彼のミスリードの手法がだんだんと見えてきた。つまり匿名性をたくみに利用して読者の錯覚を引き起こし、ある時点でそれを印象的な一行でズドンと爆弾のように喰らわせるのだ。つまり綾辻行人の『十角館の殺人』のアレと云えば、解りよいだろうか。

しかし今回はその爆弾を落とし損ねたのではないか?読みながら本書で作者が仕掛けた叙述トリックを見破ったと思った。

しかしなんとも暗い結末だ。読後は主人公ビルの境遇の救いのなさに同情してしまう。

この終わり方を見ると本書はどうも続編の構想があったのではないか。しかしディーヴァーが本国でブレイクしたのはこの後に出版された『眠れぬイヴのために』から。本書はさほど話題に上らなかったと思われる。ジョン・ペラムやルーンに比べれば個性もなく、シリーズキャラとしては弱い。

ディーヴァーにしてはちょっと構成力不足を感じる本書。もしかして本書の題名『死の教訓(The Lesson Of Her Death)』の「教訓(Lesson)」とはこの出来栄えを教訓として、今後の作品に活かすという作者の意図が裏には込められているのかもしれない。


▼以下、ネタバレ感想

※ネタバレの感想はログイン後閲覧できます。[]ログインはこちら

Tetchy
WHOKS60S
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.20:
(3pt)

どんでん返しのためのどんでん返し、か

ひっぱって、ひっぱって、なんだよこれって落胆する一冊だ。前半、多視点のピースが少しずつ嵌まっていき、それぞれの島を形作るまでは若干、辛抱を強いられる。それはそれで、ジグソーパズルを完成させる楽しみにも似ている。後半手前までは一気。さすがディーヴァーと思わせる。だが、そのあとド失速。どんでん返しのどんでん返しに「納得できんなあ」となる。

 犯人が一家の娘や息子に危害を加えようとしたのは、単に捜査の目を逸らせるためだったというのは説得力にかける。昔、主人公の失策で部下が数人亡くなっている。そこに関係しているのならまだしも、単に捜査の目を撹乱するために、そこまで犯人が〈思わせぶり〉に、やるか。しかも、著名な大学教授が出張と偽って、森の中の一軒家に潜んでいたって。教授は一応は犯罪被害者の関係者なのだから、捜査チームも、どうにかして居場所を特定しようとするか連絡を取ろうとするはずだ。そこを描写して、教授がどうやって捜査の目を欺いたのか、読者はそこを丹念に読みたいのだ。そして、〈なるほど〉と感嘆する。そのあたりを描写しないのが、あざといといえばあざとい。それにミスリードのためとはいえ、少年に屍姦させるってなあ。

 とにかく人間関係の描写がどれも中途半端、薄っぺらだ。父親に対する息子の態度も根拠が希薄だし、息子が激高する場面も唐突過ぎる。感情表現の描写に惹きつけられはするものの、なぜそのような行動をするに至ったのか、その裏付けや根拠に乏しい。そうなると、娘を学習障害にする設定も必要だったのかなと思ってしまう。結局、夫婦関係も中途半端なままだ。おそらく、作者は映画のシーンを繋げるように物語を創作しているのだろう。表面に現れるその奥に、突っこんでほしかった──というか、ディーヴァーの最近作まで読んで、この人はこの手の描写は苦手だなとわかってはいたが。できあがったジグソーパズルのピースの境界が微妙に緩んでいるというか、スカスカな印象というところか。
死の教訓(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:死の教訓(上) (講談社文庫)より
4062734001
No.19:
(4pt)

これはこれでアリ

初期作故に、まだ出来上がっていない部分が多いのは事実。「ディーヴァー流」が完成するのはまだ少し先、
という時期に描かれた作品である。
多くの読者が不満を感じるのは誰が悪党で誰がヒーローなのかなかなか判明しないこと、そもそも序盤では誰
が主人公なのかすら判然としないこと、やがて謎解きの中心に収まる人物も絵に描いたようなスーパーでクリ
ーンなわかりやすい魅力に乏しいこと、といったあたりだろう。
が、だからといってつまらない作品では決してない。複数のキャラクターの物語が並行して進んでいく前半の
スリルはディーヴァー作品としては異質で、むしろ新鮮に読めた。また後年の作品と比べると少々弱いがお約
束のどんでん返しもしっかり書かれている。また作品全体に通底しているアメリカの田舎町のどうしようもな
い憂鬱な閉塞感もライム・シリーズなどではほとんどない描写で、意外性がありユニーク。
死の教訓(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:死の教訓(上) (講談社文庫)より
4062734001
No.18:
(1pt)

進まないったら

現在上巻の300ページ手前あたり
一向に面白くならないし散漫でどうにもならない。

ディーバ―=どんでん返しの人 とはいえライムシリーズ以外の
秀作を読んできただけにこれは苦痛としか言いようがない。
今迄の無理くりどんでんも楽しさの一つで満足もありますが
この人の出だしは毎度ページをめくる手が進みませんね。

レビューを見ると結構初期作でしたか。
あぁまだ上巻100ページもあるのに、このあと下巻までどうなの?w
ここまで読んでなんですがもう放り出したいくらいです。
下巻まで読了すればディーバ―なりの満足感はあるのでしょうけれどね。。。
読み上げる前に現状で感想書いてみました。
私に勇気があればもうこの時点で読みませんわコレ。

※追記
勇気をもって読了しました。
本作は登場人物を増やし過ぎて緩慢になっていると思います。
よく海外小説は横文字人物名が覚えられなくて苦手という方がいらっしゃいますが
本作が初めての海外小説として手に取った方はもれなくそうなるでしょうねw

どうでもいい人々の描写が延々と続くのに、肝心の主人公の嫁さんのパーソナリティなり
過去なりの情報が2ページくらいで収まっちゃうんじゃないでしょうか。
主にただの不倫憧れ主婦という側面が伝わるだけです。
ラスト近くの犯人のミスリードだけがディーバ―節ってところですかね。
しかし10作程を読んで、なんでもありのどんでんな人と解ってきたので有難味なし。
死の教訓(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:死の教訓(上) (講談社文庫)より
4062734001
No.17:
(3pt)

なかなかでした・・・。

著書の本を読むと面白いことにいつも一気に読んでしまう。いい感じで読みました。
死の教訓(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:死の教訓(上) (講談社文庫)より
4062734001
No.16:
(2pt)

光るものはある

「リンカーン・ライム」シリーズから読み始めたので、ライム以外のこの本を読んでみた。
中々入り込めず、思いの他時間が掛かってしまった。後書きを読んで分かったのだが、ブレーク前の作品とのこと。作者が得意とするジェットコースター感も感じられず、展開も平凡な気がした。後半の数十ページは、現在の作者に通じるキラリと光るものは感じた。ライムシリーズの作者でなければ、星4つかも。
死の教訓(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:死の教訓(上) (講談社文庫)より
4062734001



その他、Amazon書評・レビューが 20件あります。
Amazon書評・レビューを見る     


スポンサードリンク