007/ドクター・ノオ
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「ジェイムズ・ボンド」シリーズの第6作。 1956年6月に作者イアン・ランカスター・フレミングはプロデューサーのヘンリー・モーゲンソー三世の依頼でNBCテレヴィのために「ジェイムズ・ガン」を主人公にした30分ドラマのシリーズ『ジャマイカ海軍中佐』の粗筋を考えたが、この企画は途中でぽしゃった。この粗筋をふくらませてできたのが本作だ。仮題はThe Wound Manといった。 『ドクター・ノオ』の舞台は、フレミングが毎冬を過ごして、第2作『死ぬのは奴らだ』の舞台にも選んだジャマイカのクラブ島。男の子なら誰しも小さいころ「秘密基地ごっこ」に興じた思い出があるだろうが、フレミングはそれを大掛かりにリアルに描いている。 本作の悪玉は「ジュリアス・ノオ博士」。北京でドイツ人宣教師の父親と中国人の母親の間に生まれて、上海の犯罪組織「堂」でのしあがる。内紛に巻き込まれて米国に逃亡し、ニュー・ヨークのチャイナ・タウンの協勝堂の金庫番を任される。1920年代末の安良堂との抗争の際、協勝堂の金100万ドルを持ち逃げしてハーレムに潜伏。堂の殺し屋に見つかって拷問されるが、金の隠し場所を白状せず、殺し屋はジュリアスの両手を切断したうえに左胸に銃弾をぶち込んで立ち去る。だが、心臓が右胸にある右胸心だったジュリアスは、九死に一生を得る。金属製の義手を着け、容貌を整形し、背骨を伸ばす手術を受けて、中国人のほとんどいないミルウォーキーの医科大学で人体について学ぶ。「ジュリアス・ノオ博士」と名乗って投資先を探して世界中を旅した末に、1943年にグアノを産出するジャマイカのクラブ島を購入。グアナイ胸白姫鵜(グアナイムナジロヒメウ)の糞が堆積して化石化したグアノは、窒素や燐を含有して、良質な肥料になる。グアノを採掘して財を成したノオは、よそ者の立ち入りを固く拒んで独裁帝国を築き上げる。さらに、クラブ島から妨害電波を発して米マイアミ州ケープ・カナヴェラル空軍ステーションから英領グランド・ターク島の追跡ステーションに向けたミサイル実験を妨害し、ソ連から巨額の報酬をせしめる。 ノオ博士のモデルは、英国人作家「サックス・ローマー」ことアーサー・ヘンリー・サースフィールド・ウォードが創造した中国人の怪人「傅満洲(フー・マンチュー)博士」だ(ちなみにフレミングは本作の映画化に際して、従兄弟の俳優クリストファー・フランク・カランディーニ・リーをノオ役に推したが、ノオ役はジョセフ・ワイズマンに決まった。その後リーは4本の映画作品で傅満洲を演じた。映画版『黄金の銃を持つ男』では見事殺し屋「フランシス・『ピストルズ』・スカラマンガ」役を射止めている)。 1900年代から1930年代にかけてニュー・ヨークのチャイナ・タウンで「堂闘(Tong Wars)」と呼ばれる暴力団抗争が多発したというのは実話だ。また、米国の初期のミサイル実験が失敗の連続だったというのも事実だ。 ノオがクラブ島を購入する前から、自然保護団体の全米オーデュボン協会が島の一画を借り上げて紅箆鷺(ベニヘラサギ)の保護区とし、監視員を常駐させていた。その名の通り赤みがかったピンク色の羽根を持つ紅箆鷺は、羽根飾りにするために乱獲されて1950年代には絶滅危惧種となっていた(現在はだいぶ個体数が回復してきている)。全米オーデュボン協会は保護区にホテルを建てて世界中から鳥類愛好家を招きませんかとノオに提案。監視員を焼き殺したノオの手下は、ビーチクラフト機で飛来した全米オーデュボン協会幹部も着陸事故に見せかけて殺害。巣を焼き払って紅箆鷺も追い払う。 全米オーデュボン協会の圧力を受けた英国政府が、秘密情報機関(SIS)に調査を下命。