月は無慈悲な夜の女王
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ハイラインのSFは少し気に言っていたので試しに購入してみました。でも内容を見ると本筋と関係のないような会話が多く増長で、読んでいても時間の無駄のように感じました。好きな方はそれでいいのかもしれません。でも私はもっと核心に迫って論理的な筋立てを期待していました。また60年代のころの小説のせいか月世界で穀物が生産されると言う何とも現実とのあわない設定が書かれているも月のことをほとんど知らない世代なので仕方ないかなとも思います。人間がまだ月に行ってなかった時代の人たちの想像力がわかりますよ。 | ||||
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古典作品は、ときどき、読まなければならない圧力を携えて迫ってくる。 『月は無慈悲な夜の女王』 も、またそのようなSF作品の古典として名著として、界隈から称賛されている。 1965年(*)の本作は、地球の流刑地であり植民地として搾取されている月の人々が、あるとき自己を認識し知性をもちはじめた電子計算機/人工知能を味方にして、地球に対し独立を宣言、革命をおこすという物語。 *人類/アポロが初めて月面着陸したのは1969年。 2024年の今でこそ、ChatGPTやAIが身近となり、AIのチカラに対する称賛と畏怖が語られる時代になったが、それを59年前の作品で想像し、予見し、技術論だけではない人々の生活をAIがどのように変革させるのか、までを物語にした本作の筆致は驚嘆しかない、 が、 だからといって、すべての人々に薦めたい古典作品か、というとかなり疑わしい。 それは、矢野徹の訳があまりに無慈悲だからであり、古典だ名著だと崇める外野の声があまりに"大きすぎる"せいでもある。 つまりは、本作のもう一人の主人公である"人工知能"に、人間よ679頁の本書を読んでこれが古典か否か"自分"で考えろ、と云われているようでもある本作、 ロバート・A. ハインライン 『月は無慈悲な夜の女王』 矢野 徹 訳 | ||||
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. 西暦2076年、月に建設されていた植民地社会は地球との貿易価格の不当さを訴える。輸出小麦は地球に買い叩かれ、農耕用電力は地球の言い値で買わされていたのだ。自由で平等な市場活動を求めて月世界人は地球からの独立を画策し始める。主たる人物は「おれ」こと、計算機技士のマヌエル・ガルシア・オケリー、地球反対集会で知り合った女性のワイオミング・ノット、独立運動の頭脳ともいえるベルナルド・デ・ラ・パス教授、そして自意識を持って言語を話す計算機のマイク(ロフト)だ。 攻撃用の宇宙船もミサイルも持たぬ月世界人は果たしてどのようにして独立戦争を戦うのか……。 --------------------- 20世紀SFの3巨頭のひとり、ロバート・A・ハインラインが1965―1966年に雑誌で連載した巨編です。早川書房が単行本で邦訳を出版したのが1969年、文庫化が1976年で、私が手にしたのはその文庫の新装版です。新約版ではないので、従来どおりの矢野徹訳です。 私がこの小説を初めて手にしたのは、今からおよそ50年前のこと。確かその前に手にした『夏への扉』に心躍り、ハインラインの別の作品を読んでみようとして、詩情溢れる邦題に魅かれた末のことだったと記憶しています。ですが、無学な中学生には歯が立ちませんでした。独立革命の何たるかも、市場経済の理不尽さも、わかってしませんでした。物語の展開を十全に理解できず、途中で頁を繰るのを諦めてしまったのです。 しかしこの書はあの時からずっと私のバケット・リスト――死ぬまでに読みたい本一覧――に載ったままでした。還暦を過ぎた今、たまさか駅前の書店で「AIと共に月が地球から独立する物語」と、最近注目されている生成AIにひっかけた謳い文句を付されて、平積みされているのを目にしました。悔いを残さないためにも再度挑戦することにしたのです。 680頁になんなんとする大長編です。今回読んでみて、中学生の私はこれを421頁あたりまで読んだことに思い当たりました。独立を地球側に承認させるべく、主人公たちが月の6倍もある重力にとても苦労する場面は覚えていたからです。 さて、物語は物言う計算機(=生成AI)のマイクだの、職業的宿主母親(=代理出産を生業とする女性)だの、現代では実現しているSF的装置が実現しています。一方で、コンピュータとのコミュニケーションがいまだに電話回線頼みだったり、テレビやラジオが情報伝達の主力であり続けていたりする点が、古風な印象を残します。 イギリスとの戦争を経て独立を勝ち取ったアメリカ人らしい、宇宙的革命戦のこの物語は、ヒューゴー賞の長編小説部門賞を1967年に獲得しているほど評価が高い小説ですが、日本人読者にとってはどうにも残念な点があります。