(短編集)
ゴッド・ガン
- SF (392)
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一度最初から最後まで読了したら、寝る前に適当なページを開いてそこから読んでも面白い。これがベイリーの短編のすごいところ。すぐに脳内に映像化出来るからでしょうか。まあでも、寝る前に読み始めたら止まらなくなるから寝不足に注意ですね。 | ||||
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きょうから寝るまえの読書は、バリントン・J・ベイリーの短篇集『ゴッド・ガン』6年前に読んでる予定だったものだ。なんか手違いで買い忘れれていた本だった。もちろん、初読。どれだけ楽しませてくれるかな。 1作目は、短篇集のタイトル作品の「ゴッド・ガン」神を殺すレーザー銃を発明した男がいた。彼は神を殺した。それから世界には生気がなくなった。ただ、神を殺した男は、「神は死んだ、神は死んだ、われわれは自由だ」とくりかえして口にするばかり。世界はうつろだ。 2作目は、「大きな音」6000人のオーケストラによる演奏が行われた。音楽はアンドロメダ星雲にまで届いた。その音楽は一個のダイアモンドとなった。 3作目は、「地底潜艦〈インタースティス〉」地底を潜る戦艦が地底を潜っていくうちに、地底人たちと出合う。地底人は、地底の深さによって、3つの種族がいて、そのどの種族からも攻撃を受ける。3つ目の種族には戦艦内に潜入されて船長を殺された。しかし、無事に地上に戻れた。地上に出たときにわかったことだが、インタースティスを地上で発見した学者たちが調べたところ、戦艦にあった本に書かれた文字が地球のものと違っていたし、戦艦に知られていない金属が用いられていたし、戦艦が停止するまでにおよそ13光年の距離を移動したことをメーターが示していたのだ。戦艦は、宇宙船だった。 4作目は、「空間の海に帆をかける船」主人公は物理学者とともに海王星の外側を周回する宇宙船に乗り込み、高エネルギー線を記録する仕事をしている男。ある日、質量がゼロの宇宙船が近くを通りかかった。宇宙船の内部には空間がなかった。空間の性質を調べるために、宇宙船を爆破してしまった。撃沈。 5作目は、「死の船」未来に意識を飛ばすことのできる装置があって、物理学者ふたりがその装置を搭載した船に乗る。物理学者は、自分の息子にも物理学者になってほしいと思い強要したために、息子が未来に23歳で自殺することが分かった。物理学者は息子に強要するのをやめることを決意する。 6作目は、「災厄の船」トロールたちに漕がせたガレー船に乗って海を彷徨っているエルフの王がいた。海上で人間の船を見つけると、ただ単に破壊するのが目的で、人間の船を攻撃した。ただひとりの生き残りの人間と対話する。人間は、もうエルフの時代は終わると予言する。エルフは人間を海に投げ込む。 7作目は、「ロモー博士の島」遺伝子操作で女性なのにペニスがある人間を博士はつくった。新聞記者はヘテロだが、博士の薬のせいで、その女性とセックスする。そのうえ博士はヘテロの記者をゲイにする薬も試そうと思っている。博士の助手に、ウェルズもでてくる。『モロー博士の島』のパスティーシュ。 8作目は、「ブレイン・レース」化け物猫に切り刻まれた友人を助けるために異星人に手術を任せたふたり。異星人は友人を元通りに治した。ただし脳髄が身体を出入りできる身体に。ふたりもまた異星人に手術され、脳髄が身体の外に。ふたりのうちどちらが先に身体の中に入れるかレースをさせられた。 9作目は、「蟹は試してみなきゃいけない」一人称で、蟹が日々の生活を語る。蟹にも学校があり、本があり、天文台がある。主人公は働いている。雄である。雌の蟹に興味がある。仲間の一匹が交尾に成功する。雄の蟹が千匹いて、交尾に成功するのは、三匹か、四匹だということだ。擬人化された蟹の一生。 さいごの10作目は、「邪悪の種子」不死の異星人が地球にやってきた。ただひとりの生き残りだ。その不死性を調べようとする外科医は政府に捕まる。冷凍睡眠で眠って4千年後、宇宙人を捕らえて解剖し、不死性をもたらす球体を外科医は取り出す。そして飲み込む。もう人間は滅びてしまった地球で。 | ||||
