雲雀

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種別
長編
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あらすじ

2007年04月30日 雲雀 (文春文庫)

オーストリア軍の兵士、オットーとカールの兄弟は、膠着状態の戦線で、ロシア兵達の虐殺を目撃したことをきっかけにジェルジュと呼ばれる若者に出会う…。第一次大戦の裏舞台で暗躍する、特殊な“感覚”を持つ工作員たちの闘いと青春を描いた連作短篇集。芸術選奨新人賞を受賞した『天使』の姉妹篇。(「BOOK」データベースより)

評判

雲雀の評価:

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雲雀の総合評価:

8.89/10点 レビュー 9件。

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No.9
(5pt)

今更言うまでも無いと信じるのだけど・・・

私なんぞがいちいち言うまでも無いことと心から信じるのだけれど、間違いなくこの小説は、天下無双の傑作です。 プロットが恐ろしく精緻で、登場人物の何気ない台詞やふとした振る舞いが色々な複線や仕掛けとして機能していて、それを読み解くこと自体が楽しいというのは佐藤亜紀の小説を読んでいれば毎度味わう快感だが、そのうえこの小説では佐藤氏が得意とするスタイリッシュで硬質な文体が、作品の扱う超能力の描写と実に見事にマッチしていて、思わず同じ一文を繰り返し読み直したくなるくらいにとにかくもうかっこいいのである。こんなかっこいい文章を母語で読めて、日本語のネイティブで本当に良かったと心から思うくらいにかっこいい。 登場人物たちも魅力的で、初登場のオットー、カールのメニッヒ兄弟はとにかく愉快で楽しいし、ディートリヒシュタインとクレムニッツは相変わらず弱っちくて小物っぷりが実に良いし、再会するヨヴァンはカッコよくなってるし、(何故か『天使』で一番好きなキャラだったかもしれない)ライタ男爵と(やっぱり大好きな)スタイニッツ顧問官の若かりし日も伺えるし、大公とマレクの没落ぶりにはただただ静かな哀愁が満ちているしで誰一人として魅力のない人がいない。嫌な奴はもう嬉しいくらいに嫌な奴だし、かっこいい奴もかっこ悪い奴も、みんなが主役級に輝いている。 登場人物たちが動き回る個々の背景・場面の組み立てもとにかく素晴らしい。塹壕戦の様子は臨場感が抜群だし、グレゴールがラッケンバッハー氏の家を訪問するシーンはどこか滑稽で笑えてそれでいて十分に鬼気迫る修羅場の雰囲気を出しているし、傷ついたジェルジュが訪ねる女達の家は幻想的でまさにファンタジーだし、没落後の大公の屋敷の寂寥感は凄まじいし、クライマックスのカーチェイスはひたすら爽快だし、最後にオットーとカールが現れたホテルの一室は白く輝くベッドのシーツの鮮やかさが目に浮かぶようだし、沢山の鮮やかな場面が次から次へと切れ目無く展開し、ページを捲りながら、まるで贅沢な旅行を楽しんだような気分を味わえる。 作品の語り口のテンポも実に絶妙で心地よく、とりわけラストの中篇「雲雀」のクライマックスへの盛り上がりは凄まじい。名手佐藤亜紀の、見事なストーリー・テリングの真骨頂を味わえる。場面と場面、台詞と台詞がこれでもかというくらいに軽快に繋がっていき、ゆっくりと動き出した物語が最後には怒涛の如き奔流となって突き抜けていく。物語のスピードに引っ張られるようにぐいぐいとページを追って、遂に最後のページを捲りながら、物語のテンションが最高潮を迎えたその瞬間に、呆気にとられてしまうほどに唐突でストレートなハッピーエンドを見せられて、読み終えてしばし呆然としながら、ジェルジュが終に手に入れたささやかな幸せを我が事のように一緒に噛締めている自分に気がついた。 初めて読み終えた時は、自分がただひたすらに感動してしまい動けないのだと気づかないくらいに、深く強く打ちのめされて呆然としていた。それから何年かが過ぎ、『雲雀』を3度4度と読み返してきたが、この感動が色あせることは決してなく、読み返すたびに輝きを増しているようにさえ思われた。 生涯で一冊を選べと言われた結局『天使』と『雲雀』を選ぶのではないだろうか。こんな小説はほかにない。 そしてそう断言できる人は、きっと私のほかにも沢山いるのだと思う。 一人でも多くの読者と出会って欲しい一冊である。 くどいようだけど、本当に、ただただもうこれは空前絶後の傑作なのです。
雲雀 Amazon書評・レビュー: 雲雀より
4163227504
No.8
(5pt)

