クロコダイル路地
- 脱出 (172)
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1000p越えの重厚なレンガ本。読了し、虚脱感に襲われている。 ここ20年の皆川作品はとにかく文章が独特で理解不能な変態小説ばかり。絶対に一般受けしないだろうし、皆川先生も一般受けするつもりで、あるいはベストセラーを狙って書いていない。だから私は人に勧めないし勧められない。読書は自己満足でいいと皆川作品を読むたびに思う。 さてこの作品、18世紀後半のフランス革命を描いた歴史小説である。前半はフランス編、後半はイギリス編と2部構成になっており、フランス編はアクションシーンが多くサスペンス小説に、イギリス編は一転落ち着いたミステリ小説になっている。特に主人公ロレンスの心理描写は特筆もの。平凡な主人公であるがゆえに、ラストは唖然となる。 「なんか面白い小説ないかな?」的なことを考えている方には絶対にお勧めできない。 皆川作品のコアなファンの方、普通の読書に満足できない方、本棚に飾っておきたい方にだけおススメです。 | ||||
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『聖餐城』、『死の泉』、『薔薇密室』、『開かせていただき光栄です』など、皆川先生の過去の歴史長編作品がお好きな方はまず間違いなく楽しめる作品だと思います。 革命期のフランスが舞台である前編は、まるで新書の歴史本を読んでいるかのような情報量で圧倒されますが、フランス史に明るくない自分にも分かりやすく読める書き方でさほど混乱する事もなく読めました。 後編はロンドンに舞台が移り、戦争描写の多い前編に比べるとスケール感がやや縮小気味になり、その分より登場人物たちの心情やミステリー要素にスポットが当たるようになったと感じます。 前編と後編で趣が変わりながらも飽きることなく最後まで楽しめる作品でした。 特に後編は『開かせていただき光栄です』ファンにはうれしい(悲しい?)サプライズもあり、気になる方は必読です。 | ||||
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本棚に並んでるこの本を見たときに一目惚れしました。 分厚い・・・1000ページ超え・・・・。 手のひらにずしりと来るこの重みを感じた瞬間、もはやこの本を見過ごして行くことなど出来なかった。 ちょっとパラパラとめくると、怪奇な挿絵が到るところに収まっている。 どういう小説か、そんなことを考えるよりも「この小説を自分のモノにしたい」という衝動のままレジへ。 まだ読んでません。机においてちょっとパラパラめくったり、立体的なこの本を眺めながらウットリしております。 (物理的外装も本の価値の一つであり、それを評価するのも商品レビューだと思っている) こんな小説はちょっとやそっとではお目にかかれません。 分冊されて上・中・下とか3冊にバラバラになってたら100%買わなかったですね。 一冊にまとめるという決断をした編集者は良い仕事をしました。 読む前からパーフェクト! | ||||
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いつもながら、洗練された文章は読んでこころよい。 冒頭の一文は、ゴッホの手紙から着想を得たと、皆川先生はインタビューで話しておられた。 脇役に、驚異的な厚みがある。 筋を通そうとするピエール、頼りがいのあるブランシュさん、せこいけど根は善人のドブソンさん。 しかし、一点理解できないのは、主人公であるローランのコレットへの感情だ。 ローラン自身によって多く語られてはいるが、他者として可能性を挙げれば、 1)運命の女(マンイーター)に魅了された 2)親族への愛は薄かった 3)全共闘のようなイデオロギー となるけれど、自分としては違和感が残る。 こういう不快さを紛れ込ませるのも、皆川作品らしいともいえる。 フランス革命期の話だけど、皆川先生の1970年代体験が重なるような気もした。 | ||||
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(ネタバレ?) 主人公ロレンスがこの上なく病んでいるので感情移入して読むのが大変でした。 思春期の彼の心に植え付けられた精神の闇はは鰐―クロコダイル―をの姿を象徴して描かれます。 本書では思春期の男女の複雑な心や登場人物の複雑な思考が描かれています。 ロレンスとコレットはブルジョワそして貧民と、身分は異なりましたが フランス革命が起きた混乱の時代の中 子供らしく過ごすこともできず あの中で生き抜くとしたら何が悪くて何が良いのか 判断の難しい境遇でした。 ロレンスは亡くなった母を侮辱し淫売に成り下がったコレットを憎みます。 コレットもまた、ロレンスとプーヴェに置き去りにされ餓死寸前にされたことからひどくロレンスを憎みます。 ですがナント脱出前の商会のくだりで、 相容れない二人が身体の関係(か、それに近い物)があったことが示唆されてます。 ほぼ家族と家庭教師だけとの交流しかなかったロレンスにとって 年齢の近い女性との交流は今までなく、 はじめての情欲の相手がコレットでした。 コレットもまた“女”を武器に権力者に媚びていたコレットも 兄と近い年齢のロレンスには 愛玩具として使われていることをわかりながら 他の男達との打算的な関係とはまた違う特別な感情をもっていたと思います。 Ⅱ巻で彼女がプーヴェの思惑により殺されかけた 事をしったロレンスが、後に心の内側で飼い慣らした鰐―クロコダイル―を解放させ、 後々、ロレンスが彼女の犯行に加担したのも 以前の『開かせていただき光栄です』より人間的な理由かなと思います。 あちらの方がエンターテイメントや娯楽に適した本ですが、 同じミステリーの部類でもこの『クロコダイル路地』は仕掛けの質よりも 読者がどっぷり様々な感情と思考の渦に浸らされる重厚な内容でした。 最後の結末で、ある意味二人はやっと自由を得たのかもしれません | ||||
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