ミノタウロス



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    初公開日(参考)2007年05月
    分類

    長編小説

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    ミノタウロス (講談社文庫)

    2010年05月14日 ミノタウロス (講談社文庫)

    帝政ロシア崩壊直後の、ウクライナ地方、ミハイロフカ。成り上がり地主の小倅、ヴァシリ・ペトローヴィチは、人を殺して故郷を蹴り出て、同じような流れ者たちと悪の限りを尽くしながら狂奔する。発表されるやいなや嵐のような賞賛を巻き起こしたピカレスクロマンの傑作。第29回吉川英治文学新人賞受賞。 (「BOOK」データベースより)




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    ミノタウロスの総合評価:7.71/10点レビュー 34件。Aランク


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    ※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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    No.34:
    (5pt)

    問題なし

    問題なし
    ミノタウロスAmazon書評・レビュー:ミノタウロスより
    4062140586
    No.33:
    (5pt)

    訳本?と思わせる文体だが

    徹底的に神も仏も正義も悪も無い、ただ漠然と生きる事を前提に何もかも失った男が略奪、強姦、虐殺を重ねていく。
    必ず二度繰り返して使用される動詞の語彙が広く、辞書片手に読む楽しみがある。他のレビューにもある通り、物語の舞台がロシア南部である必要性は無いのだが、文章が訳本の世界文学全集を思わせる感じなので著者の趣向か。
    甘さを排したハードボイルドな世界を昭和的な筆致で描写した力作で、その密度の高さは凄いものがある。
    吐き気をもよおす程の残虐非道の小説だが手に取って絶対に損は無い一冊ではないだろうか。
    ミノタウロスAmazon書評・レビュー:ミノタウロスより
    4062140586
    No.32:
    (3pt)

    当時にゃ月に向かうロケットなんてございませんわよ。

    職場の同僚がくれたので休憩時間を使って読んでみた。感想?ええ、面白かったですとも。でもこれ、既出レビューにあるような「悪党大活躍ピカレスク浪漫」というにはちょっと遠い代物だ。

    時は20世紀初頭の赤白軍ロシア内戦下、衣食住に困る事のない身の上の主人公が、義理は解るが人情の知らぬ鬼畜よろしく立ち振舞うことを自由と捉えるも、安寧の場を追われ、泥にまみれ、やるかやられるか、獣もいよいよ獣らしく立ち振る回らざるを得ない状況におかれてようやっと心を震わせる美を一時垣間見みるーも後の祭り。当時のウクライナに於ける農奴蜂起や疫病蔓延等の史実を絡めながら描かれた一遍のフィクションが本作だ。

    既出レビュワーは触れないが、本作にはひょんなことから土地持ちになる登場人物がいる。博打は避けるがチャンスは可能な限り可能な範囲で活かす堅実な男だ。物語の始めに回想として登場し、不平を漏らさず静かに消え行く男。専ら当作品の暴力描写ばかりが取り沙汰される余りかこのキャラクターが当作品上もっとも異質な存在に思えるのはなんとも面白い。主人公なら百姓根性と唾棄するかもしれないけれど、主人公の甘ったれが可能な程の土壌を創るってのはいつの時代にも偉業なのだ。

    さて、芸術至上主義に傾倒して止まない向きはよく「理屈じゃないのよ」と宣うけれど、理屈抜きで一体どうやって文章によって展開されるフィクションノベルを愉しむの?音韻芸術の詩と違って長々と文章を連ねざるを得ない小説の類はどうしたって散文にならざるを得ないんだよ。当著者だってその区別を取り払えるような出鱈目なことを自身の小説論で言っちゃいない(ハズ)。別の文脈に於いて、巧い文章書きの書いた断片的文章を適当に繋げ併せて、あとは読者の脳内で補完して貰いましょう、という試みが多少にも成功するを他の作家の著作で皆見てきたと思うけど、そんなカットアップ小説でさえ読まれ語られるのはひとつの物語としてだ(ディエゲーシスなんて横文字で格好よく響かせたところでとどのつまり「物語」ってことなんだぜ)。もし当著者の小説感に敷衍して当作品を語らないと当作品をきちんと読めたことにはならないとファンは言うかもしれないけれど、その意味の「きちんと」なんて広範な読者にとり不要な押し付けでしかない。

    当作品の登場人物のひとりシチェルパートフのとっつあんの末期は本作のクライマックスってくらいに痛快。ここ共感できる人だけウェルカムっす。感想以上。
    ミノタウロスAmazon書評・レビュー:ミノタウロスより
    4062140586
    No.31:
    (4pt)

