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スウィングしなけりゃ意味がない



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スウィングしなけりゃ意味がない

スウィングしなけりゃ意味がないの評価: 4.57/5点 レビュー 14件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.57pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全14件 1~14 1/1ページ
No.14:
(5pt)

スウィングボーイズ。

がっしり胸もとを摑まれて引きずられるように、読みました。というのは少しく正しくなく、心臓を鷲づかみにされて、ついてゆかざるを得なかったということで。ナチス政権下のドイツ、ハンブルクのスウィング・ボーイズ。その中心となったエディが主人公である語り手となり、戦中戦後のなかの景色を見せてくれます。スウィング・ボーイズと言われた者らを、実に嫌な同級生だったという証言を著者は記されていますが、私にとっても鼻持ちならぬやつ、と好意を持てませんでした。エディがスウィングし始め鑑別所にいれられる辺りまでは。軍国主義に斜に構えていられるのも、その軍に顔が利く、裕福な親の庇護にいるからだろうと。しかしながら鑑別所に入ることになり、過酷な目に遭いながらも怯まず、怯まずというのもなにかしっくりこない、スウィングする姿勢を変えることはないところを見て、見直し、見直すどころか感嘆し、次第に好きになってゆきました。好感という言葉を使おうとして、どうもそれはふさわしくないような気がされて。その言葉には、健全だとか優良というニュアンスが少なからずあるように思われるからで。スウィングしづつけるということは、国に逆らい続けるということであり、そういう意味でも、エディは抗うでもなく自分のスタイルでいたいというだけで、健全だとか優良というニュアンスを拒絶したろうと思われます。ただしそれはその時代の国にとっては、というだけのことで(いや、何時の時代にも変わらぬものかもしれませんが)、国とか時代に関わらず、人としてこれ以上に健康で豊かなこと(正しいかどうかは判りません)はないだろうと私は信じるものです。実際のところ、心身ともに疲弊していゆきましたし、この先病に斃れたりする恐れもありはしますが。肉体はそうだけれど、魂は囚われまいとして、どこまでも健康であって。それは彼の代で凸状表れたものではなく、両親にもそれがあって、きっとそれはさらに溯ったところにもあり、そしてエディに鮮やかに表れていただけで、他の人たちにも何かしらあったはずで。今もなお。そういう人間として、健康で真っ当なものを保ちもつ代表としてエディはいるのだと、私は読みましたし、惹かれずにはいられない由縁もそこにあるのでしょう。ちなみに、ナチスに抵抗するような真似をしたスウィングボーイズについて全く知りませんでした。付記された著者の説明だとか須賀しのぶ先生の解説で知りましたし、そもそもドイツというものもあまり知らないため、エディという通称にさして違和感はなかったわけですが、通常の方であれば、なぜドイツ人がエディなんだと気がつかれたはずですね。またタイトルから、それぞれの章までジャズのナンバーになっているわけですが、ほとんど知りませんでしたし。小説の良さは、その内容に通じていたり教養がなくとも愉しめてしまうところ。いくらよく知っていること卑近なことを描いたものでもつまらないもの、くだらないものは掃いてすてるほどあり、いくら知らないことでも夢中になって読ませるものもあり。豊かで美味い小説か、貧しく不味い小説かしかなくて、本書は紛れもなく、希少な前者です。
スウィングしなけりゃ意味がないAmazon書評・レビュー:スウィングしなけりゃ意味がないより
4041050766
No.13:
(5pt)

疾走感

ナチス政権下のドイツ・ハンブルグが舞台。史実がわかっているだけに、物語後半、登場人物たちにどんな運命がおそいかかるのか、ページをめくる手がとまらず、すさまじい疾走感を覚えながら読んだ。
引用されるナンバーの歌詞が絶妙で、行間から音楽が聞こえてくるような気がした。
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4041050766
No.12:
(5pt)

第三帝国のジャズ

最高におもしろい。ポピュラー音楽の興奮とそれに浮かれる鼻持ちならない若者。その周辺を圧殺する凶悪な社会。
平易な文章だから斜めに読んでしまってはいけない。丁寧に丁寧に読まないと作者が省略している部分を読み飛ばす。そして、youtubeでもなんでもいいから、章題の曲をかけて読みましょう。
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4041050766
No.11:
(5pt)

ぜひ一度読んでみて

青春小説であり、一種のピカレスクロマンであり、同時に国家についての物語である。
第二次世界大戦時のドイツを舞台とするが、今の日本の私たちにとってとても同時代的。
ぐいぐい読めてしまう文体とストーリーなので、気軽に色々な世代の人に手に取ってもらいたくなる。
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4041050766
No.10:
(5pt)

