スウィングしなけりゃ意味がない
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がっしり胸もとを摑まれて引きずられるように、読みました。というのは少しく正しくなく、心臓を鷲づかみにされて、ついてゆかざるを得なかったということで。ナチス政権下のドイツ、ハンブルクのスウィング・ボーイズ。その中心となったエディが主人公である語り手となり、戦中戦後のなかの景色を見せてくれます。スウィング・ボーイズと言われた者らを、実に嫌な同級生だったという証言を著者は記されていますが、私にとっても鼻持ちならぬやつ、と好意を持てませんでした。エディがスウィングし始め鑑別所にいれられる辺りまでは。軍国主義に斜に構えていられるのも、その軍に顔が利く、裕福な親の庇護にいるからだろうと。しかしながら鑑別所に入ることになり、過酷な目に遭いながらも怯まず、怯まずというのもなにかしっくりこない、スウィングする姿勢を変えることはないところを見て、見直し、見直すどころか感嘆し、次第に好きになってゆきました。好感という言葉を使おうとして、どうもそれはふさわしくないような気がされて。その言葉には、健全だとか優良というニュアンスが少なからずあるように思われるからで。スウィングしづつけるということは、国に逆らい続けるということであり、そういう意味でも、エディは抗うでもなく自分のスタイルでいたいというだけで、健全だとか優良というニュアンスを拒絶したろうと思われます。ただしそれはその時代の国にとっては、というだけのことで(いや、何時の時代にも変わらぬものかもしれませんが)、国とか時代に関わらず、人としてこれ以上に健康で豊かなこと(正しいかどうかは判りません)はないだろうと私は信じるものです。実際のところ、心身ともに疲弊していゆきましたし、この先病に斃れたりする恐れもありはしますが。肉体はそうだけれど、魂は囚われまいとして、どこまでも健康であって。それは彼の代で凸状表れたものではなく、両親にもそれがあって、きっとそれはさらに溯ったところにもあり、そしてエディに鮮やかに表れていただけで、他の人たちにも何かしらあったはずで。今もなお。そういう人間として、健康で真っ当なものを保ちもつ代表としてエディはいるのだと、私は読みましたし、惹かれずにはいられない由縁もそこにあるのでしょう。ちなみに、ナチスに抵抗するような真似をしたスウィングボーイズについて全く知りませんでした。付記された著者の説明だとか須賀しのぶ先生の解説で知りましたし、そもそもドイツというものもあまり知らないため、エディという通称にさして違和感はなかったわけですが、通常の方であれば、なぜドイツ人がエディなんだと気がつかれたはずですね。またタイトルから、それぞれの章までジャズのナンバーになっているわけですが、ほとんど知りませんでしたし。小説の良さは、その内容に通じていたり教養がなくとも愉しめてしまうところ。いくらよく知っていること卑近なことを描いたものでもつまらないもの、くだらないものは掃いてすてるほどあり、いくら知らないことでも夢中になって読ませるものもあり。豊かで美味い小説か、貧しく不味い小説かしかなくて、本書は紛れもなく、希少な前者です。 | ||||
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ナチス政権下のドイツ・ハンブルグが舞台。史実がわかっているだけに、物語後半、登場人物たちにどんな運命がおそいかかるのか、ページをめくる手がとまらず、すさまじい疾走感を覚えながら読んだ。 引用されるナンバーの歌詞が絶妙で、行間から音楽が聞こえてくるような気がした。 | ||||
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最高におもしろい。ポピュラー音楽の興奮とそれに浮かれる鼻持ちならない若者。その周辺を圧殺する凶悪な社会。 平易な文章だから斜めに読んでしまってはいけない。丁寧に丁寧に読まないと作者が省略している部分を読み飛ばす。そして、youtubeでもなんでもいいから、章題の曲をかけて読みましょう。 | ||||
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青春小説であり、一種のピカレスクロマンであり、同時に国家についての物語である。 第二次世界大戦時のドイツを舞台とするが、今の日本の私たちにとってとても同時代的。 ぐいぐい読めてしまう文体とストーリーなので、気軽に色々な世代の人に手に取ってもらいたくなる。 | ||||
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まあ、戦時中には、満州や上海にもこんなうまく立ち回った悪ガキ連中はいたことだろう。男装の麗人も、中国人になり済ませた歌手だっていた、規格破りの満鉄の連中もいた。本土でも、例えば徴兵をまんまと逃れた三島由紀夫は、徴兵逃れの華族グループと付き合い、その下っ端として恩恵を享受していたとか、といった物語を紡げそうだし、白洲なんてのもうまく体制にパラサイトしていた気配もある。大量の金塊を持ち帰った児玉機関なんてのもこの会社と相似形で、それにくっついていた不良だっていたんだろう、と思える。 そんな比較はともかく、なにより細部が生き生きとしていて、物語を堪能した。もちろん読むことの快楽が伴うそのジャジーで、軽快で、しかも時々恐ろしくクールな文体にも。「昼間の店は煙草の残り香まで冷えている」なんて、ね。 何を調べても、見ても、隔靴掻痒、ナチ批判と汚れた享楽という定型の壁にぶつかり、その先は想像で補填するしかなかった戦時中の、そのドイツの社会の一部を軽いタッチで見せてくれた。 強い風圧を受け、ヨットのように風を逃がしたり、間切りながらも、人間ってのはどうにもこうにも生きるしかない。私の想像力と踵を接していたが、そのことにもまた、感謝。 | ||||
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