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月明かりの男



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【この小説が収録されている参考書籍】
月明かりの男 (創元推理文庫)

月明かりの男の評価: 6.67/10点 レビュー 3件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.67pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(7pt)

月明かりの男の感想

著者初読み。1940年の作品ですが、新訳の為か大層読み易い。月明りの中逃げ出した犯人、三人の目撃者は全く違う証言をする。素晴らしい掴みからラストの意外な犯人との対決まで、きちんと整った端正なミステリーでした。当時最新の科学捜査と社会的背景が描かれている割には、現代の日本で読んでも楽しめるのは凄いですね。「本格ミステリベスト102018年版」第三位。シリーズを追いかけて見たい作品に出合いました。おススメします。

なおひろ
R1UV05YV
No.2:
(6pt)

月明かりの男の感想


▼以下、ネタバレ感想

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氣學師
S90TRJAH
No.1:
(7pt)

絶え間なき心理戦

原題は“The Man In The Moonlight”。
元祖精神科医探偵ベイジル・ウィリング博士のシリーズ第2弾が本邦初訳で登場。シリーズのメインキャストの「あの人」が今作で初登場。魅力的な容疑者のひとりのため知らずに読んだ方が(ミステリとしては)楽しめるが、知っていたら知っていたで感慨深いものがある。

フォイル次長警視正は立ち寄った大学で殺人計画の書かれたメモを拾う。なにかの悪戯かと思われたが、直後構内で行われていた奇っ怪な心理学実験の最中に拳銃が消えてしまう。気になったフォイルがその晩再び大学を訪れると、予感が的中して生化学の教授が遺体となって発見された。日中フォイルと顔を合わせていたその教授は「絶対に自殺はしない」と断言しており、また現場から逃げ去ったとされる犯人の目撃証言は悉く食い違っていた。嘘をついているのは誰か? 動機は一体なんなのか? そして謎に包まれた被害者の過去とは? ウィリングはその観察眼で次々と謎を暴いていく。

解説の鳥飼氏と言いたいことの多くが被ってしまうが、このウィリング博士ものの作品はいろいろなテイストのミステリが混じっている。特にサスペンステイストの強い作品と、正統派の本格ミステリが評価を得ることが多く、今作のベクトルはどちらかと言えば後者である。今作の一番の魅力は綿密に描かれた登場人物たちの腹の探り合い。作中延々と心理戦が続いており、ユニークな登場人物の魅力が引き立つ要因となっている。また心理学(或いは精神医学)的な何かを取り入れたとされるミステリは古今東西枚挙に遑がないが、それらには首を傾げたくなるようなものも多い。その点今作はなかなかに誠実な出来のように思われる(もちろん無理くりこじつけていて説得力がない部分もないとは言わないが)。ド派手は展開はないものの、本格の名手マクロイ、さすがの安定感である。

探偵役に個性がなさ過ぎるという指摘もあるし、事件自体も地味だったりするが、意外な手がかりに奇妙な事件、めまぐるしく変化する時代背景を色濃く受ける美しい筆致、不思議な中毒性があってまだまだ止められそうにない。

非澄
MP0X59EF

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