(短編集)
ゆめこ縮緬
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ゆめこ縮緬の総合評価:
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全1件 1~1 1/1ページ
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分かり易いエンタメ作品が好きなくせに、たまに触れて見たくなる皆川作品。やはり読むのにぐったりと疲れてしまう、幻想怪奇小説集。生者か死者か、現実か夢の中か、境界が曖昧になり、今誰が何を話しているのか分からなくなる。現在の事か過去の事か、自分が今何を読んでいるのか分からなくなる。独特の表現は、集中して読まないと、難しすぎて全く理解出来なくなる。ただしお薦めしないと言う訳では無い、読んで後悔する事は無いと思うので。対象者は、平易なだけで作文みたいな文章に飽き足らなくなった方、物事に白黒付かなくても許容できる方。 | ||||
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GOOD | ||||
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表題作の他、「文月の使者」、「影つづれ」、「桔梗闇」、「花溶け」、「玉虫抄」、「胡蝶塚」及び「青火童女」の全8つの作品から構成される幻想恐怖短編集。 個々の短編を云々するのはヤボなので、全体の印象を。読者をいきなり惹き込む鮮烈な冒頭の一行、過去と現在と夢想と冥界とが混沌とした世界の構築、たゆたう様に流れて行きながらジワジワと怖さが滲んで来る緻密な全体構成力、冒頭と対比させるかの様な鮮やかなラストの一行、どれを取っても素晴らしい。各編に性的仄めかしを織り込んでいる点も特徴で、艶めかしさを漂わせている。 各短編名から想起される様に、草花をモチーフとした作品が多いが、この他、長く伸びる黒髪、切られた指(2編に出て来る)、中国の妖狐、玉藻前、殺生石、鳴く地蔵、ロマノフ王朝の滅亡、玉虫厨子などの古今東西のモチーフが詰まっている。時代設定(大正末期~昭和初期?)のせいか、軍靴の音が響いて来る短編も多いが(作者の意図か否かは不明)、そのせいか、親子を初めとする家族・親族間の関係を冷静(あるいは狂気の如く)に断ち切っている短編が多く、これが怖さの1つの要因となっている。 作者のミステリも悪くないが、何気ない日常の中に潜む狂気・幻想を描き出した本作の様な作品も作者の持ち味の1つであろう。それを理知的に描いているのだから怖ろしい。秀逸な短編集だと思った。 | ||||
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幻想的で純粋な残虐性がたまらない。トレースされたカバーを外すと魅惑的な色をしたお人形の姿がはっきり見えます。物語内で引用される西条八十の「砂金」も効果的に使われ、素晴らしき幻想世界が増しています。目覚めたくない夢の中に連れていってくれました。 | ||||
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いつものごとく、描かれる世界は琥珀色した幻想の世界だ。ぼくは皆川博子の一連の幻想物を読む時、いつも夢の不条理と原初的な恐怖を味わう。そこには一種の麻薬のような常習性が存在し、何度でもそこに溺れ絡めとられる悦びがある。彼女の描く世界を理解せずとも同じ目で見ていたい。切実にそう願いながら、ぼくはページを繰る。到達できる高みは個人の力量ゆえ、人それぞれだ。ぼくはぼくなりに、彼女と同じ世界を見、体験し、消化していきたいと願う。彼女の歩いたあとの臭跡を辿りながら、ある意味法悦にも似た悦びを感じて追いすがる。これぞ読書の愉楽。もって瞑すべし。 とまあ、ノロケはこれくらいにして本短編集なのだが、相変わらず唸ってしまうのである。鮮やかで衝撃的な幕開けで強引に渦中に引きずりこみ、有無をいわさぬ展開で一気にラストまで引っぱり、満足のため息と共に終焉をむかえる。全八編クライマックスだといってもいい。その中でも特に印象に残ったのは、仕舞た屋風の煙草屋でのなんとも奇妙なやりとりがいきなり魔界に豹変する「文月の使者」。九尾の狐で有名な玉藻前の怪異譚を下敷きにした「影つづれ」。み、みィと鳴く地蔵が不気味な「桔梗闇」の最初の三編だ。皆川博子の描く数あるイメージは美と残酷を対立させることなく巧みに溶けあわせ、喜びと痛みを同時に味わせるという離れ業を、いとも軽々とこなしてしまう。なんとも贅沢な短編集だった。 | ||||
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幻想短編集。ハードカバーの表紙は着物の胸元がはだけた和風な子供の流体間接人形のなのでかなり妖しい。短編のほとんどに影のある幼い子供が登場する暗い物語だが、そのなかに蠱惑的な美しさがある。幽霊が現れたり、異世界に紛れ込まなくても、これほど幻想的に物語が書けるものかと驚かされた。ほとんどの話が大正か昭和初期あたりの裕福な屋敷に生まれた子供を中心に書かれている。登場人物や家族関係、生活など現実を事細かに描写しているが、読んでいると薄もやがかかったように現実感がない。とてもリアルな夢をみているようだ | ||||
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