今更言うまでも無いと信じるのだけど・・・

私なんぞがいちいち言うまでも無いことと心から信じるのだけれど、間違いなくこの小説は、天下無双の傑作です。 プロットが恐ろしく精緻で、登場人物の何気ない台詞やふとした振る舞いが色々な複線や仕掛けとして機能していて、それを読み解くこと自体が楽しいというのは佐藤亜紀の小説を読んでいれば毎度味わう快感だが、そのうえこの小説では佐藤氏が得意とするスタイリッシュで硬質な文体が、作品の扱う超能力の描写と実に見事にマッチしていて、思わず同じ一文を繰り返し読み直したくなるくらいにとにかくもうかっこいいのである。こんなかっこいい文章を母語で読めて、日本語のネイティブで本当に良かったと心から思うくらいにかっこいい。 登場人物たちも魅力的で、初登場のオットー、カールのメニッヒ兄弟はとにかく愉快で楽しいし、ディートリヒシュタインとクレムニッツは相変わらず弱っちくて小物っぷりが実に良いし、再会するヨヴァンはカッコよくなってるし、(何故か『天使』で一番好きなキャラだったかもしれない)ライタ男爵と(やっぱり大好きな)スタイニッツ顧問官の若かりし日も伺えるし、大公とマレクの没落ぶりにはただただ静かな哀愁が満ちているしで誰一人として魅力のない人がいない。嫌な奴はもう嬉しいくらいに嫌な奴だし、かっこいい奴もかっこ悪い奴も、みんなが主役級に輝いている。 登場人物たちが動き回る個々の背景・場面の組み立てもとにかく素晴らしい。塹壕戦の様子は臨場感が抜群だし、グレゴールがラッケンバッハー氏の家を訪問するシーンはどこか滑稽で笑えてそれでいて十分に鬼気迫る修羅場の雰囲気を出しているし、傷ついたジェルジュが訪ねる女達の家は幻想的でまさにファンタジーだし、没落後の大公の屋敷の寂寥感は凄まじいし、クライマックスのカーチェイスはひたすら爽快だし、最後にオットーとカールが現れたホテルの一室は白く輝くベッドのシーツの鮮やかさが目に浮かぶようだし、沢山の鮮やかな場面が次から次へと切れ目無く展開し、ページを捲りながら、まるで贅沢な旅行を楽しんだような気分を味わえる。 作品の語り口のテンポも実に絶妙で心地よく、とりわけラストの中篇「雲雀」のクライマックスへの盛り上がりは凄まじい。名手佐藤亜紀の、見事なストーリー・テリングの真骨頂を味わえる。場面と場面、台詞と台詞がこれでもかというくらいに軽快に繋がっていき、ゆっくりと動き出した物語が最後には怒涛の如き奔流となって突き抜けていく。物語のスピードに引っ張られるようにぐいぐいとページを追って、遂に最後のページを捲りながら、物語のテンションが最高潮を迎えたその瞬間に、呆気にとられてしまうほどに唐突でストレートなハッピーエンドを見せられて、読み終えてしばし呆然としながら、ジェルジュが終に手に入れたささやかな幸せを我が事のように一緒に噛締めている自分に気がついた。 初めて読み終えた時は、自分がただひたすらに感動してしまい動けないのだと気づかないくらいに、深く強く打ちのめされて呆然としていた。それから何年かが過ぎ、『雲雀』を3度4度と読み返してきたが、この感動が色あせることは決してなく、読み返すたびに輝きを増しているようにさえ思われた。 生涯で一冊を選べと言われた結局『天使』と『雲雀』を選ぶのではないだろうか。こんな小説はほかにない。 そしてそう断言できる人は、きっと私のほかにも沢山いるのだと思う。 一人でも多くの読者と出会って欲しい一冊である。 くどいようだけど、本当に、ただただもうこれは空前絶後の傑作なのです。
雲雀 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 雲雀 (文春文庫)より
4167647044
No.7
(5pt)

