ジャムの真昼
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皆川博子さんの幻想小説は大好きだったので、購入いたしました。 やはり買って良かったです。 面白い本でした。 古本ですが、とても綺麗でした。 | ||||
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耽美で退廃的な作風で一部に熱狂的ファンをもつ皆川博子の欧州(最後の一遍はニューヨークですが)を舞台にした短編集。 どの作品も戦争が暗い影を落としています。登場人物は大戦を経て生き残った、あるいは生き延びた人々なのですが、今でも戦時中に負った深い心の傷に苦しんでいたり、自ら犯した罪の呵責に怯えていたり、狂気の淵に近いところを危なっかしく歩いている。 たとえるなら、甘美で美しい狂気の瓶詰めだ。 悪夢のように毒々しく鮮やかな色彩の瓶に詰まっているのは、蕩けるように甘く、退廃の香りがするジャム。子供が決して舐めてはいけないもの、一度舐めたら戻ってこれなくなる禁断の味だ。 特に表題作と「おまえの部屋」の不気味な余韻が気に入った。 両者とも血族の呪縛が軸となる悲劇を描き、妄想と現実が迷宮のように入り組んだ陰惨な美しさで読者を幻惑する。「光る輪」のミステリ的仕掛けにも吃驚。有栖川有栖や綾辻行人がファンなのもわかります。 「死の泉」がぴんときた方、長野まゆみをもっと濃くしたような作風がお好きな方は手に取ってください。 | ||||
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それぞれの短編が写真や絵画からインスピレーションを得て書かれているのが特徴である。各短編の扉にその写真や絵が配されているのだが、これがどれもいかにも物語を内包していそうな作品ばかりで、作者の慧眼におそれいるばかりである。 なかでもラストの「少女戴冠」に配されている写真のインパクトは絶大だ。セピア基調のシックな画面の中に一人の裸の少女が手鏡を手にして映っている。しかし、座している少女の左手は肘のあたりで潰え、その下の乳房もない。そちら側は腹から腰にかけてケロイド状に爛れ、左足も膝から下は義足である。だが、手鏡を見る少女の横顔は凛として美しい。美と醜の対比によって、どちらもが強調されて頭を殴られたかのような衝撃を与える写真である。この写真から紡がれた物語は他の短編とは少し趣きを異にしている。作者自身が登場し、ニューヨークで体験する不思議な物語が語られる。そこには救いがあり、魂の交歓が描かれる。素敵な作品だ。他の短編も、皆川作品特有の読む者に媚びない硬質な作品ばかりで、その潔い書きっぷりにまたまた惚れ込んでしまった。本来なら明らかにされるはずの舞台設定や状況説明が省かれた短い物語は、それゆえに鮮やかに切りとられ、それぞれが印象深い。ラストで意外などんでんがある作品もあり、楽しめた。本書も文庫になってないようだが、これは単行本で所有したい一冊である。しかし、注目するようになってこの作者の扱いに疑問をもつことが多いのだが、これだけ素晴らしい作家なのにどうして書店に本がないのだろう?特異ゆえに売れ筋ではないから、商業ベースにのらないということか。なんとも悲しいことである。 | ||||
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文学の枠を越え、多彩な作品を今現在も発表し続けておられる高齢の幻視者・皆川博子氏の貴重な作品ばかりが揃っている。過去、大戦下のドイツで、戦争やユダヤ人虐殺などの、時代の狂気に翻弄された人々が、淡々と静かに現在を生きる物語が大部分を占めている。 ひとりの人間が過去のどうにもできない罪や痛みを抱え、泣き喚くでも理路整然と自己を正当化するでもなく、ただそこにいる、という姿はいたましく、しかし類い稀な文章力の所為か、このうえなく美しい。なるべく多くの、現代を生きる人々に読んで頂きたい、素晴らしい一冊と云えるだろう。 | ||||
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