眠れぬイヴのために



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初公開日(参考)1996年04月
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長編小説

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眠れぬイヴのために〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

1998年04月30日 眠れぬイヴのために〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

記録的な嵐が近づく夜、精神病院を出た死体運搬車に積まれた死体袋をやぶって、筋肉隆々の巨漢が這い出た。彼の名はマイケル・ルーベック。俗にインディアン・リープ事件と呼ばれている凄惨な殺人事件の犯人だった。ルーベックは、裁判で自分に対して不利な証言をした女教師リズに復讐の鉄槌を下すため、脱走をくわだてたのだが。読書界の話題をさらった傑作『静寂の叫び』の著者がおくるノンストップ・サスペンス。 (「BOOK」データベースより)




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眠れぬイヴのためにの総合評価:6.55/10点レビュー 11件。Dランク


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全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(4pt)

あの本を参考に書いたのか、ディーヴァーよ

ジェフリー・ディーヴァー自身が作家生活の転機となった作品と評したのが本書。精神病院を抜け出した患者マイケル・ルーベックの逃走とそれを追う者たち、そしてマイケルを恐れる者たちの三者三様の物語。

追う者と追われる者という設定から往年のクーンツ作品を思い出した。
邪教集団トワイライトの襲撃』、『ウォッチャーズ』など彼の傑作はこの手の作品が多い。従って本書もその出来栄えを期待したが、それらと比べるといささか劣るというのが正直な感想。その先入観だけでなく、本書は随所に「クーンツらしさ」というのがそこここに見られる。

最も顕著な特徴が上に書いた逃走する者とそれを追う者の二極構造を描いたロード・サスペンス的物語構成であるが、それ以外にも敵役であるマイケル・ルーベックの造形。巨躯で怪力を誇り、精神分裂症にもかかわらず、機転で追っ手を撒くしたたかさを持っている。

またルーベックを追う者のうち、元警官のトレントン・ヘックは犬を飼っており、このエイミールという犬に絶大なる信頼を持っている。彼がエイミールを飼うに至ったエピソードは警察犬のブリーダーとしての知識を得られると共に、恐らくほとんどのブリーダーが抱いている思いをも代弁しているかのようだ。
この犬が物語のアクセントになっているのもクーンツ色を感じる。そう、まるでクーンツが著した『ベストセラー小説の書き方』をテキストにして書いたような錯覚を受けた。

ただ違うのはクーンツの敵役はこの上もなく強大な力を持ち、残忍で己のルールに従い、何者も寄せ付けない圧倒的な強さが強調され、主人公は果たして助かるのか?とハッピーエンドで終わることを予想しながらも読者は今度こそはダメなんじゃないか?と思わさせられるが、ディーヴァーの描くルーベックは精神分裂症で実はかなり臆病であり、リズに逢う目的のためにそれらをどうにか克服していこうとする。つまり敵役としてはさほど脅威ではなく、寧ろ社会的弱者ですらあるのだ。これがディーヴァーの味付けだろう。

さてこの追われる者、追う者、そして恐れる者それぞれに事情があるのは物語の定石だ。

追われる者、マイケル・ルーベックはインディアン・リープ事件で逮捕された犯罪者だ。彼は精神分裂症患者としてマーズデン州立精神病院に収容されていたが、そこを脱走し、追っ手を狡猾な知恵でまき、時には巨躯から繰り出す腕力でなぎ倒す。

追う者たち、精神科医リチャード・コーラー、元警官トレントン・ヘック、弁護士オーエン・アチスン。彼らはそれぞれの事情でルーベックを追う。
コーラーはルーベックの担当医であり、彼を保護し、被害が拡大する前に捕らえて病院へ戻そうとする。
ヘックは病院から提示された1万ドルの賞金を元手に別れた妻ジルとよりを戻すことを求めて彼を追う。
しかし次第にその目的も変容していく。オーエンは妻リズをルーベックの魔の手から守るべくルーベックを仕留めんがために彼を追う。

恐れる者、リズ・アチスンとルーベックを繋ぎ合わせているのは彼女がルーベックの裁判で証言したインディアン・リープ事件だ。このインディアン・リープ事件が何なのか?この真相はずっと引っ張られる。

さらにマイケルが唱える“イヴ”とは何なのか?

