四つの凶器



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初公開日(参考)1958年01月
分類

長編小説

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四つの兇器 (Hayakawa pocket mystery books (445))

1958年12月01日 四つの兇器 (Hayakawa pocket mystery books (445))

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書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

四つの凶器の総合評価:6.92/10点レビュー 12件。Bランク


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(7pt)

悪魔も年取れば丸くなり、そして神の領域に達する…のか?

カー初期のシリーズ探偵アンリ・バンコランのシリーズ最終作が本書。悪魔的な風貌と犯罪者に対して容赦ない仕打ちを行う冷酷非情振りに皆が恐れた予審判事も本書では既に引退した身であり、温厚な性格になり、しかも洒落者とまで云われた服装は鳴りを潜めてくたびれた服を着ている。

しかし名探偵の最終巻とはなぜこのように似通っているのだろうか。
私は引退し、かつての切れ味鋭さが鳴りを潜めてくたびれた隠居然―地元警官からは「かかし」のような男とまで呼ばれる―としたアンリ・バンコランの描写を読んでホームズやドルリー・レーンを想起した。それらに共通するのは全盛期ほどのオーラは感じられないものの、腐っても鯛とも云うべき明敏さが残っている。つまり老いてなお名探偵健在を知らしめるための演出なのだろうか。

さて死んだ高級娼婦は短剣で刺殺されたはずなのに、事件現場には短剣以外にもカミソリ、ピストル、睡眠薬と3つの異なる凶器が残されている。本書はその題名からもこの奇妙な状況が取り沙汰されているが、もちろん本書の謎はそれだけではない。殺害された高級娼婦を取り巻く人々や背景事情も複雑に絡んでいるのだ。

事件はどんどん色んな方向へと展開し、そして迷走していく。

さてそんな1人の遺体の周囲に4つもの異なる凶器が転がる不可解な状況の真相はまさにカーの特徴であるインプロヴィゼーションの極致とも云うべきアクロバティックな内容だった。

そしてこんな偶然と即興の産物による奇妙な状況をバンコランが名探偵とは解き明かすのはいささか無理を感じずにはいられない。ほとんど神の領域の全知全能ぶりである。

そんな複雑な事件を考案したことを誇らしげに語り、そして作品として発表するカーの当時の本格ミステリ作家としての矜持と野心と、そして気負いぶりが行間からにじみ出ている。

私の中で疑問に残っているのは本書の結末の意味だ。

本書には事件の真相を自分の中に落とし込むための解きほぐす作業と最後の件の意味を考える、読んだ後にも尾を引く要素がある。

あと最後に触れたいのは今やディーヴァーのリンカーン・ライムシリーズでお馴染みとなったロカールの法則が本書に出てくることだ。
恐らくディーヴァー作品を読む前に本書を読んでいたらスルーしていた内容だが、逆にその後だからこそカーの時代からこの法則が有名だったことが判ったのが収穫だ。

バンコランシリーズは本書で最後になり、私もカー読者になって約四半世紀でこのシリーズを全て読んだことになった。
とはいえ、ジョン・ディクスン・カー及びカーター・ディクスン作品読破にはまだ至っていない。

東京創元社にはこれからも長らく絶版となっているカーの諸作の新訳刊行を続けてもらいたい。大いに期待する。


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Tetchy
WHOKS60S
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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No.11:
(3pt)

複雑な気持ち

探偵アンリ・バンコラン最後の事件。
タイトル通りの”多すぎる凶器”の趣向に多少の興味は惹かれるが、これまでの事件に比べると地味の一言。
作者としては、このダンディーな悪魔探偵の素顔を明らかにして、花道としたいと思ったのかもしれないが、個人的には、その必要はあったのかなと複雑な気持ちにさせられる。
一番の問題は、作品全体に勢いが感じられず、登場人物も精彩に乏しいこと。過去の作品に溢れていた妖気めいた怪しげな魅力は失われ、バンコランが登場する意味があまり感じられない。ちょっと残念な作品だった。
四つの凶器 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:四つの凶器 (創元推理文庫)より
448811847X
No.10:
(5pt)

