終の市



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    初公開日(参考)2024年06月
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    長編小説

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    終の市 (ハーパーBOOKS, H211)

    2024年06月18日 終の市 (ハーパーBOOKS, H211)

    1997年。かつて東海岸のマフィアの一員だったダニー・ライアンは、いまやラスヴェガスに王国を築き、カジノホテル業界の陰の“大物”にのし上がっていた。だが飽くなき欲望からとった強引な手段が、商売敵のホテル王との関係に禍根を刻み、平穏な生活は終わりを告げる。FBIとマフィアにつけ狙われ、呼び寄せた仲間を惨殺されたダニーは、再び血の抗争に身を投じていくが……。壮大な叙事詩の壮絶な幕引き。(「BOOK」データベースより)




    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

    終の市の総合評価:7.57/10点レビュー 7件。Cランク


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    全1件 1~1 1/1ページ
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    (7pt)

    いろんな意味で「お疲れ様、ウィンズロウ!」

    「業火の市」、「陽炎の市」と続いた「ダニー・ライアン」三部作の完結編にして、ドン・ウィンズロウの最後の作品。ラスヴェガスでカジノホテル経営に成功したダニーが東海岸時代からの因縁に絡め取られ、再び地で血を洗う暴力抗争を繰り広げる壮大な物語である。
    ラスヴェガスのホテル業界で覇権を争う実力者となったダニー。さらなる夢を求めて新たなホテルを構想した結果、最大のライヴァルであるワインガードと対立することになった。なんとか妥協点を見つけようとしたのだが、些細なことから両者の関係に亀裂が生じ、ダニーは争いに勝つために昔の恩人、イタリアン・マフィアの大物の力を借りた。当然、ワインガードが黙っているはずはなく、ビジネスと家庭だけに専念したいというダニーの願いも虚しく、古くからのアイルランド・マフィアの仲間とともに命をかけた戦いを余儀なくされた…。
    後ろ暗いとことがあるビジネスの常として犯罪組織との関係が深く、個人の力ではどうしようもない状態になっているギャンブル業界の非常さ、冷酷さ、権謀術策が縦横に登場し、ビジネス小説でありなが濃密なノワールとなっている。また、家族の絆に対するダニーの熱い思いが迸るエピソードも多く、世代を超えた血の物語でもある。
    三部作の完結編として壮大なロマンをまとめ上げようとしたためか、細部の描写、話の転換の機微がややおろそかな感を受けたのが、ちょっと残念。巨匠ウィンズロウも力を使い果たしたということか。
    それでも、ウィンズロウ・ファンには必読の一冊であることは間違いない。

    iisan
    927253Y1
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    ※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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    No.6:
    (2pt)

    グダグダの物語

    劣化が加速する。
     一言で言うならば、「ハーレクインロマンスを無理矢理にノワール小説化」した
    作品で、読む価値はない。よくもまあこれほど質の低い「小説」を書いたもものだ
    と、ウィンズロウを褒めたくなってしまう。

     この一連の「業火の市」、「陽炎の市」、「終の市」が最後の三部作としたら、ウィ
    ンズロウに対する評価は、残念ながらかなり低いままだろう。「業火の市」は発売
    当日に予約までして読んだが、そのあまりの手抜きのストーリーに呆れ、レビュ
    ーを書いた後にすぐに捨てた。それぐらい質が低かった。

     本作も同じで、ウィンズロウが独りよがりで突っ走り、「かっこよさ」や「粋」で
    あることを、何か勘違いしてしまった作品。
     まず登場人物にまるで存在感がない。出てくる人物は、ダラダラとした意味の
    ない自意識過剰の鬱陶しい言葉を吐きつつ、そのリアリティのかけらもない。
    出来の悪い自動人形がガーガー、喋くっている印象で、あまりのつまらなさに本
    を取り落としそうになる。

