吸血鬼

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種別
長編
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あらすじ

2016年01月26日 吸血鬼

独立蜂起の火種が燻る、十九世紀ポーランド。その田舎村に赴任する新任役人のヘルマン・ゲスラーとその美しき妻・エルザ。赴任したばかりの村で次々に起こる、村人の怪死とその凶兆を祓うべく行われる陰惨な因習。怪異の霧に蠢くものとは―。(「BOOK」データベースより)

評判

吸血鬼の評価:

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吸血鬼の総合評価:

9.18/10点 レビュー 22件。

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No.22
(5pt)

吸血鬼とは。

ゴシック小説のようなものだろうか、と読みはじめ、確かにそういう様相を呈し、濃密に殷々と怪奇な雰囲気が募ってゆきますが、しかしながらそれは反転し、現実としての事件としての様相が表れてきて、終結します。反転というとすっかり切り替わるようですが、そうではなく、紙縒りのようよじれて繋がっている感じ。怪奇な現象が、超自然な存在として現れてくるかというと、実体としては出てきませんが、顕現化されていない形では確かにあり、それはこの特殊な環境下のみにあるものではなく、人がいればそこに起こりうる、いや、必ず起きるものであり。その形態や、表れは違えど。・・・オーストリア帝国の支配下にあるポーランド。役人であるゲスラーは、若き妻を伴い陰鬱な寒村にやってきた。その地の領主クワルスキは往年の天才詩人。赴任後、村で不審な死が続き、ウピル(吸血鬼)の仕業ではと、村人に動揺が起こり、暴挙にまで発展させないためにゲスラーは土俗的な迷信を断行し、対処する。大切な存在に対してまで。そんななか、独立蜂起の焦臭い動きがあり。・・・ウピルとはなんであったか、ということ。ゲスラーは善良な、常識的な、怪奇現象を見て驚く役回りなようでいて、この人こそが怪奇現象そのものであったような気のされてなりません。そして騒動の真の黒幕の存在。一見、綺麗に、ユーモアを交えて幕を閉じますが、そういう引っかかりは残ります。ゲスラーが見ていたものはなんであったのか、を分かりやすい形では記されてありませんし。よく、心の闇と語られますが、闇というのか不可解さ、薄気味悪さも感じもしました。
吸血鬼 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 吸血鬼 (角川文庫)より
4041117801
No.21
(5pt)

吸血鬼とは。

ゴシック小説のようなものだろうか、と読みはじめ、確かにそういう様相を呈し、濃密に殷々と怪奇な雰囲気が募ってゆきますが、しかしながらそれは反転し、現実としての事件としての様相が表れてきて、終結します。反転というとすっかり切り替わるようですが、そうではなく、紙縒りのようよじれて繋がっている感じ。怪奇な現象が、超自然な存在として現れてくるかというと、実体としては出てきませんが、顕現化されていない形では確かにあり、それはこの特殊な環境下のみにあるものではなく、人がいればそこに起こりうる、いや、必ず起きるものであり。その形態や、表れは違えど。・・・オーストリア帝国の支配下にあるポーランド。役人であるゲスラーは、若き妻を伴い陰鬱な寒村にやってきた。その地の領主クワルスキは往年の天才詩人。赴任後、村で不審な死が続き、ウピル(吸血鬼)の仕業ではと、村人に動揺が起こり、暴挙にまで発展させないためにゲスラーは土俗的な迷信を断行し、対処する。大切な存在に対してまで。そんななか、独立蜂起の焦臭い動きがあり。・・・ウピルとはなんであったか、ということ。ゲスラーは善良な、常識的な、怪奇現象を見て驚く役回りなようでいて、この人こそが怪奇現象そのものであったような気のされてなりません。そして騒動の真の黒幕の存在。一見、綺麗に、ユーモアを交えて幕を閉じますが、そういう引っかかりは残ります。ゲスラーが見ていたものはなんであったのか、を分かりやすい形では記されてありませんし。よく、心の闇と語られますが、闇というのか不可解さ、薄気味悪さも感じもしました。
吸血鬼 Amazon書評・レビュー: 吸血鬼より
4062199181
No.20
(5pt)