まず物語のキーとなるインディアン・リープ事件だが、これは上巻から下巻に渡る中間部でその内容が語られる。

それはリズとオーエン夫妻が当時近所付合いをしていたギレスピー夫妻とリズの教え子のクレア、そしてリズの妹ポーシャと共にインディアン・リープへピクニックに行った際に起きた忌まわしい事件のことだ。
彼らはそこでロバート・ギレスピーとクレアを洞窟の中で亡くすという惨劇に出くわし、そこの現場にいたのが当時放浪中の身であったルーベックだった。そしてリズは裁判でルーベックが有罪となる証言をし、精神疾患を鑑定されたことでルーベックはマーズデン州の精神病院に収監されたのだった。

しかしこの物語の反転はディーヴァーにしてはなんとも普通な感じがして仕方がない。ページの手を止めるような驚きもなく、なるほどねのレベルで終わってしまった。

冒頭にも書いたがディーヴァー自身が作者人生の転機となった作品と述べたことで期待値を高くして望んだが、その出来栄えは凡百のミステリと変わらず、寧ろそれまでのディーヴァーの作品の中にもっと光るものがあったように感じた。

次の作品にディーヴァーマジックを期待しよう。


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Tetchy
WHOKS60S
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

眠れぬイヴのためにの感想

ジェフリー・ディーヴァーとくればリンカーン・ライムシリーズが思い起こされるが、これはそれより前の94年に出たものだ。サイコ・サスペンスと紹介されているがそれほど深くは無い。
ただ、読ませる筆力はこの本でもすでに確立されているようで、一ページ上下に組まれた文章が432ページもあるボリュームで、そう簡単に読み終えることはない。
普通これぐらいあると気を抜いて飛ばし読みをしたりするものだけれど、この本に限ってそうはしなかった。ストーリーを追いながらじっくり読んで楽しい時間を過ごした。飛ばし読みをしようと考えなかったし、そうはさせない作者の
上手さがあった。迫りくる嵐、分裂症の殺人犯が西へ向かう、それを追う訳ありの三人。各人をメインに据えた各章の動きと展開。証言した事件の秘密と姉妹の葛藤。
お約束の意外なラストの真相。
リンカーン・ライムシリーズは云ってみれば大向こうを唸らせる派手な演出のストーリーが身上だけれど、これはどちらかと云えば地味な内容とも云えるしストーリー展開も派手さはない。
派手な演出は迫り来る嵐といったところだけで、肝心なのは各人の心の動きでありそれらがキッチリ描かれていることが効果的に緊迫感を醸し出す結果になっていると思う。
追跡者の裏をかき西へ向かうルーべック。彼の後をじっくり読み進む時、読書の至福の時間を味わえることでしょう。

ニコラス刑事
25MT9OHA
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未読の方はご注意ください

No.9:
(4pt)

登場人物少なめで読みやすい

少し長いですが、面白かったです。やはり、最後まで結末が読めないところが、流石でした。
眠れぬイヴのために〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:眠れぬイヴのために〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150795533
No.8:
(2pt)

ディーヴァー節、発展途上

思っていたよりもディーヴァー節が鼻についた。どういうことかというと、お粗末ともいえるような思わせぶりな描写。深みがない。人物像がちぐはぐ。各人の行動が唐突とも思える行動を取るが、どこか説得力がない。会話も薄っぺら。とくに姉妹二人の行動と会話に首を傾げざるを得ない。妹のせいで、姉の教え子が亡くなってしまいビンタまでしたのに、たった数ヶ月で媚びを含んだように共同経営を願い出るとか、「こんなのありか」と混乱してしまった。
 各人のエピソードも冗長で、底が浅い。陳腐なセックス描写には思わず「これはいかんだろう」と笑ってしまった。
 これがサイコサスペンスか?
 
