忘れられた巨人
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物語の導入は限りなく地味である。 4~5世紀のイギリスを舞台に、ドラゴンや悪鬼の存在する世界を老夫婦が旅をする。 単行本を買った当初、そのファンタジー的な設定になじめず、未読状態であった。 最近になって、ふとしたきっかけで読み進めてみると、確かに設定はファンタジーではあるが、現代に生きる私たちが抱える問題に深くコミットした、まさに純文学の大傑作であった。 そのテーマは「共同体(もしくは国家)は、何を忘れ、何を記憶すべきか」という問いである。 また、導入は地味でも、物語が進むにつれて戦士やわけありの少年も旅に加わり、手に汗を握る戦闘シーンもある。三人称や一人称、伝聞等の様々な視点を取り入れながら、見事な文体ですらすらと読ませる力は、さすがノーベル文学賞作家。 深いテーマに取り組みながら、読み終わっても登場人物たちと別れがたい印象が残る、心の深くに届く大傑作だと思う。 | ||||
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「国民投票でイギリスのEU離脱(いわゆるブレグジット)が決まったとき、カズオ・イシグロはたいへん怒っていた」と訳者あとがきにあるとおり、本作はそのことをかなり意識したうえで書かれた、民族の融和、受容、対立、排斥といったことがモチーフの中世ファンタジーである。 「殺戮の循環は途切れることがなく、復讐への欲望は途絶えることがありません」、「憎しみの連鎖は途切れるどころか、今日の出来事によって鍛えられ、強化されるでしょう」(どちらもP321)というようなセリフからは、パレスチナ情勢など昨今の紛争にも思いをはせずにはいられない。 サクソン人の戦士ウィスタンが言う。「もしまた会うことがあれば、平和のうちにお進みなさいと言うでしょう。ま、もはや平和などありえませんが」(P441)。それに対してブリトン人のアクセルが問う。「平和のうちに進めと言いながら、もはや平和などありえないとも言われました。(中略)ここで説明したいただけませんか」(P445) 話としては全体的にスローな感じで、いささか眠気を誘うのだが、印象的なシーンや登場人物のやりとりも多く、結果的には満足度の高い読書だった。主人公の老夫婦が家出した息子を「取り繕いの言葉に騙されるほど幼くなく、心の複雑な綾(あや)を知るには若すぎ、もう戻らないと言って去りました」(P469)と表現するのも心に残った。 何もよりも、「忘れる」というのは素晴らしいことではないか、と本書を読みながら思っていた。日本には「水に流す」という良い言葉があるけれど、「忘れたふりをする」のもみんなと仲良くやっていく知恵である。何もかも覚えているなんて、つらいことだと思う。 | ||||
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大作だと思います。大人のためのファンタジーですね。ただ、もう一つ、のめり込めなかったのは、中世イギリス、ブリテン島という特殊な舞台設定。日本人には、あまりにもその情景が浮かびにくかったこと。私自身がイギリスの歴史に詳しくないため、民族間の争いがどのようなものだったのか、知識が不足していたためだと思います。 | ||||
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2017年にノーベル文学賞を受賞したことで、日本でも一躍その名が日本でも広く知られるようになったカズオ イシグロの長編小説。発売されたときは厚くて重くて、これ以上本を増やせないと買うのをあきらめたが、文庫本になって手にとりやすくなった。アーサー王を主題としているので、そのあたりの情報がないと難解かもしれないが、固定概念なくひとつの読み物としても愉しめる。これをきっかけに、過去のイシグロ作品も読んでみるのも。映画化された『日の名残り』や日本でドラマ化された『わたしを離さないで』も必読。 | ||||
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帯無し、開きにクセがある。この本はわたしの知ってる新品ではない。訳あり商品だったのですね | ||||
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