あたかも、美しい将棋の棋譜を見るかのような小説。ぞくぞくする読みごたえを堪能しました。

ガリチアのジェキという村に新しく赴任してきた役人・ゲスラーと、その妻・エルザ。ゲスラーの助手に取り立てられたマチェク。かつて詩集を出したことのある土地の領主・クワルスキと、その妻・ウツィア(クワルスキ夫人)。
以上、五人の主要登場人物のキャラが、くっきりと描写されていたところ。読み進めるに連れて、巧妙に裏側に隠されていたそれぞれの人物像が浮かび上がってくるところ。見事だと唸らされました。

また、舞台となる僻村(へきそん)ジェキ、その「いかにも、こういう村があったろう」リアルな感触も素晴らしいものでした。言ってることの大まかな意味はつかめるんだけども、なに言ってんのか分かりにくい、訛(なま)りの強い村人たちの言葉遣いなど、よくこんな言葉を創造したもんだなって思いましたよ。素晴らしいっす。

そして、このレビューの見出しで私は、「美しい将棋の棋譜を見るかのよう」てなこと書きましたが、そこには、登場人物のひとりの運命が絡(から)んでいます。名前は言いませんけど、この人、最後のほうで自死するんですね。それがまるで、将棋の〈王〉て駒が詰ませられたみたいな、そんな風に感じられたんですよ。そうなるに至る作者の企みてば凄いなと、ため息が出ました。

ところで、私が購入した単行本の帯には、皆川博子氏の推薦文が記されています。でも、このおすすめの言葉って、ほんのエッセンスなんですよね。このエッセンスとも言うべき文章の元である、なんとも魅力的な水先案内文が、皆川博子の書評集『辺境図書館』(講談社)に載っています。未読の方は、ぜひ!
吸血鬼 Amazon書評・レビュー: 吸血鬼より
4062199181
No.19
(5pt)

あたかも、美しい将棋の棋譜を見るかのような小説。ぞくぞくする読みごたえを堪能しました。

ガリチアのジェキという村に新しく赴任してきた役人・ゲスラーと、その妻・エルザ。ゲスラーの助手に取り立てられたマチェク。かつて詩集を出したことのある土地の領主・クワルスキと、その妻・ウツィア(クワルスキ夫人)。
以上、五人の主要登場人物のキャラが、くっきりと描写されていたところ。読み進めるに連れて、巧妙に裏側に隠されていたそれぞれの人物像が浮かび上がってくるところ。見事だと唸らされました。

また、舞台となる僻村(へきそん)ジェキ、その「いかにも、こういう村があったろう」リアルな感触も素晴らしいものでした。言ってることの大まかな意味はつかめるんだけども、なに言ってんのか分かりにくい、訛(なま)りの強い村人たちの言葉遣いなど、よくこんな言葉を創造したもんだなって思いましたよ。素晴らしいっす。

そして、このレビューの見出しで私は、「美しい将棋の棋譜を見るかのよう」てなこと書きましたが、そこには、登場人物のひとりの運命が絡(から)んでいます。名前は言いませんけど、この人、最後のほうで自死するんですね。それがまるで、将棋の〈王〉て駒が詰ませられたみたいな、そんな風に感じられたんですよ。そうなるに至る作者の企みてば凄いなと、ため息が出ました。

ところで、私が購入した単行本の帯には、皆川博子氏の推薦文が記されています。でも、このおすすめの言葉って、ほんのエッセンスなんですよね。このエッセンスとも言うべき文章の元である、なんとも魅力的な水先案内文が、皆川博子の書評集『辺境図書館』(講談社)に載っています。未読の方は、ぜひ!
吸血鬼 (角川文庫) Amazon書評・レビュー: 吸血鬼 (角川文庫)より
4041117801
No.18
(5pt)

完璧な小説

クワルスキの詩の朗読会は地下に武器を隠すための装置として描かれているが、作者の意図はそこにあらず。後々強烈な比較で陶酔は地に堕ちる。
物語は隅々まで緻密に組み立てられている。
プロットの組み立てもすごいのだけれど、もっと地理的な、または建築的な組み立てもリアルに作者の頭のなかに出来上がっている。
プロットを何度推敲したらこうなるのやら。
吸血鬼 Amazon書評・レビュー: 吸血鬼より
4062199181

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