イギリス人の患者
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映画『イングリッシュ・ペイシェント』(1996)はアカデミー賞の作品賞をはじめ9部門を受賞している。僕はいまだに見ていないのだが、それどころかどうしても『シェルタリングスカイ』(1990)と混同してしまい、いつも坂本龍一の音楽が脳内をループする。 とまあ、それぐらい僕はこの作品に興味がない。じゃあなぜ原作を読もうという気になったのか。それは本屋で目につき、ブッカー賞受賞作ということと翻訳が土屋政雄氏であることを知ったからだ。実はカズオ・イシグロのように面白い文学作品ではないかと思った。 そんなことはなかった。甘かった。この作品を褒める際によく「詩的」「美しい」「陶酔」というような言葉が使われるが、それは英語を解する人にとってはそうなのだろう。例えば川端康成を日本語で読むのと英訳で読むのとでは違う、といった感覚に近いのかもしれない。 しかし英語圏の作品にしては珍しく原爆を取り上げた文学であることは意義があると思う(そのことで☆を2つにしておきたい)。でもまあブッカー賞だからといって、すべてが面白いとはいえないことはよくわかった。だいたいカズオ・イシグロが文学のくせに面白いのがいけないのだ。 | ||||
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第2次世界大戦末期にドイツ軍が敗走していったイタリアのフィレンツエ北の丘陵地にあるサン・ジローラモ修道院だった屋敷に男性3人(イギリス人、カナダ人、インド人)、女性1人の4人がとどまって、一つの時間軸に沿ってメインストーリーが展開していく。その展開の途中途中で、4人各人の過去の経歴・行動が披露されていくので、注意しないと人物同士の関係を見落としがちになる。イギリス人は飛行機事故で重症の火傷を負って顔の判別ができないほどになっている。カナダ人男性は元来泥棒稼業に勤しんでいたが連合軍側のスパイ活動に従事し、インド人は連合軍側の若い工兵で爆弾処理に関わっている。看護師の女性はどういうわけかイギリス人に懸命の手当を施している。本のタイトルの「イギリス人の患者」から、彼の正体を知りたくて読み進めるのだが、ミステリーとは違って注意して読めば、途中で正体をあかせるようになっている。文中でも、癖のあるカナダ人が彼の正体をあばくようになっている。でも、本書の面白さは、謎解きではなく4人が織りなす振る舞いの拡がりにあり、一体誰が主人公なのだろうかと思わざるを得ない。車中では決して読めない優れた作品である。 | ||||
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翻訳者の方も、あとがきで書かれているように、読者を選ぶ作品ですね。 はまる人にははまるが、そうでない人には少々厳しい。 自分は後者でした。 著者が詩人でもあるということで、文章表現は流麗にして豊潤で、まさに詩的。 一方、登場人物の視点は固定されず頻繁に移り変わり、時間軸も前後を行き来して、小説作法的には良くも悪くも自由奔放。 あらすじを決めず、執筆を進めながらイメージを膨らませて行くという創作手法も、影響しているのかもしれないけれど、一般的な小説とは、かなり作風の隔たりがあります。 著者の、歴史や文化、文学などの多岐にわたる知識には感心するし(やや過剰だが)、戦争で心身に傷を負った4人の人物の、心の変遷とふれあいが描かれる物語自体にも、読者を引き込む魅力があるとは思う。 でも残念ながら、独自の世界を築くこの詩的小説を、自分の固い頭はスムーズには受け入れられなかったようです。 そもそも詩というものに、あまり馴染みがないので。 こういう作品が、歴史ある文学賞の頂点なのかとは思うけど、多分ブッカー賞とはそういうタイプの賞なのでしょう。 ちなみに、映画版の「イングリッシュ・ペイシェント」は、原作の不確かな部分を取り除きテーマを絞り、分かりやすく、かつ奥深い印象の作品に仕上げられています。 原作者である著者も高評価しているとのこと。 | ||||
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学生の頃なら数ページで放り投げていたでしょう、頭に入っていかない、どこが美しいのか?何が面白いのか?まったくつまらない、読了したことを褒めたたえたいわ、映画はいいかなと観たけど、好きになれない、ああいうのっぺり顔の役者、好きになれない、申し訳ない!!!!! | ||||
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戦争中の廃墟にイギリスの患者が収容され・・・というお話。 登場する人物3人か4人が、それぞれ戦争を巡る回想をし、戦争の虚しさや悲しさを浮き彫りにする・・・という展開の小説に思えました。 その回想の部分が詩的な断片に思え、イギリス人の患者を軸にしながらそれらをコラージュして小説にしている様に思えました。 この作家の方の他の作品の「ディサピデロ通り」を読んでおりましたが、内容を忘れていたので、検索して読んだら、似た様な感想が書いてありまして、著者のオンダーチェ氏は、直線的に物語が進むのではなく、軸になる様な人物や事象を据えて、それを介しながら、輻輳する断片を詩的に絡めるタイプの作品が多いみたいで、その個々のイメージが主筋よりも大事に思えました。 解説や訳者あとがきで、上記の様な展開の性か、筋を辿りにくいという感想が多い様で私もそうでしたが、筋よりも、個々の回想が大事な作品らしいので、そのイメージを鑑賞するのが一番いい様に思えました。 個人的にはユーゴの作家のダニロ・キシュが「若き日の悲しみ」や「死者の百科事典」で戦争を静かに告発している様に、本書もそれぞれの登場人物の回想で戦争の辛さや悲しみを表現している様にも思えましたが、穿ち過ぎかも。 登場人物の断片的回想を詩的イメージで喚起してコラージュした小説。是非ご一読を。 | ||||
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