他の大勢のレビュアーのかたが指摘しているとおり、翻訳にかなり難があるのです。誤訳云々というレベルではなく、日本語の文章がゴツゴツしていて意味が取りにくいので、読書のペースも鈍りがちです。血湧き肉躍る独立革命戦争の流れも、難解な翻訳文に難渋するばかりで、決してスラスラ、スイスイと頁を繰ることができませんでした。 なんとか最後まで読み通しましたが、楽しめたとはおよそ言えません。途中から、英語原文に照らしながら、実際にハインラインはどう書いているのかを確かめながら読み進める羽目になりました。 翻訳のどこにどんな問題があるのかについて、そのほんの数例――あくまでほんの一部です――を以下に挙げ、私なりの試訳を付記してみます。 ※209頁:仮定法の倒置構文を誤読しているのではないかと思われる訳 【矢野訳】「それから長い時間が過ぎていった。革命にそれほどの時間を費やす細部の点などないだろうにと思わせるほどであり、すべてのことを忘れ去ってしまえるほどに長い時間がだ」 【英語原文】Followed a long time during which would have been possible to forget anything as unlikely as revolution had not details taken so much time. 【試訳】「それから長い時間が過ぎていった。その間、細部を詰めるのにあんなに手間取らなければ、革命なんて突飛な話は頭から追い出していられたのに」 (had not details taken so much timeは仮定文であり、そうした条件下であればto forget anything as unlikely as revolution がwould have been possibleだったろう=細部を詰める必要があったので、革命みたいに起こりそうもないことを片時も忘れることができなかった、という意味の文章です。形式主語のitがない不定詞構文であるうえ、仮定法過去完了の従属節が倒置構文になっている文章なので、確かに難解な英文ではありますが。) ※539頁:英語に特徴的な無生物主語の直訳 【矢野訳】「だが新しい国会議員たちが馬鹿ばかりでなかった事実は、教授が意図していた以上のことをやる結果となった」 【英語原文】But fact that new Congressmen were not yammerheads resulted in them doing more than Prof intended. 【試訳】「だが新しい国会議員たちは馬鹿ではなく、最終的には教授が意図した以上の成果を挙げた」 (「事実は~結果となった」という矢野訳はやはりバタ臭いと言わざるを得ないでしょう。こういう場合、和訳文では生物を主語にしたほうが自然に聞こえます。) ※561頁:比較級の字面に引きずられた直訳 【矢野訳】「ヘイゼルより大きくない娘が坂道のレールに飛び上がり」 【英語原文】Girl no bigger than Hazel vaulted up onto rail of ramp 【試訳】「ヘイゼルと同じくらいの背丈の娘が坂道のレールに飛び上がり」 (高校の英文法の授業でも「no+形容詞●●の比較級+than」をついつい矢野訳のように「~より●●ではない」と訳しがちです。) ※562頁:辞書の語義を機械的に当てはめた冗長な直訳 【矢野訳】「その娘が誰だったのか知らないし、生き残っているのかどうかもわからない」 【英語原文】Don't know who she was, don't know if she survived. 【試訳】「その娘の身元も生死も不明だ」 (surviveを「生き残っている」と訳すのもこなれた感じがしません。) ※567頁:辞書の語義を機械的に当てはめた冗長な直訳 【矢野訳】「世界連邦が長いあいだ延ばし、外見上はっきり決断を下せないでいるように見えた理由は、奇襲攻撃の方法から起こったことだった」 【英語原文】Reason for F. N. 's long delay and apparent indecision arose from method of sneak attack. 【試訳】「世界連邦がいつまでも優柔不断な態度をとり続けているように見えたのは、奇襲攻撃の計画を練っていたからだ」 (long delay=長いあいだ延ばし、apparent indecision=外見上はっきり決断を下せない、arose from=から起こった、とそれぞれの訳は確かに間違いではありませんが、直訳のまま並べると、こなれた感じがしないのは否めません。) ※588頁:辞書の語義を機械的に当てはめた直訳 【矢野訳】「ソ同盟はアゾフ海への警告が与えられ、その格子が示された」 【英語原文】Sovunion was given warning for Sea of Azov and had own grid defined. 