テラ・アルタの憎悪



    ※タグの編集はログイン後行えます

    ※以下のグループに登録されています。


    【この小説が収録されている参考書籍】
    オスダメ平均点

    7.00pt (10max) / 1件

    8.00pt (10max) / 2件

    Amazon平均点

    4.63pt ( 5max) / 8件

    みんなの オススメpt
      自由に投票してください!!
    1pt
    サイト内ランク []B総合:1369位
    ミステリ成分 []
      この作品はミステリ?
      自由に投票してください!!

    0.00pt

    63.00pt

    38.00pt

    0.00pt

    ←非ミステリ

    ミステリ→

    ↑現実的

    ↓幻想的

    初公開日(参考)2024年01月
    分類

    長編小説

    閲覧回数586回
    お気に入りにされた回数0
    読書済みに登録された回数2

    ■このページのURL

    ■報告関係
    ※気になる点がありましたらお知らせください。

    テラ・アルタの憎悪 (ハヤカワ・ミステリ)

    2024年01月10日 テラ・アルタの憎悪 (ハヤカワ・ミステリ)

    獄中でユゴーの『レ・ミゼラブル』と出会い、犯罪をやめ警察官となったメルチョールは、カタルーニャ州郊外の町テラ・アルタで、富豪夫妻殺人事件の捜査に当たる。夫妻は拷問の末に惨殺されていた。メルチョールは夫妻の事業には裏があることを直感するが……(「BOOK」データベースより)




    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

    テラ・アルタの憎悪の総合評価:9.00/10点レビュー 9件。Bランク


    ■スポンサードリンク


    サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

    新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
    (7pt)

    主人公のキャラは良いが、最後に腰砕けの感あり

    2023年の英国推理作家協会の最優秀翻訳小説賞を受賞した、スペイン製ミステリー。カタルーニャの鄙びた町で起きた残虐な富豪夫婦殺しを捜査する熱血刑事の戦いと苦悩を描いた警察ミステリーである。
    着任早々に「退屈する時間はじゅうぶんにあるぞ。ここではなにも起こらないんだからな」と言われたテラ・アルタ署の刑事・メルチョールだったが、町の半分を所有すると言われる富豪夫妻が拷問され、殺害される事件に遭遇した。強盗かという見方もあったのだが、拷問の凄惨さに違和感を覚えたメルチョールは被害者の周辺に犯人がいると推測し、家族や会社関係に捜査の手を伸ばしていった。その結果・・・。
    犯人探し、動機探しの警察ミステリーで、大筋の構成は平凡というか、ありきたりの感を否めない。だが主人公・メルチョール刑事の設定に、物語に奥行きを与え、読者を引き込んでいくパワーがある。娼婦の子として育ち、10代で投獄されたのだが、刑務所で囚人に「レ・ミゼラブル」を読むことを勧められ作品に魅了された。さらに、服役中に母が殺害されたことで犯罪から決別し、母親殺害犯に罪を償わさせるために警察官になることを決意した。見事に警察官になったメルチョールだったが、イスラム過激派のテロリスト4人を射殺したことから、過激派の報復を危惧する警察上層部によって田舎町のテラ・アルタに配属されたのだった。娼婦の息子の刑事と言えば「ハリー・ボッシュ」を筆頭に何人かを思い浮かべるが、いずれのヒーローも正義と不正義、悪との向き合い方に苦悩するのがお約束で、メルチョールも例外ではない。さらに、レ・ミゼラブルの深い影響という独創も加わり、極めて複雑なキャラクターである。
    事件捜査を中心に据えた警察小説だが、謎解き部分は最後に薄味になり肩透かしを喰らう。ミステリーというよりヒューマンドラマ的な面白さが読みどころ。スペインの風土や歴史、社会を知ることができるのもオススメポイントと言える。

    iisan
    927253Y1
    新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

    ※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
    未読の方はご注意ください

    No.8:
    (4pt)

    スペイン近現代史を背景としたミステリーだが、警察小説としては疑問が残る

    原題は「テラ・アルタ」。これはバルセロナのあるカタルーニャ州最南西の僻地とのこと。
    カタルーニャ州といえば、数年前にスペインからの独立投票をめぐって大きなニュースとなったが、本書でも警察内に「独立派」と「スペイン主義者」がいたり、当時のプチデモン州首相が登場したりして、ホットな話題となっている。
    また、この地は20世紀前半にはスペイン内戦の舞台ともなり、共和派とフランコ派の血で血を洗う戦争の記憶が語り継がれている。
    実は、こうしたスペイン近現代史がミステリーの重要な背景となっている。

