(短編集)
死者の奢り・飼育
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芥川賞受賞の表題作「飼育」を含む初期の短編をまとめたもの。 ほかにもノーベル賞も受賞。受賞理由はからっきし意味不明ですが、ネットに落ちているNHKの方の解説を読むと、どうやら現代日本社会を描いたから、ということ!? よくわからん。 ただ、本作を読んでありありと感じたのは、偽善へのシニカルな目線・退廃的ムード・諦めと閉鎖性、このようなワードが思い浮かぶ作品群であったと思います。 ・・・ 以下は作品と寸評です。 「死者の奢り」・・・表題作。解剖用死体を大型水槽からもう一つへ移し替えるというバイトをした「僕」。場面設定が特殊であるものの、得も言われぬ退廃的なムードが印象的な小品。 「他人の足」・・・未成年の脊椎カリエス患者を収容した一種の閉鎖病棟の話。退廃的な慰みを看護師に強要?しているような病棟であったものの、とある「新入り」大学生患者が皆を感化し良化していく。しかし、最後にこの大学生が何とかここを出ることが出来るとなると、もとよりいる患者を汚らわしいものを見るかのように突き放す。ここに善意の欺瞞の薄っぺらさが見て取れる。 「飼育」・・・とある隔絶された村に不時着した米軍飛行機。生きていた黒人兵を指示があるまでその村にとどめおく(まさに「飼育」)様子を綴る。牧歌的な交流が大部分を占めるも、移送される段になり、黒人が逆上し、最後はあっけない結末に。 「人間の羊」・・・占領下のバスでの出来事。米兵に屈辱的な仕打ちを受けた「僕」と、眼前では無抵抗の観客であるも、事後の「僕」に告発させようと躍起になる「教員」との偏執狂的やり取り。居合わせた当事者としては何もしなかった「教員」の第三者的物言いが鼻につく。これもまた「外野」の偽善的欺瞞が匂う作品。 「不意の唖」・・・上記の「飼育」を彷彿とさせるとある山村。今度は米兵とその通訳がこの村に訪れる。強い側についた通訳の高飛車な態度が次第に村人の気持ちを逆撫でし、遂に通訳は。。。ホラーチックな作品。 「戦いの今日」・・・朝鮮戦争時の日本で、米兵に脱走を唆すビラを配る兄弟。ちょっとしたバイト感覚のビラ配りも、脱走志望者が出てきてたじろぐ兄弟。引き受けたくない兄と、何とかしたい弟。結局かくまうことになるも、とある晩に脱走兵に潜むアジア人蔑視を嗅ぎ付けた兄は当の兵士をぼこぼこにして。。。 ・・・ ということで久方ぶりの大江作品でした。 とんがっていてなかなか面白かったです。他の作品もまた読んでみたいと思います。 | ||||
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初大江健三郎作品を読んでいます。 今のところ、死者の奢り、他人の足、人間の羊を読みました。 この作者の作品を一言で表すならば、 「小学生のときにプールで、力の強い同級生に頭を水の中へ押さえつけられてるような感覚」とでも言いましょうか。 ずっと気分が悪い内容が続き、胸に毒が溜まっていくような気分になる。そこでこの胸糞悪さをどうにか取り除こうと、感情が発散されるような場面を待つが、待てど待てど苦しくなるばかり。そして最終的にその苦しさを抱えたままで終わる。 人生で初めて本を床に投げました。本を読んでてこんなに気分が悪くなったのは初めてです。 でも、もしかしたらこんなに文だけで人を不愉快にできるのなら、この作者はやはり天才なんだろうかとも思いました。 | ||||
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「飼育」は、終戦間近の墜落機から捕獲した黒人兵を、閉鎖的な村で監禁する話。最終的にどうするのかについて、役所がもたつきなかなか結論が出ないこと、異人種に対する差別、少年間のマウントの取り合い、慣れによる緊張の緩和、追い詰められたものによる思いがけない反撃、等々、現在でも解決できていないテーマがてんこもりの短編だ。 「人間の羊」は突発的で理不尽な暴力に抵抗できない者の悔しさ、それを傍観していたにもかかわらず後で正義面する者の嫌らしさ、加害者に対するよりむしろそちらに対して激しい反発を覚える被害者の心理を描いた短編。こちらはそのまま学校や職場のいじめに置き換えることができる。 何十年も経つことで大江作品のすごさを再認識させられた。 | ||||
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こういう作品を書くのか | ||||
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読もうとした動機は、「死体洗い」のバイトという都市伝説は、「死者の奢り」が原点とされているからでした。 読んだ結果、「死体洗い」のバイトではなじゃないか・・・と。 でも、大江健三郎氏の文才が、あたかも実在するかのように錯覚させる。 「セヴンティーン」で、「おぉっ!面白い!」と思ったのだが、本作に収められている「他人の足」でも、同じ感覚を覚えた。 それはそうと、予備校生時代に、大江健三郎氏と会って会話をしたことのある講師が、「一番面白かったのは、『日常生活の冒険』がです」と伝えると、「私もそうです」と大江健三郎氏も答えたとか。 読まなくては・・・と思いつつ、25年以上過ぎている。 | ||||
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