007/ゴールドフィンガー
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訳が少し、硬いんでしょうか。それとフレミングの言い回しが、回りくどいのでしょうか。 するするとは読めませんね。 | ||||
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「ジェイムズ・ボンド」シリーズの第7作。 イアン・ランカスター・フレミングがもっとも脂が乗っていたころの作品。文庫版で394ページで、シリーズ最長の作品となっている。 作品の舞台も、フロリダ、ロンドン、ケント、フランス、スイス、ニュー・ヨーク、ケンタッキー、大西洋上と目まぐるしく変化する。 悪役は「オーリック・ゴールドフィンガー」。1917年にラトヴィアのリガで金細工師の家に生まれて、レニングラードのスパイ学校を卒業。1937年に英国に帰化して、全英に貴金属買取店を展開。戦時中はウェールズに疎開するが、その間も商売を続ける。ケントの「サネット合金研究所」で金の延べ板をロールス・ロイス・シルヴァー・ゴーストのボディとし、フランスを経てスイスに運び込む。スイスの「オーリック産業」で金を旅客機の客席のフレームに鋳造しなおして、ゴールドフィンガーが資本参加する「メッカ航空」に納入し、インドに密輸。金を幸運のお守りだと信じているうえに、自国のルピーに懐疑的な庶民が、財産を金の装飾品として所有しているので、インドでは金の需要が高いのだ。そうして得た資金でまた金を購入したゴールドフィンガーは、チューリッヒ、ナッソー、パナマ、ニュー・ヨークの保管金庫に預けるとともに、その一部を全世界のスメルシュの秘密活動に提供する。 ポルトガルからジャマイカに移民してきたユダヤ人の子孫でバナナ農園を営むロイ・デンジル・リンドから土地を購入したフレミングは、別荘「コールデンアイ」を建てた。ロイの妹でゴールデンアイの近所のボルト・ハウスに住むブランシェ・リンド・ブラックウェルと、第5作『ロシアから愛をこめて』執筆中に愛人関係になった。そして、ブランシェの前夫の甥ジョン・ブラックウェルと、ゴルフ仲間になった。叔母ウルスラ・ルース・ブラックウェルが建築家エルノ・ゴールドフィンガーと結婚したために、ジョンはエルノの義理の甥となったが、この叔父を嫌悪していた。ヴィクトリア朝の建造物を取り壊してモダンなビルディングに建て替えるゴールドフィンガーを、フレミング自身も嫌っていた。それで、本作の悪役に名前を採用したらしい。1930年代に東欧からの移民してきたことや、共産主義者であることも、エルノとオーリックの共通点だ。本作の悪役に自らの名前を使われると知ったエルノは、名前を差し替えるようにジョナサン・ケープ社に申し入れた。だが、ジョナサン・ケープ社はすでに本の印刷が進んでいると反論して、裁判所に認められた。 ただし、エルノとオーリックの容姿面での共通点はほとんどない。ゴールドフィンガーの容姿面のモデルは米国の鉱山王チャールズ・W・エンゲルハート・ジュニアだとみられる。フレミングは1948年にエンゲルハートと面会している。 英国人貿易商「ブラックウェル」(もちろんこの名前はブランシェ・ブラックウェルから採っている)の開いたメキシコから英国へのヘロイン密輸ルートを、ボンドは壊滅させる。メキシコのヘロイン元卸の殺し屋に報復されそうになるが、返り討ちにする。ヴェネズエラのカラカス経由でフロリダに脱出。 第1作『カジノ・ロワイヤル』で「ル・シッフル」との大勝負に同席した実業家「ジュニアス・デュポン」と偶然マイアミ空港で再会して、「フロリディアナ・ホテル」(モデルはフォンテンブロー・マイアミ・ビーチ・ホテルで、映画版『ゴールドフィンガー』も同ホテルで撮影された)のプール・サイドでのカード・ゲーム「カナスタ」でゴールドフィンガーのいかさまに引っかかっているようなのでそれを暴いてほしいと依頼される。