今更言うまでも無いと信じるのだけど・・・

私なんぞがいちいち言うまでも無いことと心から信じるのだけれど、間違いなくこの小説は、天下無双の傑作です。
プロットが恐ろしく精緻で、登場人物の何気ない台詞やふとした振る舞いが色々な複線や仕掛けとして機能していて、それを読み解くこと自体が楽しいというのは佐藤亜紀の小説を読んでいれば毎度味わう快感だが、そのうえこの小説では佐藤氏が得意とするスタイリッシュで硬質な文体が、作品の扱う超能力の描写と実に見事にマッチしていて、思わず同じ一文を繰り返し読み直したくなるくらいにとにかくもうかっこいいのである。こんなかっこいい文章を母語で読めて、日本語のネイティブで本当に良かったと心から思うくらいにかっこいい。
登場人物たちも魅力的で、初登場のオットー、カールのメニッヒ兄弟はとにかく愉快で楽しいし、ディートリヒシュタインとクレムニッツは相変わらず弱っちくて小物っぷりが実に良いし、再会するヨヴァンはカッコよくなってるし、(何故か『天使』で一番好きなキャラだったかもしれない)ライタ男爵と(やっぱり大好きな)スタイニッツ顧問官の若かりし日も伺えるし、大公とマレクの没落ぶりにはただただ静かな哀愁が満ちているしで誰一人として魅力のない人がいない。嫌な奴はもう嬉しいくらいに嫌な奴だし、かっこいい奴もかっこ悪い奴も、みんなが主役級に輝いている。
登場人物たちが動き回る個々の背景・場面の組み立てもとにかく素晴らしい。塹壕戦の様子は臨場感が抜群だし、グレゴールがラッケンバッハー氏の家を訪問するシーンはどこか滑稽で笑えてそれでいて十分に鬼気迫る修羅場の雰囲気を出しているし、傷ついたジェルジュが訪ねる女達の家は幻想的でまさにファンタジーだし、没落後の大公の屋敷の寂寥感は凄まじいし、クライマックスのカーチェイスはひたすら爽快だし、最後にオットーとカールが現れたホテルの一室は白く輝くベッドのシーツの鮮やかさが目に浮かぶようだし、沢山の鮮やかな場面が次から次へと切れ目無く展開し、ページを捲りながら、まるで贅沢な旅行を楽しんだような気分を味わえる。
作品の語り口のテンポも実に絶妙で心地よく、とりわけラストの中篇「雲雀」のクライマックスへの盛り上がりは凄まじい。名手佐藤亜紀の、見事なストーリー・テリングの真骨頂を味わえる。場面と場面、台詞と台詞がこれでもかというくらいに軽快に繋がっていき、ゆっくりと動き出した物語が最後には怒涛の如き奔流となって突き抜けていく。物語のスピードに引っ張られるようにぐいぐいとページを追って、遂に最後のページを捲りながら、物語のテンションが最高潮を迎えたその瞬間に、呆気にとられてしまうほどに唐突でストレートなハッピーエンドを見せられて、読み終えてしばし呆然としながら、ジェルジュが終に手に入れたささやかな幸せを我が事のように一緒に噛締めている自分に気がついた。
初めて読み終えた時は、自分がただひたすらに感動してしまい動けないのだと気づかないくらいに、深く強く打ちのめされて呆然としていた。それから何年かが過ぎ、『雲雀』を3度4度と読み返してきたが、この感動が色あせることは決してなく、読み返すたびに輝きを増しているようにさえ思われた。
生涯で一冊を選べと言われた結局『天使』と『雲雀』を選ぶのではないだろうか。こんな小説はほかにない。
そしてそう断言できる人は、きっと私のほかにも沢山いるのだと思う。
一人でも多くの読者と出会って欲しい一冊である。
くどいようだけど、本当に、ただただもうこれは空前絶後の傑作なのです。
雲雀 Amazon書評・レビュー: 雲雀より
4163227504
No.6
(5pt)