カリブ海域局主任「ジョン・ストラングウェイズ海軍中佐」が真相究明に乗り出す(『死ぬのは奴らだ』では海軍少佐だったが、その後昇進したらしい)。だが、秘書の「メアリー・トルーブラッド」ともどもノオの殺し屋に射殺されて、支局の建物も放火されてしまう(「メアリー・トルーブラッド」の名前は、フレミングのケムズリー・ハウスでの秘書の名前から採っている)。 第5作『ロシアから愛をこめて』でスメルシュ第2課課長「ローザ・クレップ大佐」に河豚毒を塗った仕込みナイフで蹴られて生死の境をさまよったボンドが、長い療養を経てようやく健康を回復する。SIS長官「M」はSISの嘱託精神科医「ジェイムズ・モロニ―卿」に相談したうえで、ボンドを呼び出す(「モロニ―」の名前は、フレミングがかかっていたハーレイ街の歯科医J・A・モロニ―から採っている)。 次に兵器係「ブースロイド陸軍少佐」を召喚。ボンドの愛銃ベレッタを「婦人もの」と切って捨てたブースロイドは、ワルサーPPKを勧める。現実世界のジェフリー・ブースロイドは陸軍少佐でこそなかったが、エジンバラの弾薬製造会社「インペリアル化学工業」の銃器専門家で、あるときボンドが武器の選択を間違っていると指摘する手紙をフレミングに送った。ならばとフレミングはブースロイドに実名で登場願ったわけだ。 ボンドはMに、『死ぬのは奴らだ』で協力したストラングウェイズとその秘書の失踪事件の調査をリハビリがわりに命じられる。 だが、ノオが「プレイデル=スミス副総督」の秘書に送り込んだ中国系黒人「ミス・タロー」を通じて、『死ぬのは奴らだ』の一件書類が漏洩し、ボンドの正体が敵方に露見。ストラングウェイズの情報員「クォーレル」にキングストン国際空港で出迎えられたボンドは、ホテルまで尾行され、青酸入りの果物を贈られ、ベッドに毒百足を放たれる。ボンドとクォーレルに似たチンピラたちを雇って囮に仕立てるが、彼らは交通事故に見せかけて殺されてしまう。 『死ぬのは奴らだ』で隠れ家として使ったバンガローをまた借り上げて体を鍛え直したボンドとクォーレルは、カヌーでクラブ島に潜入。そこで希少な貝を密漁しにきていた「ハニーチャイル・ライダー」と出くわして、島内で行動をともにする。だが、クォーレルは竜に偽装した装甲車の火炎放射器で焼き殺されて、ボンドとハニーはノオの手下に捕らわれてしまう。 友人アイヴァー・フェリックス・C・ブライスに誘われたフレミングが、1956年3月に、米国自然史博物館のロバート・クッシュマン・マーフィ博士と、バハマ・フラミンゴ保護協会会長アーサー・スタナード・ヴァーネイに案内され、バハマ南方のグレート・イナグア島を訪れてフラミンゴや紅箆鷺の群棲地を観察した。クラブ島は架空の島だが、このグレート・イナグア島をモデルにしている。グレート・イナグア島では大きなタイヤを装着したランド・ローヴァ―で沼地を渡ったが、そこから装甲車の着想も得た。 マーフィからはグアナイ胸白姫鵜の知識も仕入れた(井上一夫はグアナイ胸白姫鵜を「グアノ鳥」と訳している)。 父方の曽祖父がペルーでのグアノ採掘で一財を築いたブライスも、ネタ元だったかもしれない(後年、経営権を共同経営者ウィリアム・ラッセル・グレースに譲渡した曽祖父は、英国に帰っている)。 第4作『ダイヤモンドは永遠に』の「ティファニー・ケイス」や、第7作『ゴールドフィンガー』の「プッシー・ギャロア」と同じく、ハニーは強姦されて心に傷を負った女として登場する。美人だが、そのとき男に顔面を殴られて鼻がつぶれている(「ハニーチャイル・ライダー」の名前は、フレミングの友人で1930年代に米国で女優として活躍したパトリシア・「ハニー・チャイル」・ワイルダーから採っている)。 クラブ島の地下に贅を尽くして造営された秘密基地に、ボンドとハニーは驚く。