ゴールドフィンガーが広場恐怖症と称して常にホテルを視界に入れたがること――デュポンをホテルを背にして座らせたがること――に不審を感じて、客室のベランダから秘書「ジル・マスタートン」(第二次世界大戦中に保安機関で二重スパイのダブル・クロス・システムを監督したジョン・セシル・マスターマン卿から採っている)に双眼鏡でデュポンの手札を盗み見させて、無線機でイヤホンに報告させていることを看破する。ゴールドフィンガーを脅してデュポンと自分に迷惑料を支払わせ、ジルを「人質」に取ってシーボード・エア・ライン鉄道でニュー・ヨークに向かい、アヴァンチュールを愉しむ。 秘密情報機関(SIS)本部での当直中に長官「M」に呼び出され、イングランド銀行調査部の「スミザース元陸軍大佐」(フレミングの海軍情報部時代の同僚ピーター・ヘンリー・ベリー・オットウェイ・スミザース卿から採っている)からゴールドフィンガーの話を聞いてくるように命じられる。スミザースは、ゴールドフィンガーが金を密輸出して英国経済に大損害を与えていると説明。ゴールドフィンガーは自らが鋳造した金の延べ棒に顕微鏡サイズでZと刻印しているという。本部に戻ったボンドはMに、最近ソ連スパイのタンジールにおける非合法駐在所が火事になったときスメルシュの金庫から入手した金の延べ棒に、Zと刻印されていたこと――ゴールドフィンガーがスメルシュの資金係らしいこと――を、教えられる。 SIS所有のアストン・マーチンDBマークⅢでケント州サンドウィッチ村の「ロイヤル・セント・マークス・ゴルフ・クラブ」に向かう。フレミングが毎週末にプレイしていた名門ロイヤル・セント・ジョージ・ゴルフ・クラブがモデルだ(映画版『ゴールドフィンガー』はパインウッド・スタジオに近いストーク・パーク・ゴルフ・アンド・カントリークラブで撮影されたが、こちらも英国最古といわれる由緒正しいゴルフ・クラブだ)。ロイヤル・セント・ジョージ・ゴルフ・クラブのレッスン・プロのアルフレッド・ブラッキングとその息子シリルが、本作中に「アルバート・ホワイティング」とその息子「セシル」として登場する。偶然を装ってゴールドフィンガーと再会したボンドは、賭けゴルフで対決。ここでもいかさまを仕掛けられるが、ボンドもゴールドフィンガーのボールをすり替えて賭けに勝つ。 リカルヴァーの農園風の別荘での夕食に招かれて、ゴールドフィンガーが警察沙汰を起こした使用人を引き取ってくると称して留守にする間に、邸内やサネット合金研究所を見回って密輸の証拠を探す。だが、一部始終を隠しカメラで盗撮されていたと知り、飼い猫のいたずらに見せかけてフィルムを感光させる。戻ってきたゴールドフィンガーに、ブラックウェルの役割に自分を当てはめて、ヘロイン密輸に手を出したと話す。ボンドの狙いは、「カネのためなら多少の悪事も辞さない、使える男」という印象を売り込んで、ゴールドフィンガーの懐に飛び込むことだった。ボンドはゴールドフィンガーに、朝鮮人の空手の達人で執事の「オッドジョブ」を紹介される。のちに、出所不明の大金を持っているとゴールドフィンガーに警察に密告される。 リッドのフェリーフィールドからエア・フェリーで渡仏しようとするゴールドフィンガーのロールス・ロイスのトランクに、発信器を仕掛ける。ロールス・ロイスの隣に駐車されたトライアンフTR3に、気を留める。 オッドジョブの運転でフランスを横断するロールス・ロイスを、発信器からの信号を頼りにアストン・マーチンで尾行。ムーラン郊外の小川のほとりで弁当を食べるゴールドフィンガーを、双眼鏡で監視する。ロールス・ロイスが走り去ると、ボンドは橋のたもとを探って、金の延べ棒を発見。フランス国内の共産党細胞への秘密援助に違いなかった。 何度もトライアンフと遭遇して偶然ではないと確信。マコンでギア操作の間違いを装ってアストン・マーチンをバックさせ、トライアンフにぶつけて走行不能にさせる(映画版『ゴールドフィンガー』ではロールス・ロイスとアストン・マーチンは直接スイスに飛んでおり、このシーンは景勝地フルカ峠で撮影された)。