斜めからの発掘

まあ、戦時中には、満州や上海にもこんなうまく立ち回った悪ガキ連中はいたことだろう。男装の麗人も、中国人になり済ませた歌手だっていた、規格破りの満鉄の連中もいた。本土でも、例えば徴兵をまんまと逃れた三島由紀夫は、徴兵逃れの華族グループと付き合い、その下っ端として恩恵を享受していたとか、といった物語を紡げそうだし、白洲なんてのもうまく体制にパラサイトしていた気配もある。大量の金塊を持ち帰った児玉機関なんてのもこの会社と相似形で、それにくっついていた不良だっていたんだろう、と思える。
そんな比較はともかく、なにより細部が生き生きとしていて、物語を堪能した。もちろん読むことの快楽が伴うそのジャジーで、軽快で、しかも時々恐ろしくクールな文体にも。「昼間の店は煙草の残り香まで冷えている」なんて、ね。
何を調べても、見ても、隔靴掻痒、ナチ批判と汚れた享楽という定型の壁にぶつかり、その先は想像で補填するしかなかった戦時中の、そのドイツの社会の一部を軽いタッチで見せてくれた。
強い風圧を受け、ヨットのように風を逃がしたり、間切りながらも、人間ってのはどうにもこうにも生きるしかない。私の想像力と踵を接していたが、そのことにもまた、感謝。
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4041050766
No.9:
(5pt)

ナチス支配のドイツでも悪童たちはいたのである

これは、スイングユーゲントと呼ばれた、ナチスドイツのもとでのアメリカジャズにかぶれた悪童たちの物語である。

当然、ゲシュタボやヒトラーユーゲント、親衛隊などからは睨まれる。

第二次大戦開戦後にジャズのダンスパーティを開いて、収容所にぶち込まれ、死にそうな目にもあう。

が、アメリカ的な消費主義とその象徴としてのジャズを知ってしまった彼らは、しぶとくイギリスのBBCの音楽放送を録音し、レコードにして密売する商売にも手を染める。

空爆で町が廃墟になっても、父親の経営していた工場内にナイトクラブを開きジャズバンドを入れて営業する。

あのナチスドイツのもとで、そんなことが可能だったのか、と思いつつ読んだが、どうやらかなり実話に依拠しているらしい。

実際、スイングユーゲントをテーマにした書籍も発行されているし、記録文書も多く、著者はそれらを参照している。

どんな事態でも、たとえばおそらく軍国主義下の日本でも、かなりしたたかに生き抜く悪童はいるわけで、消費主義に魅せられた彼らは、ある意味ではナチスや皇国日本の理念よりも強い根拠を持っていたりする。

それはそれで、ちょっと爽やかだったりするのだ。
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4041050766
No.8:
(5pt)

異形のサンクチュアリ

第2次大戦下のドイツはハンブルグに生息する、ジャズに夢中なお坊ちゃん不良少年達の物語.斜に構え、お洒落にイカした外見を死んでも崩さず、世の悲惨さ陰惨さ滑稽さを笑い飛ばしながら、その実、狂おしいまでに自己に誠実に生きていたのが、いつしかまったく無色で無感動の恐ろしい世界にとりこまれる.映画でいえば「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」を謳歌していたら「戦場のピアニスト」的状況に完全包囲された感じ.連合軍による大空襲で文字通り「死の都」と化したハンブルグに主人公達が立ち上げる禁断の自由経済体が凄い.自由の無い完全な自由、無秩序の秩序、無法の法、集う全員が壊れており、都市の死を吸い取って狂乱の生を吐き出し、生を消費して死を生産する、それ自体が生きた怪物じみた異形のサンクチュアリの描写には身体が震えました(映画「ファイトクラブ」をちょっと想起).まあここだけでなく全編通して描写される場面ひとつひとつのイケてる度合いが相変わらず群を抜いてます(この場面で「ヒンデミット」とは!).佐藤亜紀さんの小説の読後にいつも思うのは、自分もこの小説世界で生きてみたい、という願望で、読み返す事でそれを叶えようとするのですが、ほんとに行ったら「来るんじゃなかった」と逆にこっちの世界を夢見るような気もして読むのが怖い、そんな感じです.
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4041050766
No.7:
(5pt)

2017年の最高の収穫 各文学賞はぼんくらにもほどがある

豊崎先生もいってますがまさにそのとおり。
2017年、これ以上の収穫があるなら教えてほしい。
佐藤亜紀作品のなかでも一般受けする方だとおもうのだが・・・
2017年はこれ、2018年は山尾悠子「飛ぶ孔雀」できまりかな。
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4041050766
No.6:
(5pt)

