007/死ぬのは奴らだ
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「ジェイムズ・ボンド」シリーズの第2作。評者は旧訳版も読んだが、1998年の改訳版はフランス語の和訳が改善されているようだ。 第1作『カジノ・ロワイヤル』は非情なハードボイルド・タッチで描かれていたが、本作は一転冒険活劇の様相を呈している。だから、ハードボイルド探偵小説の巨匠で作者イアン・ランカスター・フレミングの友人でもあるレイモンド・ソーントン・チャンドラーは、フレミングは『カジノ・ロワイヤル』を超える作品を書いていないと評している。 『カジノ・ロワイヤル』の舞台はフランスの大西洋岸の架空の避暑地ロワイヤル・レゾーとその近郊に限られていたが、本作ではニュー・ヨークのハーレム、フロリダ、ジャマイカと目まぐるしく変化する。ニュー・ヨークはフレミングが第二次世界大戦中に海軍情報部(NID)から英国保全調整部(BSC)に出向したときに暮らした都市であり、ジャマイカはフレミングが晩年を過ごした土地だ(ボンド・シリーズはすべてジャマイカ北岸のオラカベッサにある別荘「ゴールデン・アイ」で執筆された)。それらの風景や風俗の描写が読みどころの1つだ。 ボンドの敵役は「ミスター・ビッグ」こと「ブオナパルテ・イーニャス・ガーリア」。ハイチ生まれの黒人で、渡米してニュー・ヨークのハーレムでギャングの一員として頭角を現し、戦時中は戦略事務局(OSS)の一員としてドイツ占領下のフランスのマルセイユに潜入して手柄を立てたという設定だ。そのころ共同戦線を張っていたソ連情報機関に戦後徴募され、スメルシュの一員として再訓練されてニュー・ヨークに舞い戻る。全米の鉄道や港湾やホテルで働く黒人たちの間に情報網を張り巡らせて、運輸関係の情報をソ連に流す。ヴードゥー教の死神「サメディ大公」の化身だと手下たちに信じ込ませて、恐怖で組織を支配する。 1915年から1934年まで米海兵隊がハイチを占領。1929年にはウィリアム・ビューラー・シーブルックが旅行記『魔法の島』を著してヴードゥー教を世に知らしめた。1932年の映画『恐怖城』(DVD版では『ホワイトゾンビ』と改題されている)を皮切りに、1940年代から1950年代にもゾンビ映画のブームは続いた。そうしたブームの洗礼をフレミングも受けたに違いない。フレミングは本作の第3章でパトリック・マイケル・レイ・ファーマーのハイチ旅行記『旅人の樹』を4ページにわたって引用しているが、ファーマーはフレミングの友人だった。 ミスター・ビッグが「サメディ大公」の化身と称して黒人たちを恐怖で締め付けるというのは、子供だましの設定にも思える。だが、現に1957年から1971年までハイチを支配したフランソワ・「パパ・ドク」・デュヴァリエ大統領は、蝶ネクタイに黒い燕尾服に黒眼鏡に黒い山高帽という「サムディ男爵」(こう訳す方が正しいようだ)に好んで扮し、国防義勇軍(MSVN)――通称「トントン・マク―ト」――を使って6万人から10万人の国民を殺害または誘拐した。大統領官邸ではヴードゥー教の秘儀が行われているという噂が絶えなかったという。 英領ジャマイカで海賊「血まみれモーガン」の隠し財宝を黒人漁師が発見。それを横取りしたミスター・ビッグが、ヨット「セカタ―号」で米国に密輸し、手先を使って全米で売りさばき、諜報活動の資金源とする。その企てを察知した米国の連邦捜査局(FBI)と中央情報局(CIA)、英国の秘密情報機関(SIS)が、阻止に動き出す。SISはボンドを派遣して、CIAは『カジノ・ロワイヤル』でお馴染みの「フェリックス・ライター」を差し向ける。だが、ミスター・ビッグの手下の罠にかかったライターは、鮫に右腕と左脚を食いちぎられてしまう(このシーンは映画『消されたライセンス』で活かされている)。フレミングははじめライターを死なせるつもりでいたが、米国での著作権代理人に反対されて瀕死の重傷に留めたという。 ジャマイカでSISカリブ海域局主任「ジョン・ストラングウェイズ海軍少佐」とその情報員「クォーレル」の助けを借りたボンドは、スキューバ・ダイヴィングでセカタ―号に忍び寄って時限爆弾を船腹に仕掛ける。