長いお別れ



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初公開日(参考)1958年01月
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長編小説

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長い別れ (創元推理文庫)

2022年04月28日 長い別れ (創元推理文庫)

テリー・レノックスという酔っぱらい男と友人になった私立探偵フィリップ・マーロウは、頼まれて彼をメキシコに送り届けることになった。メキシコからロスに戻ったマーロウは警官に逮捕されてしまう。レノックスが妻殺しの容疑で警察に追われていたのだ。しかし、レノックスが罪を告白して自殺したと判明。マーロウのもとにはレノックスからの手紙が届いた。ギムレットを飲んですべて忘れてほしいという手紙だったが……。『大いなる眠り』、『さらば愛しき女よ』と並ぶチャンドラーの代表作。愛と友情を描いた不朽の名作を名手渾身の翻訳で!(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.25pt

長いお別れの総合評価:8.70/10点レビュー 294件。Aランク


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全4件 1~4 1/1ページ
No.4:6人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

アメリカ文学史に残る畢生の傑作

『大いなる眠り』の感想でも述べたが、私が最初に手に取ったチャンドラー作品がこの『長いお別れ』だった。
これには理由がある。まず私はハヤカワミステリ文庫版から手をつけていたのだが、チャンドラーの背表紙に付けられた番号が1番であったのが『長いお別れ』だったのだ。順番を意識して読む私は当然刊行された順というのは古い順だろうと思い込んでいたが、それは間違いだった。そして私はいきなりこの名作から手をつけてしまったのだった。

本作の何がすごいかといえば、『湖中の女』、『かわいい女』とあまり出来のよくない作品が続いた。そして『かわいい女』から4年後、ハードボイルドの、いやアメリカ文学史に残る畢生の名作を書く。一説によれば、チャンドラーが『湖中の女』の後、ハリウッドの脚本家に転身したのは作家として行き詰まりを感じていたのだという。そのハリウッドで苦い経験をした後、書いた作品『かわいい女』の評判もあまりよくなく、チャンドラー自身でさえ、「一番積極的に嫌っている作品」とまで云っている。そんな低迷を乗り越えて書いた作品が世紀を超え、ミステリのみならずその後の文学界でも多大なる影響を今なお与え、チャンドラーの名声を不朽の物にしたほどの傑作であることを考えると、単純に名作では括れない感慨がある。

テリー・レノックスという世を儚んだような酔っ払いとの邂逅から物語は始まる。自分から人と関わる事をしないマーロウがなぜか放っておけない男だった。
この物語はこのテリーとマーロウの奇妙な友情物語と云っていい。
相変わらずストーリーは寄り道をしながら進むが、各場面に散りばめられたワイズクラックや独り言にはチャンドラーの人生観が他の作品にも増して散りばめられているような気がする。

「ギムレットにはまだ早すぎるね」
「さよならを言うことはわずかのあいだ死ぬ事だ」
「私は未だに警察と上手く付き合う方法を知らない」

心に残るフレーズの応酬に読書中は美酒を飲むが如く、いい酩酊感を齎してくれた。
チャンドラーはたった7作の長編しか残していないが、その7作でミステリ史上、永遠に刻まれるキャラクターを2人も創作している。1人は『さらば愛しき女よ』の大鹿マロイ。そしてもう1人が本作に出てくるテリー・レノックスだ。
大鹿マロイが烈情家ならばレノックスは常に諦観を纏った優男といった感じだ。女性から見れば母性本能をくすぐるタイプなのだろう。どこか危うさを持ち、放っておけない。彼と交わしたギムレットがマーロウをして彼の無実を証明するために街を奔らせる。
本作は彼ら2人の友情物語に加え、マーロウの恋愛にも言及されている。本作でマーロウは初めて女性に惑わされる。今までどんな美女がベッドに誘っても断固として受け入れなかったマーロウが、思い惑うのだ。
恐らくマーロウも齢を取り、孤独を感じるようになったのだろう。そして本作では後に妻となるリンダ・ローリングも登場する。
本書を読むと更に増してハードボイルドというのが雰囲気の文学だというのが解る。論理よりも情感に訴える人々の生き様が頭よりも心に響いてくる。
酒に関するマーロウの独白もあり、人生における様々なことがここでは述べられている。読む年齢でまた本書から受取る感慨も様々だろう。

そう、私は本書を読んでギムレットをバーで飲んでやると決意した。しかもバーテンダーがシェイカーで目の前でシェイクしたヤツを。そしてそれを果たした。期待のギムレットは意外に甘かった。多分この本に書かれていたドライなヤツではなく、揶揄されている方のヤツだったのだろう。ただギムレットはチャンドラーのせいで、あまりにもハードボイルドを気取った飲物のように受け取られがちだったので、それ以来飲んでいない。

そんな影響を与えたこの作品の評価は実は10点ではない。全然足りないのだ、星の数が。
×2をして20個星を与えたいくらいだ。
ミステリと期待して読むよりも、文学として読むことを期待する。そうすれば必ず何かが、貴方のマーロウが心に刻まれるはずだ。

Tetchy
WHOKS60S
No.3:
(6pt)

雰囲気もの

ハードボイルドの名作とされていますが、それほどでもないと感じました。

わたろう
0BCEGGR4
No.2:4人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

長いお別れの感想

正直ハードボイルドものは余り好きではありません。
登場人物の心理描写がなされないので、口数少ない主人公のセリフや何気ない所作から色々察する必要があります。
作品に没頭するには主人公に感情移入できる事が必要不可欠と考えます。
特にセリフに味わいがあるはずなのですが、訳によっては「キザ」「ダサい」で片付けられてしまい、こうなってしまっては最早「無味乾燥」
何も残らない作品として読み終えてしまうことが多いです。