佐藤亜紀版"風とともに去りぬ"はスウィングしてる

反戦小説という人もいるかもしれない。でも、「火垂るの墓」のような反戦小説を読む(好む)人にとって、スウィングを反戦小説だと言われたら違和感を覚えるかもしれない。もちろん、主人公の両親をはじめ、身近な人々は空襲にあって死んでしまったり、反戦的な行為によって、刑務所で死んだり、ユダヤ人として、収容所にぶち込まれたりするような悲惨な経験をする。

 最後に登場人物たちは、将来への希望を余韻として残して、終戦を迎えることになる。これに近いエンディングといえば、「風と共に去りぬ」であり、そのエンディングは決して絶望的なものではなく、長い夜の終わりを告げる夜明けのイメージであるが、スカーレット・オハラの名言「明日は明日の風が吹く」”tommorow is another day”に示されているオプティミズムが救いとなっているのに対して、”スウィング”は、そのような名言を必要としない、人間のたくましさを”かわいそう”とか”たいへんね”といった安易なセンチメンタリズムを排していて、そこに至るまでの物語全体を覆っている雰囲気は意外なまでに明るいトーンである。

 ナチ政権、第二次大戦下のドイツ、ハンブルグを舞台とした、この小説の主人公は、大工場の社長を父に持つ高校生のお坊ちゃんであり、彼とその周辺の人々の第二次世界大戦下のハンブルグでのお話である。

 主人公の家は裕福であり、戦前(第二次大戦前)には、両親がロンドンに度々訪れたり、当時のミュージカルスター、アステア、ロジャースになぞらえたりする、アメリカ被れのジャズ愛好者であったりするような、自由な雰囲気の中で、(たぶん)のびのび育ってきた。

 その主人公は両親の影響かジャズという音楽を愛しているが、戦争が起こり、それが激しくなることによって、徐々に楽しめなくなってくる様子を描いている。 ごく大雑把に言ってしまえば、佐藤亜紀は、ジャズというものを「普通の暮らし」、「ささやかな幸せ」になぞらえている。乱暴に言い切ってしまえば、スウィングすることができないような暮らしには意味がない、人生の喜びはない、と言おうとしている、のだろうと思っている。

​ 戦争は、普通の暮らしをすることを許さず、ささやかな幸せも奪ってしまうのだ、ということは誰しも否定はしないだろうし、言われれば、「そんなことわかってる」って言いたくなるところだけれど、”ジャズ”、スウィング”というものを戦争によって失われる”ささやかな幸せ”とすることによって、暗さ、貧乏臭さとは縁遠い物語とし、いわゆる反戦小説ってのはどうも、という私みたいな読者にも楽しめるものにしている。というか、普通のエンターテインメント(直木賞候補になるような?小説)としても今年最大の収穫といっても良いような作品だと思う。
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4041050766
No.5:
(2pt)

ナチス・ドイツ下で、ジャズに傾倒する若者達の青春物語という視座は新鮮だと思ったが、如何せん物語として面白くない凡作

ナチス・ドイツ下で、ジャズに傾倒する若者達の青春物語という視座は新鮮だと思ったが、如何せん物語として面白くない。ナチス・ドイツ下の全てのドイツ人が戦争指向だった訳ではなく、中には反ナチスで、アメリカの文化・音楽に憧れていた若者達が居た(だろう)という着想は、上述した通り、(少なくても私の思い込みの)意表を突くものであるが、ただ単にそれを綴っただけではねぇ~。

文体は飽くまで軽快で、本当は重い、ユダヤ人差別、悲惨な収容所環境などの問題も軽いノリで包んでしまおうとの意匠の様だが、物語の展開に起伏がなく、読んでいて歯応えが無かった。登場人物にデューク・エリントンにちなんだ名前を付けたり、保険会社に絡んでロイズという人物を登場させたりと、遊び心には富んでいるが、単にそれだけという印象を免れない。途中が退屈だったので、どういう結末を用意しているかだけを楽しみに読み進めたのだが、それも虚しく終わった。

作者の固定ファンで、作者の遊び心に共感出来る方だけが楽しめる作品。多くの方にとっては避けた方が無難な凡作だと思った。
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4041050766
No.4:
(5pt)