トライアンフを運転していた美女はゴルファーの「ティリー・ソームズ」と名乗って、どうしてもスイスでの大会に出場したいのでジュネーヴまで乗せてほしいと懇願する。ゴルフ・バッグを担いだティリーを同乗させて、ボンドはジュネーヴのホテルまで送る。口説こうとするが、にべもなくあしらわれる。 ロールス・ロイスの尾行を再開して、レマン湖畔のコペの「オーリック産業AG」の冶金工場に入るのを見届ける(映画版『ゴールドフィンガー』ではルツェルン郊外のピラタス航空機製作所で撮影された)。工場に潜入して、中庭でロールス・ロイスのボディを解体するのを目撃。 延べ棒をSISジュネーヴ支局に渡す。オーリック産業がメッカ航空に座席を納入していると知って、金密輸の全貌をつかむ。 夜、密輸の証拠品を入手するために再度工場に侵入して、ライフルを携えたティリーと鉢合わせ。ティリーはジルの妹で、ゴールドフィンガーの手下に金粉を全身に塗られて殺された姉の敵討ちにきたと打ち明けられる(全呼吸量のうち皮膚呼吸の割合は0.6パーセントにすぎないので、金粉で窒息することはない。だが、何日も金粉で毛穴を塞がれると、発汗を妨げられて熱中症になる。本作でもちょっと触れられているが、第一次世界大戦前にキャバレーで金粉ショーを売り物にしていた踊り子が死亡している)。ボンドとティリーはオッドジョブに捕らえられる。丸鋸盤に括りつけられてゴールドフィンガーに拷問されるボンドは、英国で警察に密告されたので物申しにきたのだと言い張る。命を助けてくれるなら、ボンドとティリーがゴールドフィンガーの手下になってもいいと申し出る。 体を真っ二つにされる寸前に申し出を受け入れられて、麻酔薬を注射される。ノイローゼ患者に仕立て上げられて空路ニュー・ヨークに移送され、ゴールドフィンガーの所有する運送会社の倉庫に監禁される(映画版『ゴールドフィンガー』では前進基地はケンタッキーの牧場に変更されたが、実際には牧場のシーンは英国で撮影された)。そして、ケンタッキー州ルイヴィルのフォート・ノックスから150億ドル相当の金塊を強奪する「グランド・スラム作戦」を打ち明けられる。オッドジョブに厳しく見張られながらボンドとティリーはゴールドフィンガーの秘書役を務める。 ゴールドフィンガーが、デトロイトのパープル・ギャングの「ヘルムート・M・スプリンガー」、マイアミとハバナのシャドウ・シンジケートの「ジェッド・ミッドナイト」、シカゴ・マシンの「ビリー・リング」、ラス・ヴェガスのスパングルド・モブの「ジャック・ストラップ」、ウニオーネ・シチリアーナの「ソロ」、ニュー・ヨークのハーレムのセメント・ミキサーズの「プッシー・ギャロア」を招く。 パープル・ギャングはデトロイトに実在したユダヤ系犯罪組織だが、1930年代半ばに壊滅した(第9作『サンダーボール作戦』にも国際犯罪組織「スペクター」による誘拐の標的としてちらっと登場する)。シャドウ・シンジケートは、英国人作家「リチャード・ケヴァ―ン」ことクリフォード・ジェイムズ・ホイーラー・ホスケンのミステリー『シャドウ・シンジケート』(1930年)から採っている。シカゴ・マシンは、犯罪組織ではなく、民主党の利益誘導・集票システムの呼び名だ。スパングルド・モブは第4作『ダイアモンドは永遠に』に敵役で登場している。ウニオーネ・シチリアーナは、マフィアに支配されていたシチリア系エスニック団体だが、のちに米国イタリア系子女会(ISDA)に統合された。セメント・ミキサーズはもともとレズビアンからなるサーカスの一座で、喰い詰めて盗賊に転向したという設定だ(井上一夫は「コンクリート・ミキサーズ」と訳している)。 プッシー・ギャロアの容姿面のモデルはブランシェ・ブラックウェルだ。名前は、ルーマニア出身の元特殊戦争執行部(SOE)工作員でイアンの妻アン・ジェラルディン・メアリー・フレミングの友人でもあったリヴィア・ステラ・ナスタ(結婚後は「プッシ―」・ダ―キン夫人と呼ばれた)から採っている。プッシ―は女性器という意味だから、映画版『ゴールドフィンガー』でプッシー・ギャロアを演じたオナー・ブラックマンはこの名前を口にするときひどく困惑したという。 