    気分が悪くなる、でも面白い

    第29回吉川英治文学新人賞受賞作。帝政ロシア崩壊直後が舞台のピカレスク小説。

    帝政ロシア崩壊直後の混乱の中で、人間が単純な生と単純な快楽を貪り食う存在となってうごめく様を描いている。語り手である主人公はそれを美しいと語っている。確かにそれはまぎれもない「自然」で、この世界の見事な景色や動物たちの営みがもつ美しさと共通するものがある。弱肉強食、それはこの世界のシンプルな真理であり、余計なものを取り去ったシンプルなあり方こそ自然で美しい。
    が、現代日本の「真っ当な」道徳観では、そんなものを見ても美しさに陶酔する前にどうしても吐き気を催してしまう(苦笑)。よって面白くて一気に読んだが胸が悪くなってしまった。

    主人公含め登場人物全員が屑と悪人。作中で主人公がやたらと屑呼ばわりされているが、まあ屑なのだけれども特別腐っているわけでないような気がする。皆が皆殺しも強姦も略奪も平気でやるので。それでもそんな「のらくらども」にも主人公が屑呼ばわりされるのは「人の心が最初から備わっていない」のと「相手を選ばない」かららしいのだが、私にはよく理解できない。皆惨たらしく人を殺す屑だと思うのだが……。ごろつきにしかわからない線引きがあるのだろうか。
    村が崩壊したのも兄が死んだのも主人公に原因がある。が、確かに主人公は女を孕ませたり強姦したりして女の兄や恋人をキレさせたが、この作品世界では何も特別なことではない。主人公の母親にしたって強姦されているわけで、そのおかげで主人公の本当の父親はわからないのだし。兄の死だってギャンブルで全財産擦った自業自得ともいえるし。
    まあ、皆五十歩百歩のろくでなしだ。主人公が百歩の方だったとしても。

    ただまあこの主人公(と他の悪人も)、本当に人の心がないとも断言できない。終盤の「トリスタンとイゾルデ」の映画上映のシーン、あそこで本人たちにとっても不思議なことだが皆静かに涙を流すのだ。「どうしようもない代物」と評していた映画なのに。
    それからつるんでいたウルリヒの女を殺されて主人公も何か思ったようだし、ウルリヒが描く最新型の飛行機を見てこれを作ろうと考えたり。他にも時たま人の心が垣間見える。
    余計なものを剥ぎ取って生そのものになった「悪人」の中にも、人として生まれた以上は人の心がこびりつくように残ってしまうものなのだろうか。人間のふりをして立たざるをえないのだろうか。
    ミノタウロスAmazon書評・レビュー:ミノタウロスより
    4062140586
    No.30:
    (5pt)

    快楽としてのピカレスク小説

    小説を読むことが快楽であるということを純粋に教えてくれる一作。
     第一次世界大戦前後のウクライナの地主の息子であるヴァシリ・ペトローヴィチ・オトレーシコフはフランス語とドイツ語とロシア語を操る天才児でありながら、その本質は獣そのものである。「僕はけだものだったし、けだもの以上のものになろうとしたことは一度もない」という本人のセリフが、その単純極まる性質を見事に言い表している。

     二十世紀初頭のウクライナを舞台とした綿密な取材と描写、そしてところどころに挟まれる切れ味溢れる一節は、読む度に読者に快い思いを味あわせてくれる。「学の無い奴は皆シェイクスピアが好きだ」「首を吊るロープに石鹸を塗ることを思いつくのに大学を出る必要はない」など。
     ただ、個人的にはこの小説は根本の部分で少女漫画の構造を持っていると思う。ところどころで、『けだもの』であるところのヴァシリはロマンを解し、激情に身を委ねる。虚栄心に突き動かされる美女マリーナのために眠れぬ夜を過ごし、僚友ウルリヒのの復讐に共鳴し放擲の人生へと身を投じる。『けだもの』の一言では表わせきれない人間性の理不尽さを随所に併せ持つヴァシリは、どこかしらロマンを内に秘めた憎めない人間像を覗かせる。途中、サイレント映画の脚本作成に加わる場面においてはその人間の理不尽さは極地に達する。        .

     彼のもう一人の保護者とも言えるアナトーリ・ティモフェイヴィチ・シチェルパートフ、恋人のテチヤーナ、シェイクスピアを愛好する革命志向の小男グラバク、魅力的なキャラクター達が織り成す物語は一切を否定しながら突き進み、終着を迎える。女性作家の鋭い感性が描き出す批判的人間像を愉しみながら、何度と無く読み返したくなる小説である。
    ミノタウロスAmazon書評・レビュー:ミノタウロスより
    4062140586



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