    このテラ・アルタの支配的実業家夫婦の惨殺事件がミステリーを紡ぐ縦糸なのだが、犯人も惨殺の動機も最後に明らかにされるまで推理の手がかりが見えない。ミステリーの企みといえば巧みではあるが、やや不親切か。
    他方、実業家夫婦惨殺事件と並行して、主人公の刑事の物語が語られるが、著者はここでヴィクトル・ユゴーのあの『レ・ミゼラブル』を重要なライトモチーフとして用いている。
    主人公はジャンバルジャンのような生い立ちながら、敵役のジャベール警部に心酔して刑事を目指すという意表を突く設定だが、これは正義を徹底的に貫こうとして挫折する若者を通じて、正義とは何かを問題にする意図であろう。実際、最後に主人公はジャベール崇拝を捨てる。

    警察小説としては、捜査会議などのディテールが丁寧に描かれているのが素晴らしいが、他方で、重大事件とはいえ現職の刑事が法を犯した捜査に踏み込んでしまい、それが露見しても注意程度で黙認されてしまうのは、やはり疑問である。上司の言葉どおり正義にはその形式、すなわち手続的正義も不可欠であり、違法捜査で得られた証拠は裁判で証拠能力が否定されるからだ。
    適正手続の枠内で刑事たちが苦労しながら証拠を積み上げていくのが警察小説の醍醐味ではなかろうか。

    なお、主人公の母親殺害事件の犯人と、主人公を少年時代から庇護し続ける刑事弁護士の正体は謎のままだが、本書は3部作の第1作ということであり、今後明らかにされるのだろう。
    『レ・ミゼラブル』のような19世紀的大ロマンの復権を期待したい。
    テラ・アルタの憎悪 (ハヤカワ・ミステリ)Amazon書評・レビュー:テラ・アルタの憎悪 (ハヤカワ・ミステリ)より
    4150019991
    No.7:
    (4pt)

    読んでみな、スペインミステリー

    スペインのミステリーを読むのは、はじめてだ。最近、ヨーロッパのミステリーがおもしろいと感じる。物語は、重層的で背景となる社会や人間関係も深い。
     さて、この作品だが。主人公の母が娼婦で何者かに殺されたことは、マイクル コナリーのハリー ボッシュシリーズと似ている。このことが彼を警官にさせ、捜査のモチーフとなっていることも似ている。
     しかし、物語に通奏低音として、「レ・ミゼラブル」のテーマが流れていることがおもしろい。これ以上書くとネタバレになりそうなのでやめておく。
     読んでみな、スペインミステリー!
    テラ・アルタの憎悪 (ハヤカワ・ミステリ)Amazon書評・レビュー:テラ・アルタの憎悪 (ハヤカワ・ミステリ)より
    4150019991
    No.6:
    (5pt)

    映画化されるべき作品

    善とは何か、悪とは何か、ビジュアルにして
    完成するのでは。
    テラ・アルタの憎悪 (ハヤカワ・ミステリ)Amazon書評・レビュー:テラ・アルタの憎悪 (ハヤカワ・ミステリ)より
    4150019991
    No.5:
    (5pt)

    翻訳が素晴らしい

    白川貴子氏の翻訳が見事。 主人公メルチョールは娼婦の子で前科者の刑事という設定。しかも刑務所時代からの愛読書がユーゴーの『レ・ミゼラブル』で、心酔するのが作中主人公のジャン・バルジャンではなく敵役のジャベール警部。余談ながら、自分は本作を読みながらマイクル・コナリーの『ハリー・ボッシュ・シリーズ』と2019年のドイツ映画『コリーニ事件』を思い出した。これ以上言うとネタバレになるので割愛。訳者の白河氏は英語・スペイン語・ポルトガル語を操る才媛。スペイン語の原書を流れるように訳してくれている。脱帽。
    テラ・アルタの憎悪 (ハヤカワ・ミステリ)Amazon書評・レビュー:テラ・アルタの憎悪 (ハヤカワ・ミステリ)より
    4150019991
    No.4:
    (4pt)

    安心して読める。

    今風の造りではなく、ちょっと前の、小説がまだ信じられていた時代の造りだから、安心して身を任せて読める。が、今を期待して読む人にはちょっと物足りないかも。
    テラ・アルタの憎悪 (ハヤカワ・ミステリ)Amazon書評・レビュー:テラ・アルタの憎悪 (ハヤカワ・ミステリ)より
    4150019991



    その他、Amazon書評・レビューが 8件あります。
    Amazon書評・レビューを見る     


    スポンサードリンク