     主人公が次々に困難に直面し、その度に「ご都合主義」そのままの結着を見る。
    FBIの捜査官(意味なく「女性」であることをウィンズロウは言い立てるが、意味不
    明のキャスティング)が一言ラスヴェガスの小物に話をすると、小物がわざと言っ
    た悪口がヴェガス中にまき散らされる。この下りが何とも奇妙で安直、読み直し
    たが一人が(でたらめの)悪口を言っただけで、とてつもない結果が引き起こされ
    る。あまつさえ、そのデタラメを言われた主人公は、その犯人捜しさえしない。

     「困った時のお母さん頼み」もあまたある。今までヴェガスを忌避してきた大物
    が、お母さんの一本の電話で主人公会うことを承知し、そして主人公の側に立つ。
    目を白黒させるような安っぽ筋立ては「業火の市」同様健在のようだ。なんとお母
    さんはCIAの長官とまで深い仲だったらしい。
     「業火の市」では、主人公が追い詰められるどんぴしゃのタイミングで、20年も
    会っていなかったお母さんが助けてくれる。ありえない設定の連続。
     主人公は、困った時には母親に相談。まだ乳離れしていない様子。

     亡くなってしまった妻や付き合っていた女優。これらも単に主人公を飾るだけ
    のもの。主人公を何とか「偉いさん」に仕立てようと、ウィンズロウはさらに失速
    し、挙げ句の果ては主人公は「スーパーマン」になってしまう。
     何せ、やることなすこと、上手くいかない時には、援助する人物が急に登場す
    るのだから。なんなんだこの「物語」は。

     この作品をよくも、「犯罪小説の王ドン・ウィンズロウ、最後の大作。
    ギャング・ノワールの金字塔、ここに完結!と帯に書くものだと、その勇気にび
    っくりした。

     このような、キャリアの最後に出来のよくない作品を紡ぐことは、「ハンニバル
    ライジング」という世紀の愚策を上梓してしまった、トマス・ハリスだけではない
    ようだ。トマス・ハリスはおそらく1000万ドルほどで、その版権を買ってもらい、
    そして「お金」のために作品を犠牲にした。その轍をウィンズロウは踏むのだろう
    か。

     「業火の市」でウィンズロウに見切りを付けたが、書店で懐かしいウィンズロウ
    の名前に引かれて、本書を購入した。
     「業火の市」ほどひどくはないが、やはり失敗作ではないだろうか。
     安っぽい筋立てと、ストリーテラーとしての才能枯渇。それを強く思った。
     救いはスピード感があること。嫌みたらたらのレビューとなるが、根を詰めて
    読むことはなんとか出来た。ただ、旧作に比べると質は悪い。
     ウィンズロウは「犬の力」シリーズで才能が枯渇したのだろう。
     まことに残念だ。
    終の市 (ハーパーBOOKS, H211)Amazon書評・レビュー:終の市 (ハーパーBOOKS, H211)より
    4596637180
    No.5:
    (2pt)

    構想が空回りして煮え切らなさを残してしまったウィンズロウ最終作

    三部作最終巻、それもドン・ウィンズロウの絶筆作ということで期待値が高すぎたかもしれない。

    ハリウッドから去ったダニー・ライアンのラスヴェガスでのビジネス、逃亡者となったイタリア系マフィアの有力者クリス・バルンボを巡る物語、継父と実母を殺してしまったピーター・モレッティ・ジュニアの裁判の顛末、本作は実に3本ものストーリーラインが存在し、これを交互に描く形で進行する。
    サブストーリーラインの中心人物クリス、ピーターはダニーの裏社会の過去に深い関わりのある人物であり、3つのストーリーラインは終盤で交錯するのだろうな、と思われるのだが、全くそうはならない。3つのストーリーはバラバラにそれぞれの終幕をむかえてしまうのだ。

    またこれまで積上げてきたキャラクターの扱いも、かなり雑に感じられる。
    ダニー一家の生き残り、ネッドやバーニーもびっくりするぐらいあっさりと退場するし、FBIの捜査官レジー・モネタやその手先コナリー、三部作を通じてキーパーソンとなっていたパスコ・フェリたちは途中でストーリーから ”消えて” しまう。
    レジーなど今回のダニーの窮地は彼女の歪んだ恨みが全ての原因だと言っていいのに、どうなったのかさっぱりなのだ。

