(短編集)
あなたの人生の物語
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私の想像力を数段上回る世界を、現実かのように描写している作品です。 各作品で、いくつもの新しい世界観を提示しているので、自分の世界が拡がっているように感じました。 あまり読書家ではない私からすると、難解な部分も多かったです。 絶対に読んで後悔しない1冊です。 | ||||
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テッド・チャン(1967年~)は、台湾からの移民2世として、ニューヨーク州に生まれ、ブラウン大学(コンピュータ・サイエンス専攻) 卒。高校~大学時にも短編を投稿し続けたが採用されず、大学卒業後に創作講座のクラリオン・ワークショップに参加し、講師だったトマス・デニッシュに評価され、1990年のデビュー作『バビロンの塔』でネビュラ賞(米国の作家達が選ぶ、ファンタジー作品に与えられる賞)を受賞。これまでの作品は全て中短編で、1998年の『あなたの人生の物語』でネピュラ賞、2001年の『地獄とは神の不在なり』でヒューゴ―賞(米国の読者達が選ぶ、ファンタジー作品に与えられる賞)とネビュラ賞を受賞。本業はソフトウェアのマニュアルなどを作るテクニカル・ライターで、書く価値のあるアイデアが思いついたときに執筆することが信条で、専業作家になるつもりはないという。 本書は、上記の3作品のほか、『理解』、『ゼロで割る』、『七十二文字』、『人類科学の進化』、『顔の美醜について』の5作品を収録した短編集で、2002年に出版、2003年に日本語版が出された。 また、表題作『あなたの人生の物語』は、2016年に米国で映画化されている。 私は特別SFファンということはなく、過去に、『2001年宇宙の旅』、『日本沈没』、『復活の日』、最近、『星を継ぐもの』、『渚にて』、『火星の人』のような有名作を読んだ程度だが、本書についてはたまたま新古書店で目にして、入手した。 読み終えて、まず、各編のアイデア・テーマの奇抜さと幅広さに驚き、また、上記のように、チャンが、書くに足るアイデアが浮かんだときにだけ書く、と言っている意味が分かったような気がした。 中でも、『あなたの人生の物語』は、非常に凝った構成となっており、実に興味深い作品である。言語学者のルイーズ・バンクス博士は、突然地球に現れたエイリアン「ヘプタポッド(7本脚)」とのコミュニケーションを図る中で、彼らの書き言葉が人類のあらゆる言語と異なる二次元的構造をもっており、それは、彼らの時間認識の方法が、人類のような順次的・因果論的なものではなく、同時的・目的論的なものであることを示していることを解明するプロセスを縦糸に、ヘプタポッドの同時的思考を理解するようになったバンクス博士が、身籠ったばかりの娘の成長と事故による死別を知るようになり、その未来の事実を娘に対して語りかける言葉を横糸に、話は展開する。読んでいる途中ではわからないのだが、読み終えて初めて、この構成の妙に気付くのだ。 一方、『バビロンの塔』や『地獄とは神の不在なり』は宗教性が強く(特に後者は)、日本人にはやや馴染みにくい作品のような気がするが、欧米の人にとってはどうなのだろうか。。。(尤も、チャン自身は宗教的背景を持たずに育った、と語っているそうだが) SF&ファンタジーの世界を広げてくれる一冊とは言えるのだろう。 (2024年6月了) | ||||
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大好きな映画「メッセージ」(映画原題 “Arrival”)の原作「あなたの人生の物語」が収録されているので読んでみた。このテッド・チャンという作家の視点は面白く読む価値あり。 8短編中、「理解」「あなたの人生の物語」「地獄とは神の不在なり」「顔の美醜について ― ドキュメンタリー」が面白かった。特に「顔の美醜~~」は秀逸。ルッキズムへのひとつの回答というか参考テキストかもしれない。 それから「あなたの人生の物語」は、映画とは全然違うが、この原作から、よくあの脚本やら映画を作ったもんだと思う。映画の脚本家凄いかも。 | ||||
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きょうから寝るまえの読書は、テッド・チャンのSF短篇集『あなたの人生の物語』だ。再読であるが、1作も記憶にない。なんという忘却力。人生で起こった厭なこともいっさい忘れてしまえたなら、人生に対する思いも変わっていただろう。実人生における厭なことというのは、教えてくれることも大いにあるのだから、記憶に残っておいてもらわなければならない。うれしかったこととともに。ぼくが詩を書く理由のひとつだろう。書くものから学べる。 1作目は、「バビロンの塔」バビロンの塔に登る職人が主人公。「生まれてはじめて、夜の正体を知ったのだ。夜とは、大地そのものが空に投げかける影であることを。」という印象的な言葉がある。物語は、バビロンの塔の頂上が地面と同じ位置にあるという位置的な不思議さを描いたもの。 2作目は「理解」薬を投与されて劇的に知能が発達した主人公。主人公よりまえに薬を投与された男と決闘する。負ける。 3作目は、「ゼロで割る」数学者が主人公。自分の考えたことが数学自体に反することに気づいて悩むという話。 4作目は、「あなたの人生の物語」異星人とコンタクトして意思疎通をはかる主人公の言語学者。異星人の言語を理解することは、自分の意識が現在と未来の間を行き来することになる。 5作目は、「七十二文字」ゴーレムがいる。文字を書くことによってゴーレムは動く。人類もあと5世代すると滅びることが科学者によってわかった。卵子に文字を押印することによって人間を生まれさそうとする。主人公はその方法にどうやらたどり着けそうだ、というところで作品は終わる。 6作目は、「人類科学(ヒユーマン・サイエンス)の進化」超人類が出現したが、人類は彼らを恐れる必要がない、と書いてある。 7作目は、「地獄とは神の不在なり」天使の顕現で妻を失った主人公が、自分も妻のように天国に行けるように努力したが、けっきょくは地獄に堕ちたのだった。 さいごの8作目は、「顔の美醜について」美醜失認処置ができる世の中になっているところの話。 | ||||
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公手成幸さんの繊細な訳にまずは拍手ですが、それにしてもドゥニ ヴィルヌーヴによる映画化も恐るべき仕事ですね。 確かに映画から入った方が落胆する気持ちは少し分かります。 とは言え、小説という表現形式が、映像作品と乖離するのはある意味で当然であり、映像化作品というものにまつわる宿命かなと思います。 (ゆえに作品の映像化を拒否する作家も存在する、と言うことでしょうね。もしくはキングのシャイニングを考えてみると、斯界の泰斗同士ですら、泰斗同士であるがゆえに、結像すべき表現のゴールに齟齬がある、と言うことが分かります。) さらにSF小説というジャンル味が強い領域なので、ジャンル的なリテラシーに馴染みがあるか無いか、で篩にかけられてしまう気はします。 (逆に言うと、いかにドゥニ ヴィルヌーヴの映画作品が、大衆娯楽性をも存立させていたかということでもあるでしょうか。翻って恐るべき傑作でした。) 個人的には☆5では足りないので、10くらい付けたい所存ですね。 | ||||
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