12番目のカード



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初公開日(参考)2006年09月
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長編小説

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12番目のカード〈上〉 (文春文庫)

2009年11月10日 12番目のカード〈上〉 (文春文庫)

ハーレムの高校に通う16歳のジェニーヴァが、博物館で何者かに襲われそうになるが、機転をきかせて難を逃れる。現場にはレイプのための道具に、1枚のタロットカードが残されていた…。単純な強姦未遂事件と思い捜査を始めたライムとサックスだったが、その後も執拗に少女を付け狙う犯人に、何か別の動機があることに気づく。(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.75pt

12番目のカードの総合評価:8.33/10点レビュー 52件。Bランク


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全4件 1~4 1/1ページ
No.4:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

相変わらずのジェットコースター

ライムシリーズも6作目になるとなんとなく展開が読めるようになるのですが、そこがまたいいところ。
全く期待を裏切らないジェットコースター。
しかもこのジェットコースター、終わりに近づいたかと思うと、ゆっくりと動きだし、またトコトコと登り、真っ逆さまに・・・
違うコースを何周も味合わう事ができて、最後、本当に止まった事を確認したときは何とも言えない爽やかさが残りました

blueridgecabinhome
UHOQT2T1
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

物語として上質

リンカーン・ライムシリーズ第6作目。
今まで『エンプティー・チェア』以外は題名に殺し屋の名前が冠されていたが、本書では殺し屋トムソン・ボイドが現場に残した遺留品の1つ、タロットカードに由来している。タロットカードの12番目のカードとは、作品の表紙にもなっている「吊らされた男」だ。このカードの持つ意味はその絵から連想する苦しみや拷問などというネガティヴなものではなく、それら暴力や死とは無縁であること。つまり精神的な保留と待機を表している。
なぜこれが題名になったのか。それは最後まで読むと明らかになる。

今回の敵は通称“アベレージ・ジョー”と呼ばれる殺し屋トムソン・ボイド。その異名はあまりに平均的な風貌と平均的な人物が身に着ける服装、乗る車とあらゆる個性を殺した男だ。したがって目撃者はいるもののさして記憶に残らないという特徴を持つ。つまり特徴のないのが特徴なのだ。
前作『魔術師』の殺し屋のインパクトが強かっただけにこの“アベレージ・ジョー”はその設定もあって地味なのだが、今までの殺し屋と違い、彼には家庭があることが特徴だ。それは彼が刑務所での日々で無くしてしまった感情―作中では無感覚と書かれている―が恋人とその連れ子を養うことでをかつてのように取り戻す一助になるのではと考えているからだ。風貌や持ち物はごく普通でありながら職業、感情は普通ではない。彼は心底普通になりたがっている殺し屋と云える。

また物語の趣向もこれまでとは違っていることに気付く。今まではシリアルキラーがどんどん人を殺していくのをライムチームが追うという構成だったのだが、今回はジェニーヴァ・セトルという女子高生を殺し屋の手から守るという構成になっている。守る側のいつ敵が襲ってくるか解らない恐怖が今までのシリーズと違った読み所と云えよう。

さらになぜ一介の高校生ジェニーヴァが殺し屋に狙われるのか?その理由が1868年にジェニーヴァの祖先チャールズ・シングルトンが関わったある歴史的事件に関係しているのだ。つまり今回は通常のジェットコースターサスペンスに加え、歴史ミステリ的要素も加わっている。

そして今回はレギュラーメンバーのロン・セリットーがスランプに陥る。事情聴取中に目の前で人が殺されてしまったことでPTSDになってしまい、殺し屋“アベレージ・ジョー”の影に終始怯えながら捜査に携わり、恐怖のあまり誤ってアメリアを射殺してしまいそうになるくらいだ。今回このセリットーがいかに再生するかが物語のサイドストーリーとなっている。

『ボーン・コレクター』で登場したリンカーン・ライムは現代に甦ったシャーロック・ホームズだというのは世のミステリ書評家もそして作者自身も認めているのだが、今回それが改めて強く認識させられた。それは殺し屋トムソン・ボイドの前職について。
捜査を進めるにしたがってどんどん増えていくメモの記述。そこに明らかにヒントが隠されているのに全く気付かなかった。ボイド自身が語る刑務所生活で失っていった感覚、つまり無感覚の境地に陥った話も含め、実に素晴らしいミスディレクションだ。

またミスディレクションと云えばディーヴァーの語りならぬ“騙り”の上手さが今回も光る。

そんな読者を驚かすことに腐心したエンタテインメントに徹しながらも底流に強いメッセージが込められているのだから畏れ入る。
最後に至り、冒頭に書いた「吊るされた男」のカードの意味がじわじわと胸に迫ってくる。カードの意味は精神的な保留と待機。つまり機が熟するのを待ち、それに備えているという意味だ。
そしてその時が来たのだ。