1957年11月14日にニュー・ヨーク州アパラチンで開かれたマフィアの全国委員会が偶然摘発されて、マフィアが実在することや、そのカポたちが定期的に会合していることが暴かれた。だから、フレミングの描くシンジケートの首脳会議は、あながち荒唐無稽ではない。 水道水に麻酔薬を混入して6万人のルイヴィル市民を眠らせ、米陸軍から入手したコーポラル中距離誘導ミサイルの核弾頭でフォート・ノックスの金庫扉を吹っ飛ばすと力説したゴールドフィンガーが、グランド・スラム作戦への参加を呼びかける(映画版『ゴールドフィンガー』でゴールドフィンガーがグランド・スラム作戦の説明に使ったフォート・ノックスの模型は、撮影後同基地に寄贈されて、現在記念館に展示されている)。5人のボスは同意するが、スプリンガーは断る。スプリンガーと用心棒はオッドジョブに殺害される。ティリーはプッシ―に惹かれる。 あとでボンドはゴールドフィンガーから、水道水に混入するのは麻酔薬ではなくGB(サリン)だと耳打ちされる。映画のロケハンを装ってビーチクラフト機で上空からルイヴィルを偵察した際に、米中央情報局(CIA)の元係官で今はピンカートン探偵社で働く「フェリックス・ライター」への伝言を、機内のトイレに隠す。 伝言が届いたか分からないまま当日を迎えて、赤十字の救護班に偽装したゴールドフィンガー一味とギャングたちの混成部隊が、イリノイ中央鉄道を臨時列車でルイヴィルに進攻。市民や兵士たちが累々と横たわるなか、フォート・ノックスの正門に迫る。だが、1発の信号弾を合図に、兵士たちが一斉に起き上がって投降を呼びかける(映画版『ゴールドフィンガー』では本物の陸軍兵士がエキストラに起用された)。戦闘が始まって、プッシ―に駆け寄ろうとしたティリーが、逃亡を図ったと誤解したオッドジョブに殺害される。ゴールドフィンガーとボスたちが列車に引き返す。ライターが駆けつけ、ボンドはその部下にバズーカ砲を借りて遠ざかる列車を撃つが、後押しの機関車の一部を破壊しただけで逃走を許す。 金塊強奪を防いだ立役者ボンドはワシントンで大統領をはじめとする米政府高官と会談。ライターの愛車スチューデラックでニュー・ヨークまで送られて、アイドルワイルド空港でロンドン行きの英国海外航空会社(BOAC)機を待つ。構内放送でカウンターに呼び出され、経由地のカナダのガンダーでチフスが発生したからと予防注射を打たれて気を失う。 気がついたときには、ゴールドフィンガー一味に乗っ取られたBOACのストラトクルーザーの中にいた。CAに偽装したプッシ―が、ボンド側に寝返ることをほのめかすメモをよこす。機長に偽装したゴールドフィンガーが、プッシ―以外のボスたちは足手まといなので射殺した、スメルシュに問い合わせてボンドの正体を知った、ボンドをソ連に連れてこいと命じられたと語る。オッドジョブに監視されて身動きが取れないボンドだったが、居眠りしたふりをして油断を誘う。靴の踵に隠したナイフを抜いて、窓ガラスを叩き割る。窓から吸い出されたオッドジョブの体が、大西洋上空に放り出される。怒り狂ったゴールドフィンガーに拳銃を突きつけられるが、逆にボンドはゴールドフィンガーの頸を絞めて絶命させる。 ストラトクルーザーはカナダ沖の海上に不時着して、ボンドたちは沿岸警備隊の気象観測船に救助される。船内でボンドとプッシ―はねんごろになる。 フレミングは以前から金に興味を持っており、スペインのダブロン金貨の収集家であった。ロイヤル・タイプライター・カンパニーから金張りのタイプライターを贈られたが、一度も使用しなかった。執筆には金の口金のボールペンを用いた。1956年4月末にサリー州ゴダルマイング郊外の療養所エントン・ホールに入って(ここでの体験は第8作『サンダーボール作戦』の冒頭に活かされた)、蒸気風呂で一緒になった貴金属商ガイ・ウェルビーから金に関する裏話を仕入れた。『ゴールドフィンガー』の取材に本腰を入れると、フレミングのロイター通信社時代の上司でのちにイングランド銀行総裁外事顧問になったバーナード・リッカトン=ハットに、金密輸に詳しい専門家を紹介してもらった。