密室の王者が描く人間の心理

名探偵アンリ・バンコランが魅せる、最後の輝き。

この作品を一言で表現するならば、この言葉に尽きるだろうと思う。

本書『四つの凶器』は、アメリカの小説家、ジョン・ディクスン・カーによって書かれた“バンコランシリーズ”の最後を飾る推理小説だ。金持ちの道楽息子、ラルフ・ダグラスが自身の結婚を機に、高級娼婦ローズとの関係を清算しようとする。彼女が待つ別荘に足を運んだダグラスだが、そこにいたのは変わり果てた姿のローズだった。遺体のそばにはカミソリ、ピストル、短剣、睡眠薬という『四つの凶器』が残されていた。いったい誰がどのようにしてローズの命を奪ったのか。そしてその動機は。この難問に向き合うのが、アンリ・バンコランなのである。

本書には「繊細な人間模様」が描かれている。本書の魅力は、単純なトリックあばきではなく、人間の心理をていねいに描き上げているところだ。ダグラスを取り巻く怪しげな人間関係。それぞれの思惑と、犯行の動機。事件の関係者がそれぞれ「合理的」に行動することで、結果的に事件が複雑になっていくという「不合理」を招く。そしてその不合理を見事に解き明かしていくバンコラン。複雑に絡み合った人間模様が解きほぐされていく瞬間は、読者にとって至福のカタルシスとなる。「なるほど!そういうことだったのか!」と。

特に、物語の終盤で繰り広げられるトランプのシーンは圧巻で、読了後には脱力してしまうほどだ。わたしたち読者の思考でさえもバンコランは手のひらで転がしているのではないかと錯覚させられてしまう。バンコランは老いてもなお、その眼光の鋭さには変わりがない。その姿には畏敬の念すら感じる。バンコランファンのみならず、初めてこのシリーズに触れた読者も彼の虜になるだろう。

この作品には、推理小説では敬遠される「偶然」という要素が組み込まれている。推理小説が好きな読者はアレルギー反応を示しそうなものだが、この作品は「偶然」という要素を抜きには語れない。偶然を逆手にとって物語に深みを与えるプロットには舌を巻くしかない。「密室殺人の王者」の異名を持つ、ジョン・ディクソン・カーの手腕をまざまざと見せつけられる。

『四つの凶器』は長編小説ではあるが、コメディ要素も強く、とても読みやすい作品になっている。推理小説に慣れていない人にもおすすめの一冊だ。空想の世界に没頭し、忙しい毎日から頭を開放させるには格好の作品である。ぜひ本書を手に取って、最後の事件に向き合う、名探偵アンリ・バンコランの勇姿を心に刻んでほしい。
四つの凶器 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:四つの凶器 (創元推理文庫)より
448811847X
No.9:
(3pt)

過渡期の佳作

探偵役こそアンリ・バンコランですが、雰囲気はフェル博士,HM卿モノに近いです。
(事件の解明こそするが、犯人の処遇は・・・・・・という部分なども)
ポケミス版と違って堅苦しい翻訳ではないですが、逆に軽すぎるような気がしなくもないです。

トリックに関しては「個々の反応は間違ってないが、一連の現象は起こりえない」と言えます。
参考文献を読み込んだものの、実践(実験)経験は皆無なのだろうなと(笑)。
四つの凶器 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:四つの凶器 (創元推理文庫)より
448811847X
No.8:
(3pt)

少し無理が

事件の複雑さを増し、犯人推理の楽しみを強調したいために、殺人の経緯に少し無理を感じ、読み終わった後もすっきりしない。テンポ良く読める点は楽しかった。
四つの凶器 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:四つの凶器 (創元推理文庫)より
448811847X
No.7:
(4pt)

やっと手に入れた

この「四つの凶器」だけがなかなかなくて、あってもやけに値段が高く、手に入れそこなっていたが、やっと新訳が出て手に入った。読み始めて思ったのは、この先、バンコランではなく、フェル博士かHMが出てくるんじゃないか、という雰囲気で、初期のバンコラン物のおどろおどろしさは薄い。いいか悪いかは好みの問題。カーマニアならぜひどうぞ。カーを初めて読む人には、他のものをお勧めします。
四つの凶器 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:四つの凶器 (創元推理文庫)より
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