さてもはやお馴染みとなった他作品のキャラクターのカメオ出演だが、今回は前作『魔術師』で登場したカーラと『悪魔の涙』で主役を務めたパーカー・キンケイドが登場する。
特にパーカーは前作『魔術師』に次いで二度目の登場。相変わらずほんの数ページでの客演に過ぎないが、やはりこういう演出は嬉しいものだ。このファンサービスは継続してほしいが、未訳のノンシリーズのキャラが出ていないか気になる。版元はノンシリーズもかつてのように訳出してほしい。

また作者もパーカーをこれほど気に入っているのならばカメオ出演という形ではなく、ライムとパーカーがコンビを組む作品を書いてもらいたいものだ。

リンカーン・ライムシリーズで一般的に人々の口に上るのは『ボーン・コレクター』、『コフィン・ダンサー』やこの前作である『魔術師』で、本書はどちらかといえば地味な印象を持った作品だ。
しかし読後の今、私の中では本書はシリーズの中でも上位になる作品となった。最後に訪れるリンカーンのある変化も含め、希望に満ち溢れた結末が余韻を残す。
まだまだ衰えないなぁ、このシリーズは。天晴、ディーヴァ―!


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.2:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

12番目のカードの感想

6作品目のリンカーン・ライムシリーズです。
ライムの頭脳、アメリアのアグレッシブな活躍、そして二人を取り囲む他の仲間の活躍と楽しませてくれる作品となっています。

▼以下、ネタバレ感想

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松千代
5ZZMYCZT
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

相変わらずの安定感です

期待通りの面白さで最後は止まりませんでした。
登場人物も勢ぞろい。リンカーンファミリーですね。
次も読みます。

Yutaka
Z78W2TO8
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.48:
(5pt)

読み終わってみると秀逸

ボンコレからここまで読んできて、アレ?となりました。なんというか、全体的にまとまりがなく、ディーヴァーにしては精彩を欠くな…という印象でした。

しかし最後の最後で、あれだけひた隠しにしてきた「秘密」が、まさかそんなことになろうとは…。正直、ここまで読んできてもう「秘密」なんて大したもんでもないだろう、と高を括ってたので、最後に持ってきた結論に目を瞠りました。

しかし、ホントにどの作品を読んでも面白いというのはすごいと思います。
12番目のカード〈上〉 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:12番目のカード〈上〉 (文春文庫)より
416770580X
No.47:
(4pt)

レビュー

適性と感じられる価格で、本の状態も、ほぼ表記通りの水準でした。
ただ、カバー中央のタロットカードの絵の部分に剥がれがあったのが少し残念でした。
本のカバー部分を、状態の対象に入れるかは議論の分かれるところかもしれませんが、
事前に特記しておいていただければ、なお親切だったかなと感じます。
12番目のカードAmazon書評・レビュー:12番目のカードより
4163252908
No.46:
(3pt)

無駄に長い

このプロットがどのように着地するのか、まったく想像できなかった。
痩せて魅力に乏しいという設定の黒人少女を何故しつこく狙うのか?
もちろんラストで分かるけど、あまりに壮大過ぎて・・・消化不良気味。
途中で何度も証拠や状況リストで何ページも費やされるけど、これは
あまり意味が無い気がする。読者が犯人を追及してるワケじゃないし。
それより、なぜ現場に12番目のカードがあったのか?
読み終えた今でもよく分からない。その説明はあったのかな。
12番目のカード〈上〉 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:12番目のカード〈上〉 (文春文庫)より
416770580X
No.45:
(3pt)

12番目のカード 下

なんと、強姦未遂事件は米国憲法成立の根底を揺るがす140年前の陰謀に結びついていた。そこにジェニーヴァの先祖である解放奴隷チャールズ・シングルトンが関与していたのだ……。“140年もの”の証拠物件と最先端の科学捜査技術を駆使し、ライムはすべてを解き明かすことができるか?
12番目のカード〈下〉 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:12番目のカード〈下〉 (文春文庫)より
4167705818
No.44:
(2pt)

正直なところ・・・

上下通じて、なぜか薄い印象。
最後の展開が、無理矢理風呂敷を畳んだ感が大きいからか。
ギミックも、犯人達も、他作と比べると弱く感じる。
多分プロットを、いろんな作品から流用しすぎたんだろう。 私感だけどね。
12番目のカード〈下〉 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:12番目のカード〈下〉 (文春文庫)より
4167705818



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