パラドックス・メン
- ワイドスクリーン・バロック (4)
- 記憶喪失 (81)
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ワイドスクリーン・バロックというジャンルのSF作品だそうだ。とはいっても、本作品の定義として、ワイドスクリーン・バロックという言葉を作ったようなので、そもそもワイドスクリーン・バロックとは何ぞやといわれても、これを読むしか理解できない。わけのわからないことを書いているが、本作品も突飛だ。しかし、ストーリーはあるし、SF的にきちんと成立していて読みにくいことはない。肩ひじ張らずにページを繰れば楽しさが伝わってくる。1953年に書かれた作品であるが、オリジナルであるがゆえに時間を超えて今でも楽しめる。それとも未来に書かれた作品が時間を逆行して過去に出版されたのだろうか。そんなことを思ってしまう作品だ。 | ||||
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ベスター者です(特に分解が好き)。 なのでワイドスクリーンバロックに分類されるヴォクトやベイリーを読みましたが、まるで合わない 笑 そりゃ例えばスペオペ言ったってレンズマンや銀英伝からソルジャークイーンまであるから、当然合わないのもある。 で今作も「どうせ合わないんだろうなー」と思ってたが。 ああコレ良いですね! まず表紙の意味不明さからイイ! あ~コレ、まともな話じゃないんだなと 一瞥で判る 笑 未来世界を舞台にしてるが戦いはサーベルにレイピアとか・・・。 未来世界でロボすら出るのに、手袋投げつけて決闘するゴンゾの巌窟王みたいだなぁとかニヤニヤしてたが。 よくよく考えれば、ゴンゾの巌窟王がそもそもはベスターの虎をアニメ化しよう!でスタートした企画であったなぁと。 起源であるならば、そういう近似も判る。 主人公に記憶がないとか、終盤のデタラメな流れとか、もうたまらんなー 笑 たしかにワイドスクリーンバロックだな、と納得した次第です。 いや~楽しかった。 | ||||
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不愉快な長文失礼します。ほならね、自分で訳してみろとなるが日本語の文章としてはかなり読みにくい。英文をGoogle翻訳にかけたような読みづらい文構造が多いし、単語もそのまま直訳した感じがする。英文構造全体をぶち壊してでもいいから読みやすい日本語訳にするべきだと思う。正直言うと読むのにものすごく疲れたし勿論高評価なんて与えるつもりはない。話自体はとても面白くその点では楽しませてもらいました。 | ||||
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「ジョン・ヘイヴンがかつて指摘したように、だれかが原始人の時代にまでさかのぼり、彼らの遺伝子と染色体にありえないほど複雑精緻な遺伝子工学の技をふるわなければならないだろう」(164頁) 本書『パラドックス・メン』の刊行は、1953年。 遺伝子工学は1970年代に発展した新技術です。 1953年に、著者は20年近く先の未来技術を予言したのでしょうか? 同じ1953年には、ワトソンとクリックが遺伝子DNAの二重らせん構造モデルを発表。 二本の同じ、核酸塩基配列の鎖が互いに逆方向に絡み合っているという構造モデルです。 この発表が、本書に登場する二人の男(同じ一人の人間に重なる男)が、同時期に、 一方は進化し、もう片方は退化するという逆方向の変化が同時に進行するという、 パラドックス・メンの物語を着想するモデルになったのでは、と読者は推測しました。 1953年の遺伝子DNAの二重らせん構造の発表が、 1953年の『パラドックス・メン』の着想のヒントになったのでは? 小説の着想に少なからず影響したのではないかと思いました。 70年近くも前の傑作を、2019年に初めて日本語で読めて、うれしいです。 《備考》 本書『パラドックス・メン』に登場する〈面々〉からご紹介します。 巻頭の「主な登場人物」をご覧ください。 アメリカ帝国の宰相も宰相夫人も登場する物語です。 アメリカ帝国大学教授三人には、「〈盗賊〉」と説明が付いています。 アラール アメリカ帝国大学 天体物理学教授〈盗賊〉 ジョン・ヘイヴン アメリカ帝国大学 生物学教授〈盗賊〉 マイカ・コリップス アメリカ帝国大学 民俗学教授〈盗賊〉 大学教授が「〈盗賊〉」? 「現在の政治的分裂――〈盗賊〉対政府」(98頁)? 政府に対峙しうる〈盗賊〉? 政治的野党ということ? 原住民インディアンのこと? どっちが盗賊だ? という声も聞こえそうです。 「ヘイズ=ゴーントの政府には〈結社〉のメンバーが相当数はいりこんでいるということだろうか?」(114頁) パラドックスのような「きみの答えはあまりにも明快なので、完全に不明瞭だ」(152頁) 脱力脱帽脱糞。 「現在の政治的分裂――〈盗賊〉対政府」(98頁)がパラドックス? 「はじまりも終わりもない」(180頁)は、タイム・パラドックス? 