分厚いけれど文字が大きいので読了までそれ程時間はかからないかなと思っていましたが、読み始めてみると改行が少なく字がびっしり、予想外に時間がかかってしまいました。
ただ、可読性が悪かったわけではなく寧ろすこぶる良好でした。
可読性が良いのに読了時間を要してしまったのは、それだけ苦手なはずのホードボイルドの世界に没頭できたからでしょう。
私が読んだのは村上春樹訳です。
村上春樹とハードボイルドっていまいちピンと来ないのですが、粋でウイットに富んだ文章を堪能させてもらいました。
清水訳は読んでいないのですが、本来ストーリーテラーであるはずの訳者により、違った価値観が付加されているように感じました。
いい意味での「軽さ」ですかね。
主人公を単なる「キザで鼻持ちならない奴」に終わらせず、ハードボイルド苦手な読み手にも好感を持たせる事に成功している訳者村上春樹のこの作品、この主人公に対する愛を感じることが出来ました。

ミステリっぽい部分もあるのですが、推理しながら読むような作品でもないでしょう。
世界観を楽しむ作品かなと思いますので。
最後、この作品一番の真相が明らかになる某セリフに「おっ」と驚かされる事でしょう。
これで十分、こんな事まで期待していなかったって分、感動は2倍って感じでしょうか。
私は知らなかったのですが、かなり有名なセリフだったようです。
後はタイトルの意味をどう解釈するか、ですかね。
面白かったです。

梁山泊
MTNH2G0O
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

文章が魅力的

ミステリーとしての印象はないが、場の雰囲気、セリフに至る描写がとてもオシャレでカッコ良く、そして心に残った。

Ariroba78
5M53WTS6
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.290:
(5pt)

やめられない

フィリップ・マーロウのシリーズは一度読みだすと止まりません。古い作品ですが、今どきない作品なので余計に読みたくなってしまいます。The ハードボイルドです。
長い別れ (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:長い別れ (創元推理文庫)より
4488131077
No.289:
(5pt)

大好きな作品

こちらの作品で初めてチャンドラーを読みました。
全文格好いいし、読みやすいし、大好きな作品になりました。

後から村上春樹訳を読んだのですが、村上さんの方が日本人にわかりやすい丁寧な表現をしている印象です。

しかし、普段から洋画を見たりチャンドラーと同時代のアメリカ作品に触れているなら、田口さんの翻訳の方が自然に感じると思います。世界観が合っている感じがしました。
「タフぶっている駐車場係の喋り方」ひとつ取っても、田口さんの訳の方が荒っぽくて好きです。

ハマってしまい、紙と電子両方で買いました!カバーデザインも格好良くて好きです。(持っていて恥ずかしくない文庫カバーには、なかなか出会えないので…)
素敵な翻訳ありがとうございます!
長い別れ (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:長い別れ (創元推理文庫)より
4488131077
No.288:
(5pt)

これも村上文学

翻訳ではあるものの、村上春樹さん特有の文章で読み応えが抜群です。
ロング・グッドバイAmazon書評・レビュー:ロング・グッドバイより
4152088001
No.287:
(3pt)

ブラックボックス

訳知り顔で何でも知っており、ケンカというか護身術も巧みな、一見するとヒーローのような主人公である私立探偵マーロウは、依頼人であれ友人であれ人妻であれ、彼らによって(結果的に)利用される人物として描かれている。
 彼は彼自身の良心や倫理観といったものによって行動しているのだが、それにもかかわらず/だからこそ、そのような利用される人物へと機能していくこととなる。マーロウの言動と同様にその存在は、皮肉な構造を持っている。
 小説というものは、そのような歪なものだ。真正面から論理的に説明する、ということになれば学術書に近くなるだろう。人間の社会は矛盾を抱えている、社会においても、個人においても。これは永遠に変わらないだろう、人間の社会という言葉がそれなりに機能するあいだは。また、言語や物語といったものも、矛盾や不安定さを内包しているかもしれない。深酒や賭博や殺人や自殺は、そのような矛盾からもたらされるものだろう。合理主義的精神からみれば、そんなものは無用の沙汰なのだが、最大公約数的な社会の継続的運営には残念ながら必要悪として生じざるを得ないのだろう。近代功利主義の妥当性とも言えるかもしれない。そのような悪の頻度や規模を抑制する、というのが妥当な対応だと思える。

 訳者村上春樹による解説で興味深い言及があった。チャンドラーが心理描写を採らないことに関して、心理的過程といったものに対しブラックボックスと例え、その蓋を開かれることを望まない箱、と言っていた点に、村上の世界観や言語感の一端があらわれているように思える。恐らく、西欧文化の流れにおいては、謎や真理は隠されているもので、だからこそ探究されるものであり、(賢明な)人々はその探究への労力を惜しむべきでない、という姿勢が脈々と受け継がれているように思う。それはオイディプスにおいて端的にあらわれている。それに対し、村上は開けられなくてもよい、解明されなくともよい、と述べ、あたかもニュートンが諸法則の根本原因に触れないように、人間や社会が内包する謎を謎のまま扱う、というような姿勢がここに見られるだろう。そのような姿勢は、彼の多くの作品に見られるものである。
ロング・グッドバイAmazon書評・レビュー:ロング・グッドバイより
4152088001
No.286:
(5pt)

ロバート・アルトマンの映像版のエンディングも憎めないけど

コレとヒギンズ『鷲は舞い降りた』は全国の中学校の道徳の時間の必修にするべき、と言い切ろう
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)Amazon書評・レビュー:長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)より
4150002606



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