金に関する疑問点はワーシップ金細工社に手紙で問い合わせた。カナスタの場面は独立の短編として考えていたものだが、本作の第2章~第4章に組み入れた。第8章~第9章の賭けゴルフの場面は、1957年6月にバークシャー・ゴルフ・クラブにおけるボウメーカー・プロ・アマ・ゴルフ・トーナメントで全英オープン選手権優勝者ピーター・ウィリアム・トムソンと対戦した体験を下敷きにしている。第22章~第23章のストラトクルーザーの機内を減圧させるという結末は、1957年4月21日にエール・フランスのトルコ発イラク行きスーパー・コンスティレーション機がイラン上空18700フィートで遭った事故を参考にしている(気圧が低下して露点も下がり、機内に靄が立ち込めるというような描写まで極めてリアルだ)。 1914年にドイツ情報機関が英国政府の金塊を貯蔵するイングランド銀行を爆破して経済を混乱に陥れようとしたことがあるが、フレミングは海軍情報部(NID)時代にこの記録を読んで、フォート・ノックス襲撃のヒントを得たのではないかともいわれる。もちろんよく読めばツッコミどころも目につく。スプリンガー以外のボスたちはたやすくグランド・スラム作戦に乗っかってしまうが、大量殺人の企みを伏せられていたとはいえ、これほどの重大犯罪にかかわれば、そのあと米政府の猛烈な弾圧を招くだろうことは予想できるはずだ(だからマフィアは掟で警官殺しを禁じている)。ルイヴィルの全市民が一斉に水道水を飲むわけではないから、おそらく最初の数十~数百人の死者が出た時点で治安当局が水道の使用を差し止めて、住民のほとんどは無傷で済むだろう(映画版『ゴールドフィンガー』ではプッシ―の一座が曲芸飛行に見せかけて毒ガスを空中散布するが、当日強風が吹くかもしれないのでこれも確実な方法とはいえない)。ゴールドフィンガーは約1000トンの金地金を約100人でリレー式に運び出すことを計画したが、このやり方では列車やトラックや航空機に積み終えるまで何日もかかってしまう(映画版『ゴールドフィンガー』では、ゴールドフィンガーはフォート・ノックスで核爆発を起こして金塊を放射能で汚染し、手持ちの金の価格を吊り上げようとするが、それならばそもそも金庫室に押し入る必要はない)。だが、こうした矛盾もフレミングは筆の勢いで帳消しにしてしまう。 ちなみにゴールデンアイはフレミング死後の1976年にレゲエの神様ロバート・「ボブ」・ネスタ・マーリーに売却された。1977年にマーリーが手放すと、ブランシェ・ブラックウェルの息子で音楽プロデューサーのクリス・パーシー・ブラックウェルがゴールデンアイを手に入れた。クリスはよくブランシェをフレミングとの想い出深いゴールデンアイに招いたという。1980年にゴールデンアイはゴールデンアイ・ホテル・アンド・リゾートとなった。 | ||||
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イオンの映画シリーズが好きで、後からこの小説を読んだ身としては、グランドスラム作戦の描写に大きな期待を寄せていた訳なんですけど、意外な程あっさり終局してしまってます。 ですが、相変わらずのスリリング感とムーンレイカー以来の大それた敵の野望は存分に楽しめました。 | ||||
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映画共にこの作品のファンです。 イアン・フレミングは私の慰安です。 | ||||
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こてこてのスパイものですが、今読むと笑ってしまいますね。あまりにも世の中が変わってしまって。作者の人も大変でしょう。それを承知で、あえて読んでみるとそれなりに味わい深いです。 | ||||
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