ザ・ドロップ
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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ぐっと読み応えがある長編が多いルヘインには珍しく、ポケミスで188ページの軽めの作品である。「訳者あとがき」によると、当初は短編集の一作として発表されたものが映画化されることになり、ルヘイン自身が脚本を担当、さらに長編小説として書き直されたという。映画のノベライズであると同時にオリジナル作品でもあるという、珍しいケースと言える。 | ||||
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「ジョン・ウィック」を繋ぐ小品?映画は「クライムヒート」という酷い邦題で未公開のため見逃すな! | ||||
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この本を若いときだったらわからなくて、あまり良いとは思わなかったと思います 今だから登場人物たちのキャラクター、状態、気持ちがすごく想像でき、どの人も 何らかの消しようのないつらさを抱えているのがわかります。 そして、過去はいろいろあったけど、とにかくこれからでも地道に、誰かといられるだけで 幸せだ、という希望を持って必死に生きている人だけが、何とか生き延びていきます。 生きているうちに大金を掴んでもう一花咲かせたい・・・なんて思っている人は ギャングのパワーに淘汰されていってしまうのです 主人公は誰にも言えない過去があり、やくざともかかわりがあって、なかなかに自由の利かない 生活環境ではありますが、自分の事情をひとにはすべては言えないし、 守りたい飼い犬や心を開ける相手がたった一人でもいるだけで、何とか生きていけそうな気がするのは、 じつは誰にとっても言えることではないでしょうか。そういうところが すごく切なく共感できる、心に寄り添う、刺さる物語です。 ところで、エリックというチンピラ。こういう人が生まれていくのが、 アメリカって大変なことだ、と思います。 銃と麻薬があれば、日本もすぐ同じことになるのかもしれません。 どんなに愛情深く母親が育てても、ワルになってしまう子供はいるとは思いますが、 とにかく、子育ての段階において親、育ててくれる人の真の愛が 子供に注がれることを願ってやみません | ||||
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「孤独な男と一匹の犬の出会い」と帯にあります。 誰もが、主人公と犬のお話だろうと想像するのでしょうが、内容はそうではありません。 犬との出会いと関わりはほんの数ページしかありませんでしたねえ。 孤独な男、主人公のボブは誰からも下に見られ利用される孤独で不幸な男なんですが、 実は妙に頭が回り、最後は笑ってるタイプ。 その主人公がどうのようにして犬と絡んでいくのかと思いきや、脇役のサイドストーリーが 目立ちボブの立ち回りのメインストーリーがぼやけてきます。 そしてページが少ないから、あらら?と言う間に結末がやってきてキツネにつままれたようです。 なにより主人公や脇役にあんまり魅力が感じられないしストーリーもハラハラとした緊張感や テンポが良い訳でもなく、暗く浮かばれないお話なのでちょっと嫌気さえ感じてしまう。 う~ん(-_-;) こりゃ決して人にお薦めできる作品じゃないなあ、読了後の感想はそんな感じですねえ( -_-) 読了後に知ることになりましたが巨匠?と言われるデニス・ルヘインさんの作品じゃなかったら おそらく出版されなかったでしょうね。 残念でした。 | ||||
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ボブがその犬を見つけたのはクリスマスの二日後だった。ではじまる「ザ・ドロップ」。 ドロップとは、ギャングが裏社会で手に入れた金を、警察に没収されないように一夜だけ預ける中継場所のこと。ここでは主人公ボブが細々と働くバーが、それである。舞台は「ミスティック・リバー」とおなじボストン、労働者たちの集まる地域、麻薬・殺しは日常の一部だ。 ボブがゴミバケツの中から救い出した大怪我をしている子犬。抱き上げたボブは、手足が不釣り合いに大きい、と感じる。犬好きの読者だったら、大型犬の子犬だ、とピンと来るシーンだ。さらにピットブルという犬種であるとわかる。危険な犬、獰猛な犬、一般の飼い主の手にはあまる「闘犬」である。ここでもう、ドキドキしてしまう。この犬を返せ、と執拗に迫る男が現れる。 ボブは並ではない手間をかけて傷を治し育てているが、この犬にはマイクロチップが埋め込まれていて、その記録には、返せ、と迫る男の名が入っていた。ボブはこの犬をロッコと名付けた。この名の由来には、深い意味が込められている。ボブとロッコは切り離せない存在になったのだということが、キリスト教世界の人は瞬時に悟るだろう。ストーリーとは関係がないが、このあたりの読み取りが本作品を輝く存在へ導く。 犬の成長としぐさの描写は、なにげなさのなかに、しびれるような優しさ、細やかさがあり、ボブの、息もできないほどの愛が溢れる。この犬を通して、この人間社会を読んでくれ、というルへインの思いが伝わってくる。 新作なのでストーリーには触れないが、結末の意外さ、面白だが十分提供されている一方、人間根源の部分に目を据えて書くルへインの魅力が、この中編に詰め込まれている。 | ||||
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ボストンの下町で過去を引きずり、ひっそりと生きる男ボブ、ある日偶然ゴミ缶から子犬を 拾ったとき、自分の過去をも巻き込む危険な駆け引きが始まる。 過去を恐れて逃れ、夢も希望も一切捨てて生きる男を描く小説 といえば知る人ぞ知る幻のノワール作家デイヴィッド・グーディスを思い出すだろう。 トリュフォーによって映画化されて有名な「ピアニストを撃て」や、近年映画秘宝 で取り上げられて再評価されてる「狼は天使の匂い」の作家だ。 我々がイメージするアメリカ人に似つかわしくないほど、暗く生きる男たちの悲哀を書かせたら 右に出るものはいない作家のひとりでもある。 よくよく考えると、デニス・ルヘインの作品も、「ミスティック・リバー」や「シャッターアイランド」 もグーディスの作品のように過去や過ち、トラウマから逃れようともがく男たちを主題にしている。 そして、原題「アニマル・レスキュー」、映画化の際は「ザ・ドロップ」として公開された本作も ボストンのうらぶれた街をここぞとばかり舞台にし、登場人物たちは皆揃いも揃って 過去に縛られて生きる人間たちばかり。 おそらく中編小説は作者にとって本邦初になるこの作品だが、持ち味や魅力は 一切狭まらずに、むしろ凝縮されて濃厚な物語に仕上がっている。 日本公開がまだ未定らしいが、映画版も充分期待できる作品だとおもう。 | ||||
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