ボンドは秘密基地の受付で「ジョン・ブライス」と名乗るが、これは『死ぬのは奴らだ』でも使った偽名だ(もちろんアイヴァー・ブライスから採っている)。 換気ダクトのタランチュラや海中の巨大烏賊クラーケンと格闘しながら、ボンドは命からがら海岸にたどり着く。 埠頭に停泊中のベルギーのタンカー「ブランシェ号」にベルトコンベアでグアノの粉末を積み込む作業を監督するノオを発見(「ブランシェ号」の船名は、ジャマイカの別荘「ゴールデンアイ」の隣人で『ロシアから愛をこめて』執筆中にフレミングの愛人となったブランシェ・リンド・ブラックウェルから採っている)。ベルトコンベアの先端部分を操るクレーンを乗っ取り、ノオの頭上で粉末をぶちまけて生き埋めにする。海岸に打ち込まれた杭に縛り付けられて黒蟹に喰われそうになったハニーも、何とか生還する。 事件後ボンドに付き添われてニュー・ヨークに渡り、鼻の整形手術を受けたハニーは、ジャマイカに戻るとプレイデル=スミスの後見でジャマイカの自然史博物館の学芸員となる。第13作『黄金の銃を持つ男』では、フィラデルフィアの医師「ワイルダー」と結婚して子供を2人もうけたと述べられている。 映画版『ドクター・ノオ』ではハニー役をスイス人女優ウルスラ・アンドレスが演じたが、フレミングは第11作『女王陛下の007』で国際犯罪組織「スペクター」がスイスのピッツ・グロリアで経営するレストランの客としてアンドレスを実名で登場させている(井上は英語風に「アーシュラ・アンドレス」と訳している)。 『黄金の銃を持つ男』では、00課の元秘書で第12作『007は二度死ぬ』でボンドが失踪してからジャマイカに転勤した「メアリー・グッドナイト」が、ストラングウェイズの愛車サンビーム・アルパインを相続したと描かれている。 | ||||
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本屋、bookoffを含めて、では買えないから、本当に便利です | ||||
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映画版「007ドクター・ノオ」は、映画007シリーズの記念すべき第1作目でした。興業的に大成功を収めた作品と言われています。この翻訳小説の巻末に書かれた「イアン・フレミング 著作リスト」によると、この「ドクター・ノオ」は、小説007シリーズの中では第6作目にあたる様です。私は映画から先に007の世界に入りましたので、どうしても映画のシーンが思い出されます。007ジェイムズ・ボンド役のショーン・コネリーとボンド・ガールのウルスラ・アンドレスのコンビ、それに悪役のドクター・ノオ。第1作目の映画にして配役の絶妙さが見られた感じがします。それだけ、原作にしっかりとした基本が出来ていたからとも言えるのでしょう。英国流騎士道精神に触れる良い機会とも言えます。ありがとうございました。この本は新品と見間違う程度でした。 | ||||
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映画で007を見て、007のとりこになりました。映画と小説での違いなど感じながら読んでいます。 | ||||
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原子炉が無関係だったりハニーやノオの特徴が少し違っていたりはしますが、話の流れはほぼ映画と同じですね。 あのドラゴン戦車も原作の時点であんなだったのかと。 さすがにハニーの自力脱出は映像映えしないと考えたのか?映画ではボンドがしっかり救出していましたが。 | ||||
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