今更言うまでも無いと信じるのだけど・・・

私なんぞがいちいち言うまでも無いことと心から信じるのだけれど、間違いなくこの小説は、天下無双の傑作です。
プロットが恐ろしく精緻で、登場人物の何気ない台詞やふとした振る舞いが色々な複線や仕掛けとして機能していて、それを読み解くこと自体が楽しいというのは佐藤亜紀の小説を読んでいれば毎度味わう快感だが、そのうえこの小説では佐藤氏が得意とするスタイリッシュで硬質な文体が、作品の扱う超能力の描写と実に見事にマッチしていて、思わず同じ一文を繰り返し読み直したくなるくらいにとにかくもうかっこいいのである。こんなかっこいい文章を母語で読めて、日本語のネイティブで本当に良かったと心から思うくらいにかっこいい。
登場人物たちも魅力的で、初登場のオットー、カールのメニッヒ兄弟はとにかく愉快で楽しいし、ディートリヒシュタインとクレムニッツは相変わらず弱っちくて小物っぷりが実に良いし、再会するヨヴァンはカッコよくなってるし、(何故か『天使』で一番好きなキャラだったかもしれない)ライタ男爵と(やっぱり大好きな)スタイニッツ顧問官の若かりし日も伺えるし、大公とマレクの没落ぶりにはただただ静かな哀愁が満ちているしで誰一人として魅力のない人がいない。嫌な奴はもう嬉しいくらいに嫌な奴だし、かっこいい奴もかっこ悪い奴も、みんなが主役級に輝いている。
登場人物たちが動き回る個々の背景・場面の組み立てもとにかく素晴らしい。塹壕戦の様子は臨場感が抜群だし、グレゴールがラッケンバッハー氏の家を訪問するシーンはどこか滑稽で笑えてそれでいて十分に鬼気迫る修羅場の雰囲気を出しているし、傷ついたジェルジュが訪ねる女達の家は幻想的でまさにファンタジーだし、没落後の大公の屋敷の寂寥感は凄まじいし、クライマックスのカーチェイスはひたすら爽快だし、最後にオットーとカールが現れたホテルの一室は白く輝くベッドのシーツの鮮やかさが目に浮かぶようだし、沢山の鮮やかな場面が次から次へと切れ目無く展開し、ページを捲りながら、まるで贅沢な旅行を楽しんだような気分を味わえる。
作品の語り口のテンポも実に絶妙で心地よく、とりわけラストの中篇「雲雀」のクライマックスへの盛り上がりは凄まじい。名手佐藤亜紀の、見事なストーリー・テリングの真骨頂を味わえる。場面と場面、台詞と台詞がこれでもかというくらいに軽快に繋がっていき、ゆっくりと動き出した物語が最後には怒涛の如き奔流となって突き抜けていく。物語のスピードに引っ張られるようにぐいぐいとページを追って、遂に最後のページを捲りながら、物語のテンションが最高潮を迎えたその瞬間に、呆気にとられてしまうほどに唐突でストレートなハッピーエンドを見せられて、読み終えてしばし呆然としながら、ジェルジュが終に手に入れたささやかな幸せを我が事のように一緒に噛締めている自分に気がついた。
初めて読み終えた時は、自分がただひたすらに感動してしまい動けないのだと気づかないくらいに、深く強く打ちのめされて呆然としていた。それから何年かが過ぎ、『雲雀』を3度4度と読み返してきたが、この感動が色あせることは決してなく、読み返すたびに輝きを増しているようにさえ思われた。
生涯で一冊を選べと言われた結局『天使』と『雲雀』を選ぶのではないだろうか。こんな小説はほかにない。
そしてそう断言できる人は、きっと私のほかにも沢山いるのだと思う。
一人でも多くの読者と出会って欲しい一冊である。
くどいようだけど、本当に、ただただもうこれは空前絶後の傑作なのです。
雲雀 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 雲雀 (文春文庫)より
4167647044
No.5
(5pt)

まさにロマンチック

『天使』の主人公、ジェルジュが登場する続編(正確に言うと天使の後日譚ではない)。
むしろ前作よりも、面白いかも。特にジェルジュの父親と母親の話、それと最終話はちょっとロマンチック。こういう終わり方もいいかもしれない。
雲雀 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 雲雀 (文春文庫)より
4167647044

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