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前半は物理学実教室か音楽パブぽい狭い日常からはじまり、中盤は宇宙、タイムワープ関連に進み、ファンタジーぽい作品をへて、最後は独自の形而上学風な作品で締めています。大雑把に大別すると3種類のジャンルになる感覚ですが、それぞれは全く独立した作品なので関連はありません。全編タッチは似ているものの変化に富んだ作品ばかりで、もろイギリス人ぽい作風はかのドイルかウェルズを彷彿とさせられました。 ”空間の海に帆をかける船” と ”災厄の船” は新訳とのことです。全体としては古いせいもあるのでしょうが、最近はあまり使わない漢字の単語や語彙を使っているので、やや読みにくさを感じてしまいました。或いは意図してかもしれません。(電子版では関係無いか…) 個人的には ”災厄の船” が、読んだ事の無い感覚のファンタジーでヨーロッパ的な味が醸されていて新鮮でした。(解説では1965年初出とのこと…正直2周くらいしているのが驚きです。) 作者の知名度の低さとは逆に、あふれる才能と、時代を超えた発想は素晴らしく、前作の短編集も再発してもらいたいいです…。 | ||||
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ファンタジー風の設定を使った作品から、異星の生き物たちのライフサイクルを青春小説風に描いた作品まで、バラエティ豊かな短編が収録されています。 どの作品も共通して言えるのは、SF的なアイデアに対して、ウソかホントか分からないような面白理論で説明している点だと思います。 単にアイデアが豊富というのではなく、その裏づけを説明している点が、単なる思い付きを並べて“アイデア”と満足してしまっている作品との大きな差だと思います。 SFを普段読まない人でも楽しめると思いますが、いろいろなSFを読んできた人にこそ、お勧めできると思います。 | ||||
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1954年にデビューし、70年代、80年代の作品が90年代に日本で評価され、2008年に没した奇想SFの巨匠、バリントン・J・ベイリー。 翻訳書の多くが絶版となって忘れられてしまうことを悼んだ訳者達が、過去に翻訳された中で書籍化されていない短編(一篇を除く)を選んで日本独自に編集したオリジナル短編集。 解説には書かれていないものもあるが、10編中8編が過去SFMに掲載されている。2篇は他社から出版されていたもので今回新訳となっている。(SFMの掲載情報は、2009年5月号の追悼特集を参照のこと。) ムアコックの影響がはっきりわかるヒロイック・ファンタジーの「災厄の船」(1965)が1978年に〈季刊 NW-SF 14号〉に掲載されたのがベイリーの日本初紹介というのは意外だけど納得する歴史的事実。 全10篇の作品の執筆時期は、推測も含めて60年代が5篇、70年代が2篇、80年代が1篇、90年代が2篇。半世紀にわたる作品は、ほら話から架空理論まで、SFというものの原点を再認識させる作品ばかり。 作品の長さは、第一短編集「シティ5からの脱出」の収録作が長めのものが多かったのに対して、本書は末尾に掲載された90枚強の「邪悪の種子」を除き、ほとんどが30枚から50枚前後の短めのものばかり。手軽に読めます。 冒頭の4篇は発表された時期も古く、荒唐無稽なクラシックSFにも似た味わいがある。「死の船」は独自の時間理論が展開され、本書の中では一番ベイリーらしいと思った一篇。 本書の後半には長編では想像もしなかったような雰囲気を持った作品が登場するが、後から考えるとこれもベイリーの持ち味かと気付くものも多い。ヒロイック・ファンタジー風の「災厄の船」、同人誌的な「ロモー博士の島」、グロテスクな「ブレイン・レース」、青春グラフィティな「蟹は試してみなきゃいけない」は、長編のベイリーからはなかなか想像し難い。しかし、何でもありなのがベイリーなのかもしれない。 一番読みごたえがあるのは、やっぱり「邪悪の種子」。ベイリー自身がこだわって、何度も改稿を重ねたと聞いて納得。若い時からこういうテーマのSFを書く人だったのだなあ。 これでもかと言うほどアイデアが詰め込まれていてお腹いっぱいになりそうな長編と比べると、ワンアイデアの短編には物足りさも感じますが、アイデアの切れ味は短編の方が上。どちらが上とも言い難い。 90年代以降の作品については長編が翻訳されていないので、本書の2篇で作風の変化をうかがい知るしかない現状が寂しい限り。 | ||||
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