「旅が終わったとき、二体の生きものが船から出てくることになる。ケニコット・ミュールはそのときにはアラールに進化しているだろう。もう片方はヘイズ=ゴーント――変化したヘイズ=ゴーントだ……」(320頁) 進化と退化が同時進行する奇妙な物語。 アラールとヘイズ=ゴーント。この二人が、この本に登場するパラドックス・メンか? 同時期に、一方は進化し、もう片方は退化するというパラドックス・メンの物語? パラドックスのような、矛盾し相反する二面性を持つ人間を描いているのか? 二重スパイの知性のようでもある、複雑怪奇な物語。 「本件には異例で、奇妙ですらある状況が存在する」(129頁) それでは、一人ずつ紹介。 〈主人公のアラール〉 「黒髪」(204頁)。「黒い目」(56頁)、「爛々(らんらん)と光る黒い瞳」(207頁) 「あのかなり幅広く柔和な顔と、不釣り合いな厳しい黒い瞳」(145頁) 「わずかにふくらんだ額、大きな黒い瞳、少女を思わせるような唇」(79頁)。 カバー見開きには、黄色と黒の「唇」。扉にも「唇」。裏表紙のカバーにも、緑色の「唇」。 この「唇」に何か意味がありそうです。 「『ケイリス』その名前を唇でいつくしむ」(208頁)アラール。 アラールは「唇をなめ、咳払いした」(211頁) 「アラールはひどいいらだちに駆られて下唇を噛んだ」(234頁) 「アラールは判断を迷って唇を噛んだ」(253頁) 「アラールがミュールによって書かれたT-22の航宙日誌とともに発見された」(209頁) 「三十歳くらいの青年」(14頁)。「天体物理学の博士」(14頁)。 「カルコフ大学のホールマーク博士です」(109頁) 「あなたはこれから天体物理学者のフィリップ・エイムズになりすまします」(141頁) 〈盗賊結社〉の〈盗賊〉。「茶色い〈盗賊〉のマスク」(105頁) 「進化」(104頁)? 「二重の策略」(142頁) 二重スパイ? 「〈盗賊〉と帝国の両方に探されている身とあっては。身元を偽ってこの観測所にいる」(163頁) 月の観測所に身を寄せているアラール。 〈ジョン・ヘイヴン〉 「小柄な生物学者」(59頁)。「退化」(104頁)こそ進化? マイカ・コリップスは、「青い目」(56頁)。マイカは「死んだ」(72頁)。 〈ケイリス〉 「黒い瞳」(172頁)。「ひと筋の銀髪」(201頁) 「きみには腕がない」(205頁)とアラール。 「ケイリス・ミュール」(169頁) ミュールの妻ケイリス。 〈キム・ケニコット・ミュール〉 科学者、ケイリスの元夫。キムとかミュールとも呼ばれる。 「ミュールの『宇宙力学』」(162頁) 「ケニコット・ミュールはわたくしの夫でした」(169頁)とケイリス。 「ミュールによって書かれたT-22の航宙日誌」(209頁) 〈メガネット・マインド〉 「かつては一介のサーカス芸人で、答えが活字になったものであれば、どんな質問にも答えられたそうです。それから十年ほど前火事にあい、顔と両手がふた目と見られぬものになりました」(168頁) 「ああ、巨大な網(メガネット)をそなえた精神(マインド)とは」(171頁) 【読者のこころの釣り針に引っかかった本書の言葉】 「記録は破棄したり、改竄(かいざん)したりできる。事実は隠蔽できる」(194頁) (注記) 日本政府の話ではありません。アメリカ帝国と対峙するアラールの言葉です。 「この連中はひとり残らず正真正銘の狂人なのだ(傍点あり)」(241頁) 【兄弟】 「共通の体験が彼らに烙印を押し、溶接して、地球から出ない兄弟たちの埒外へ放り出したのだった」(239頁) 「『すべての人間は兄弟だ!』と齢(よわい)を重ねたネアンデルタール人が叫んだ。『争う気はない。おれたちは腹をすかせている』」(323頁) 「ネアンデルタール人と、その前後の原始人は、理不尽な殺し屋から、人はみな兄弟だと進んで認める人間に変わらなければならないだろう」(164頁) 「人はみな兄弟」なんでしょうか? 「すべての人間は兄弟だ!」(324頁) なんと力強いお言葉。 おしまい。 | ||||
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主人公の盗賊アラールの昼間の顔はアメリカ帝国大学教授。しかし、過去の記憶はない。 帝国の独裁者である宰相ヘイズ=ゴーントは全知全能の男メガネットの示唆に従い、帝国の最大のリスクとなる アラールの抹殺を指示する。この危機こそはアラールの超人的能力を覚醒させるのだ。 美女と狂人、科学者それにトインビー学派の歴史学者と盗賊結社の織りなすスペクタクルはド派手そのもの。出版された1953年という人間の拡張の時代の産物だろうか。 現代のハリウッド映画が生み出したスーパーヒーローたちはアラールに比較したらただのマッチョでしかないかもしれない。ともかくも主人公の人生は急転直下、ピンチのあとにまたピンチ、窮地のあとにまた窮地の連続だ。 それを理詰め(SFの許す範囲)で乗り越えるのだから、往年のファンは唸らされる。幼児的全能感が120%だ。 | ||||
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