【試訳】「ソ同盟にはアゾフ海に注意するよう警告し、要監視区域の位置情報を伝えた」 (確かにgridには「格子」の意味はありますが、そう訳したところで何のことだか理解できないでしょう。辞書にはgridの別の定義として、「(地図の上に引かれた検索用の)碁盤目、位置を特定するために基準となる縦横の線」とあります。つまり、「広いアゾフ海の中でも、特に攻撃の影響が大きい地域は地図上のこの位置ですよ」と事前にソ同盟側に教えてあげた、という意味です。) ※589頁:辞書の語義を機械的に当てはめた直訳 【矢野訳】「警告に宣伝が混ぜ合わせられた、白も黒もだ」 【英語原文】Warnings were mixed with propaganda, white and black. 【試訳】「警告にはプロパガンダの要素も混じっていた。真っ当な情報もあれば、ガセも含まれていた」 (white and blackを「白も黒もだ」と乱暴に直訳されてもよくわかりません。「white propaganda」は「情報の発信元がはっきりしており、事実に基づく情報で構成されたプロパガンダ」、「black propaganda」は「〔敵に伝える〕偽情報」のことです。) ※595頁:数の間違い 【矢野訳】「マイクは多くの荷を一度に飛ばすことには慣れていた――だが、一度に一個以上の航路を取らせたことはまったくなかったんだ」 【英語原文】Mike was used to having many loads in trajectory at once--but had never had to astrogate more than one at a time. 【試訳】「マイクは多くの荷を一度に飛ばすことには慣れていた――だが、一度に複数の航路を操作した経験はまったくなかったんだ」 (「more than one」は「一個以上」ではなく、「二個以上=複数」です。日本語の「以上」はその前に来る数字を含みますが、英語のmore thanは後置される数値を含みません。) ※598頁:辞書の語義を機械的に当てはめた直訳 【矢野訳】「もしおれたちが地球全土にわたって、かれらの宇宙防衛の最強のジブラルタルに対し攻撃を続行することができることを証明してみれば~」 【英語原文】If we could prove to all Terra that we could drive home a sustained attack on strongest Gibraltar of their space defense~ 【試訳】「もし地球側にとって宇宙防衛の最強の要害をおれたちが継続して攻撃可能だと、相手方に証明してみせれば~」 (この場合の「Gibraltar」は辞書を引けば「難攻不落の砦[要塞]」という語義が載っているのに気づけたはずです。なにしろここは北アメリカをどう攻撃するかという話を延々と説明している下りですから、Gibraltarという言葉が比喩で用いられていることを訳文で明確にしないと、なぜ北アメリカを攻撃する戦略の中にイベリア半島の突端を攻撃する話が出てくるのかと、日本人読者は混乱すると思います。) ※640頁:意味が正反対になってしまっている和訳 【矢野訳】「二回目の一斉攻撃でおれたちが叩こうとしたほとんどの目標は、メキシコ・シティを除いてすべてが妨害された」 【英語原文】Most targets we managed to hit by second salvo though all were defended except Mexico City. 【試訳】「おれたちの目標地は、メキシコ・シティ以外の全地点が防衛を固めていたけれど、二回目の一斉攻撃でほとんど叩くことができた」 (矢野訳では「攻撃が妨害された」という意味になっていますが、原文は「なんとか攻撃を成功させた」という意味です。ここは独立戦争のクライマックスを描くくだりですから、戦況が原文とは正反対に誤訳されてしまっては、物語を正しく理解できなくなってしまいます。) ※641頁:地名の誤記 【矢野訳】「アカバカーキ」 【英語原文】Albuquerque 【試訳】「アルバカーキ」 こんな具合の翻訳が、延々と680頁も続くのです。読者にこの翻訳で「読め」というのは酷ではないでしょうか。 そろそろ現代の翻訳者を立てて、新訳を出しても良い時期に来ているように思います。 . | ||||
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今ふたたび読まれるべき作品。何と言う洞察。全ての心ある者達にとっての道しるべ。 | ||||
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作品自体は傑作だと思うんですが訳がひどすぎる。 原文をそのまま直訳したような文章でものすごく読みづらかった。 | ||||
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