BSCがカナダのオンタリオ州ウィットビーに開設していた第103特殊訓練学校(通称「キャンプX」)で研修したフレミングは、実際にオンタリオ湖で吸着爆弾を廃船に仕掛ける実習に参加していた。また、アクアラングの発明者ジャック=イヴ・クストーとともに1953年にジャマイカでスキューバ・ダイヴィングを体験して、以来趣味の1つとしていた。 ちなみにストラングウェイズとクォーレルも第6作『ドクター・ノオ』で「ドクター・ノオ」の手下に殺害されてしまう。こうして読者に親しまれた登場人物をいとも簡単に消してしまうのがフレミング流だ。 『カジノ・ロワイヤル』で女性蔑視を露わにしたボンドだが、本作では控えめになっている。それどころか、不思議な霊感を持ち、ミスター・ビッグに懐刀として使われる「ソリテール」こと「シモーヌ・ラトレール」を、命がけで救出しようとする。ボンド側に寝返ったソリテールは、ミスター・ビッグの手下に拉致されていたのだ。ボンドの態度の軟化にはジョナサン・ケープ社の編集者の助言があったのかもしれない。 ミスター・ビッグの手下に捕らわれたボンドとソリテールは、セカタ―号からロープで珊瑚礁の海を引きずられて血まみれになり、鮫に襲われる(このシーンは映画『ユア・アイズ・オンリー』で活かされている)。だが、ボンドが仕掛けた時限爆弾が炸裂して、九死に一生を得る。逆に、海中に放り出されたミスター・ビッグの方が、鮫の餌食になってしまう。 第3作『ムーンレイカー』の冒頭で、SIS長官「M」は、ハーグの国際司法裁判所で争った末にこの財宝が英国政府のものになったと語っている。この一件のあとボンドは聖マイケル聖ジョージ勲章(CMG)を授与されるが、もしかしたら財宝獲得の功績を認められてのことかもしれない。 黒人と共産主義の結びつき、ヴードゥー教、カリブの海賊、水中遊泳、人食い鮫と、読者の好奇心をそそりそうな話題をこれでもかと詰め込んだ本作は、大変な意欲作といえる。 ボンド・シリーズは創元推理文庫では版を重ねているが、ハヤカワ・ミステリ文庫では絶版だ。2020年4月には映画の新作『ノー・タイム・トゥ・ダイ』も公開されるというから、これを機にぜひ早川書房にも再版をお願いしたい。 | ||||
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読破を試みるも、どうしても途中で飽きてしまう。三回読破を試みるも断念、 | ||||
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友達がプレゼントで買ってくれた。 《死ぬのは奴らだ》は、原題で《Live and Let Die(生きて死ぬ)》良いタイトルだね。 フレミング氏はネーミングセンスが良いね。 007の小説は、中々にハードで読んでいるとボンドに感情移入しやすいな。 ムーンレイカーはMの人間らしさが伺えて良かったな。 やはり小説が一番だ | ||||
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映画ではムーア・ボンド初登場作品で、ユーモアと言うより度を越した悪ノリ過多の改変に出来の悪いコメディ作?のようであまり好きにはなれませんでした。 しかし小説の方ではなかなかハードで、ボンドは指をへし折られバラクーダに肩の肉を食い千切られる等、絶体絶命危機一髪の緊迫感でいっきに最後まで楽しんで読む事ができました。 さすが初期の傑作。映画の「ユア・アイズ・オンリー」「消されたライセンス」で部分採用される程、濃い内容だったんだと納得。 | ||||
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映画では、3代目ジェームズボンド:ロジャー・ムーアが颯爽と登場したシリーズ第8作。ポール・マッカートニー&ウィングスが主題歌を担当し、スタイリッシュな作品に仕上げていましたが、原作でのボンドは、常に怪我、生傷の絶えない感じで苦労を重ねながら任務を遂行します。そこがフレミングの筆の見せ所でもありますが。意外に自然の描写など、熱帯の夜の雰囲気が漂ってくるようでぐっときます。 | ||||
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