両京十五日 1凶兆 / 2天命
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各種ランキングでもトップ級を独占しており、少しでも本を読むことに興味がある人なら絶対読むべき作品なのはご案内のとおり。 分厚いから、とか、中身が、という人はそもそも読む気ないんだろうから仕方ない。 さて、面白さは折り紙つきとして気になるのは各種レビューが「○○」のようだ、と過去の何かと比較して褒めてること。やめようぜ?そんなの。この作品はこの作品なんだからきちんと面白さに向き合おうぜ。他の作品を引き合いに出さないと評価できないなんて恥ずかしいことだ。 とにかく上下巻通してとんでもない質量の知識と一つ一つ独自性あるアクションが密度高めに配置されており、下巻に行くとガラッと変わる人間関係、最後の一幕まで1ミリの隙もない作品だった。 特に、毎回手を替え品を替え趣が変わるアクションも凄いのだが、この翻訳のレベルの高さが凄まじい。中国語って日本語と単語や文字が同じものがあるので日本語訳すると不自然になることが多いが、本作の翻訳は原文の格調を保ちながら見事に読みやすい。凄い作品を見つけてきたものだ…。 | ||||
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華文ミステリーは食わず嫌いだったんですが、中華SF『三体』劉慈欣著に肝をつぶし、「このミス2025」海外一位の評価につられて読みました。 その結果、「つられた私をほめてやりたい」という読後感を持ちました。超ド級の面白さでした。 また、司馬遼太郎とトム・クランシーが組んで、中国明代の皇帝位の攻防戦、争奪戦を描いたらこういう大長編になるかも?という感想も持ちました。並の長編の4,5冊分のボリュームに怖気づかなければ至福の読書体験ができると保証できます。 更に、冒険小説仕立てですが、その裏側にある登場人物たちの生まれ育った背景や複雑な因果が物語に謎と深みを与え、それぞれの人物の寄って立つところが異なることで世の中の見え方がまったく違うことに気づかされる物語でもありました。ハラハラドキドキしながら読み進められ、それにとどまらずに深い感慨を持てる作品と言えるでしょう。 迷ったら、いや迷わなくても、読み始めることをお勧めします。 | ||||
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前半の『凶兆』篇の感想では、後半『天命』篇のレビューを書く必要はない、前巻を読んだ人は、まず間違いなく、下巻に取りかかかる筈だから、と記載しました。しかし一点必要な情報があると思い直しました。 歴史ものに関心のある読者の中には、単に、衣装や時代背景がそれっぽいだけの「歴史もどき」(いわゆる中華系ファンタジー)には興味のない人がいます。ある程度史実の歴史を題材としていても、魔法が登場したり、あまりに史実改編の度合いが強いと興ざめしてしまう人もいます。本作は、本格歴史小説というより時代冒険小説というキャッチコピーの方が近い作品であり(巻末解説者も「時代ミステリー」としている)、私も『凶兆』のレビューでアクションゲームのような娯楽作品、といった紹介をしましたので、中にはこうしたイメージを嫌って本格歴史モノを求める読者の中には敬遠してしまう人がいたかも知れません。実際私も読みながら、設定や展開のうち、どこまでが史実の枠内で、どの部分が創作なのだろうか、と思いつつ読みました。明代は、日本人の関心もあまり大きくはないため日本語資料も少ないし、漢文史料にあたろうにも明代となると本書の舞台となる時代に関してだけでも日常文物一般まで含めれば史料数は膨大となるため、ある程度の案内が無くては素人にとても確認しきれるものではありません。 うっすらそんなことを考えながら読み終えてみると、なんと巻末に38頁にわたって著者自身の史実と創作に関する解説「物語の周辺について」が添付されていました。著者がどのような史料を下敷に創作していったのかがおおよそつかめる内容となっていて大変有用です。著者は多数の史料を上げて史料から確認できる時代背景や設定に利用した史実の解説を行っており、歴史学者による解説に迫るような詳細さです。例えば、 ・当時の郵便制度と飛脚の解説と、両京間の15日での移動可否のシミュレーション ・本書で描かれる期間に関する、『明史』『実録』に実際に残されている重要人物の記載 ・本書登場人物中の実在の人物たちに関する解説、フィクションの人物の場合はヒントを得たりモデルとした史料上の人物に関する解説 ・終盤舞台となる首都北京城、皇帝陵墓、葬祭制度に関する当時の状況の解説 などなど、この解説自体読み応えがあります。特に、冒頭の地震と終盤のスペクタクル場面の背景となる気象現象が実際にありえたかの史実解説は、読中さすがにこれはまったくのフィクションだろうと思っていため、著者の解説を読んで驚きました。著者は、「ここのシーンは虚構だが、かといってまったくのでたらめということでもない」として約8頁も詳述しています。 このように見て来ると、本書はもはや時代冒険小説というよりも、冒険歴史小説とでも見なせる領域に入るようにさえ思えてきます。巻末の作者解説のお陰で更に奥深く本書が楽しめ、明初世界が身近になりました。本編だけでも傑作ですが、作者解題がついたことでより価値のある作品となったと考える次第です。 | ||||
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巻2の半ばあたりまでで、いったんお約束の大団円が描かれる。あれ、まだページが残っているなと思っていると、そこから驚天動地の大展開。筆者後書きにあるように、明王朝について放っておけない闇歴史を描かないわけにはいかなかったのでしょう。ただし、結末は、読者のみんなが好きになってしまうヒーローとヒロインについて、続編も書けるようなふくみを残してある。ご安心を。私もほっとしました。 | ||||
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ひねくれた刑事、王室の係累、美しく聡いヒロイン、忠実な役人 人数は4人だけど、テンポのいい脱出劇と映像美は、黒沢映画「隠し砦の三悪人」を連想させます。むろん、そこからスピルバーグが影響された「スターウォーズ」にも通じる楽しさです。あと、三国志や梁山泊が好きな人にはうきうきする中国古典の引用もあります。上下二冊の長尺にちりばめられたエピソードそれぞれの工夫の豊富さは、著者の力量にあきれるばかりです。田中芳樹さんが推薦文を書くだけのことはあります。このお話、田中さんの修士論文からつながる話なんですね。 | ||||
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