魅力的な登場人物たちに拍手喝采

ラジオの書評で「読んでいるうちに音楽が聞こえてくる」という言葉を真に受け、日ごろジャズなど聴かないにもかかわらずワクワクして手に取った。
 ところが、そんな軽い気持ちは読み進めていくうちに吹き飛んだ。第2次世界大戦中、音楽を愛する10代の若者たちの青春物語なんてとんでもない!
 描かれているのは、自由や消費を抑圧された金持ちのわがまま息子たちが、いかに体制の目をかいくぐって自分たちの欲望を解放していくのか。そこには抑圧するものや納得いかないものへの激しい憎悪に満ちあふれている。
 主人公のエディをはじめとする、天才ピアニストのマックスや無骨な恋人のアディ、もと敵側だったクーら、登場するキャラクター一人一人が現代的で際立っていて、追っていて飽きさせないというか親しみがわいてくる。彼らのナチに対する怨み辛みこそ、彼らの行動原理の一つだ。
 そこで考えたことが二つ。一つは戦時中の日本で、同じように体制を恨みながら、大人たちをだしぬいてやろうという輩の物語はないのかということ。もう一つは、戦後に到来する自由と消費の世界で、大人になった彼ら登場人物たちは退屈な大人、というか鼻持ちならないジジイにならないかということだ。
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4041050766
No.3:
(2pt)

さらばモスクワ愚連隊?

やたら絶賛する人がいるので読んでみたが、どうも主人公に感情移入できないし、読者の感情を巻き込むストーリー展開もない。この作家はいつもそうで、そこが通俗小説でないゆえんなのだろうが、別にナチスへの抵抗運動をしているわけでもないし、ジャズが前面に出てくるわけでもない。単なるナチス政権下の一不良少年の日々という感じである。ところでジャズが敵性音楽なのは、戦後のソ連・東欧でもそうだったし、中共の文化大革命なんかクラシックのレコード持ってるだけでつるしあげにあったのだが、この小説には「ナチスを悪にしておけば無難」みたいな感じがある。五木寛之の「さらばモスクワ愚連隊」は、ジャズを弾圧はしないがまともな藝術と見なさないソ連で、ジャズをやる少年を描いていて、それを思い出した。あと「ロマ」はやめてほしかったなあ、せめて「ツィゴイナー」とか書けばいいのに。
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4041050766
No.2:
(5pt)

ジャズを愛するドイツ人青少年による反ナチス抵抗運動を描いた傑作

今年2017年はジャズ誕生100周年とか。
ジャズのスタンダードナンバーをタイトルにした軽いノリの音楽モチーフの小説かと思い手に取りました。

読み始めてみるとジャズをモチーフにしつつも内容はナチスによる人種差別や文化への抑圧を鋭い文体で暴いた驚きの傑作でした。
スウィング・ボーイズという歴史事実を踏まえつつ戦時下で起きた若者の悲劇を抑制の利いた乾いた語り口で見事に描き切っています。
著者は差別や抑圧の対極にあるものの象徴としてジャズを描き、ジャズに酔いしれる不良少年に自由への狼煙を上げさせます。

主人公は米国的消費生活に憧れてジャズを愛する特権的で裕福な家庭の不良青年です。
愛国心を鼓舞するヒトラーユーゲントを嘲笑し、ジャズとダンスに耽りながら徴兵すら逃れようと画策します。
貧しい労働者階級などではなく軍部エリートとも近い彼らがジャズを拠り所に果敢に反抗する姿は共感を覚えます。
性根の座った不良少年ぶりには清々しさすら感じます。

こんな若者たちがナチス政権下のドイツにいたことが驚きでした。
フレッド・アステア、デューク・エリントン、ベニー・グッドマンといったジャズの巨匠の名曲とともに語られる激烈な反戦抵抗物語です。
選曲の妙を感じつつページを捲る指が止まらず一気に読了してしまいました。
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4041050766
No.1:
(5pt)

異才、佐藤亜紀最新作の舞台は、彼女が得意とするドイツ語圏!

異才、佐藤亜紀最新作の舞台は、彼女が得意とするドイツ語圏。
時は1940年代初頭、ナチス政権下のドイツは港街ハンブルク。
重工業都市ハンブルクの裕福な家庭の子弟が、敵性音楽である
米国のスウィング(ジャズ)にハマり、統制社会下にありながら、
“スウィング・ボーイズ”として青春を謳歌していたのだが・・・
という物語。

以前あった硬質な文体は鳴りを潜め、現代風にくだけたセリフが
随分と軽い印象を与えるが、戦争という時代の息詰まる圧迫感を
その軽さが際立たせる効果を出している。

戦争の影がその色を濃くするにつれ、彼らも数々の悲劇に襲われる。
しかしその直接的被害よりも、自由な空気が吸えないという状況が
彼らにとって憎悪の対象であり、真の悲劇であることが、
これでもかと、痛切に描かれていく後半の疾走感は堪らない。
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4041050766

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