 翻訳でも、ピストルと銃が混在して、なにがどう違うのか混乱してしまった。どちらかに統一すべきだろう。〈手には狩猟用のライフルとピストル〉〈オーエンは銃を置いた〉〈銃に四×四の弾丸をこめ〉〈銃をこっちによこせ〉〈オーエンはピストルをポケットにしまい〉などなど。

 p239上段〈追ってを返し打ちにしようと企んでいるのだろう〉は〈返《り》打ち〉だろうし、p207下段〈ところが、マイケルが仕掛け線を張ってあったんだ〉は〈マイケルが仕掛け線を張って《い》たんだ〉でしょう。p417上段〈完全に頭はおかしいわ〉は〈頭《が》おかしい〉でしょう。
眠れぬイヴのために (Hayakawa novels)Amazon書評・レビュー:眠れぬイヴのために (Hayakawa novels)より
4152080051
No.7:
(4pt)

ディーヴァー、ブレイク寸前の力作

精神病院を脱走した患者が恨みのある登場人物の所に接近するが・・・というお話。
この小説を書くにあたって著者のディーヴァー氏がかなり丁寧で詳しく精神の病気をリサーチしたのが、作中の記述等で判り感心しました。精神の病気も最先端の研究で細分化し、色々な病気に色々な症状があるのがかなり詳細に記述されており、その勉強ぶりに頭が下がりました。多分、この手の精神病理を書く際にいい加減に書くと差別を助長すると批判される為もあるでしょうが、それでもよく調べたと思います。
尤も、よく調べてあればいい小説であるという訳ではなく、小説として面白くなければなりませんが、その辺もクリアしてあり、読んでいて読み手をぐいぐい引きずるその筆力にも感心しました。元は映画のシナリオライターだったそうで、道理で映像的なサスペンスだなと納得しました。それと、読んでいる間は気づかなかったのですが、作中の時間が一日の出来事にまとめてあるということで、この辺の構成力も上手いと思いました。この後、リンカーン・ライムのシリーズで大ブレイクするのも頷ける作品だと思いました。
ただ、一寸刹那的な作品だとも思いました。つまり、面白かったけれどもう一回読みたくなるかというとちょっと・・・という感じで、あまり再読したくなるかどうかは疑問に思えたのも真実でした。
ともあれ、とても面白いサイコ・スリラーとして推奨に値する作品ではあると思いました。
ディーヴァー、ブレイク寸前の力作。機会があったら是非。
眠れぬイヴのために〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:眠れぬイヴのために〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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No.6:
(4pt)

ジェフリー・ディーヴァー

ジェフリー・ディーヴァーの翻訳された作品をすべて読むために購入しました。最近のディーヴァー作品に比べてドキドキ感が少ないので、安心(?)して読めました。
眠れぬイヴのために〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:眠れぬイヴのために〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150795533
No.5:
(4pt)

これも長い。

嵐が迫るその日、精神病院から脱走したマイケル・ルーベックは、
インディアン・リープ事件での証言者、リズに復讐をしようと画策。…
それを追う元警察官の賞金稼ぎ、担当医、リズの夫。この攻防戦な訳だが。

良く出来てる。
と思う部分もあるが、性描写も多く、翻訳のせいか序盤はかなり読みづらく挫折しかけた。
加えてページ数も結構あり、読みきるのに結構な労力がかかる。
真相部分に入った途端に安っぽいサスペンスになってしまう感じも良くない。

が、陰鬱かつ鬱蒼とした森、空気や重々しい嵐、
加えて不思議に穏やかに映えるインディアン・リープ事件の序章等、
独特の雰囲気をしっかり持った作品。
正直、詰めが甘い作品ではあるが、私はこの雰囲気が妙に好きなんですよね…

作品としては普通のサスペンス。
特にオススメは出来ないけど、不思議と好きなのでこの評価。
オススメはしませんが。
眠れぬイヴのために〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:眠れぬイヴのために〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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