    本作で初登場のキャラで言うと、デトロイトの組織のボス、”アリーボーイ” リカタはまるで禁酒法時代がそのまま続いているかのように自分の欲望だけのために暴力をむき出しにダニーを追いつめる、ダニーの暗い過去が人の姿になって現れたような男だ。過去の清算としてダニー自身が決着をつけねばならない、本作の・・・と同時に三部作最大の山場なのだが・・・・

    「オマエは知らんだろうが、実はこうなっているんだよ」と誰かが言うだけで状況逆転って、安直すぎはしないか?

    しかも同じ作品の中で、クリスのストーリーで彼を食い物にしてきたイタリア系マフィアのボス達についても、著者は同じ手段を用いている。

    謝辞のところを読むと、どうやら編集者の意見を入れてストーリーに変更を加えたらしいので、そのあたりに原因があるのかもしれないが・・・・。
    さすがのドン・ウィンズロウも、アメリカの叙事詩を描くと言う構想に振り回されて、ノワール小説としては煮え切らなさを残してしまったな、という印象。

    結局文句なく第一作、『業火の市』が三部作で一番面白かった、というのではキャリアの ”終の作” としては不十分だろう。
    これが最後、とは言わず再起を望みたいところ。
    終の市 (ハーパーBOOKS, H211)Amazon書評・レビュー:終の市 (ハーパーBOOKS, H211)より
    4596637180
    No.4:
    (5pt)

    集大成としての傑作だと思いながら読み終えました。

    『犬の力』『ストリート・キッズ』『フランキー・マシーンの冬』などドン・ウィンズロウの著作を多く読んできたが最近の作品は読んでいなかった。
    何故か本作『終の市』をもって著作活動を終えることを知り本作を読むことにした。
    三部作で前の二作『業火の市』と『陽炎の市』を読んでいなかったが、主人公のダニー・ライアンの辿ったきた過去も本作でおおよそ知ることができたから違和感なく本作を楽しみながら読み進むことができた。
    ドン・ウィンズロウの代表作『を犬の力』もアメリカの裏面を描くテーマで読ませてくれたが、ドン・ウィンズロウの作品のなかで評者の好みは、『フランキー・マシーンの冬』でした。
    人生の重荷を背負って主人公ダニーが生き抜く姿を描く本作は、アメリカ社会が抱える問題を提起している著者の集大成だと思いながら読み終えました。
    終の市 (ハーパーBOOKS, H211)Amazon書評・レビュー:終の市 (ハーパーBOOKS, H211)より
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    No.3:
    (5pt)

    誰か「嘘だと言ってよ!」

    少し取り掛かるのが遅くなりました。理由は、ドン・ウィンズロウの引退によってこれが最後の作品だということがわかっていたため、取っておきたかったが故です。
     前作「陽炎の市」を読んだのは、2023/6月。「業火の市」に始まるこのダニー・ライアン・サーガの終わりに相応しいもう一つの暴力と血に塗れたアメリカ史は、聖書を刷毛ではくように、ウェルギリウスの「アエネーイス」をその同間声として虚飾に塗れたハリウッドからラスヴェガスへと辿り着き、カジノホテルを経営する企業家として名を馳せるダニーの<現在>を描き尽くそうとします。しかしながら、彼の<現在>は過去の<原罪>に基づく夥しい数の屍の上に載せられているが故にあらゆる人としての痛みに満たされた後、くたびれ果てた<荒廃した市>へと辿り着くことになります。あるのは<無>(ナーダ)。
     いずれにしろスリラーのストーリーを追うのはやめておきましょう。詳細は巻末の杉江松恋さんの解説をお読みください。
     
     私は、ダニーの配下だったケヴィンとショーン、通称アルター・ボーイズに注目していました。
     <アルコホーリクス・アノニマス>に通うケヴィンを揶揄するショーンとの対話の中(p.344あたり)、言及されている<回復のための十二ステップ>の第五ステップ(「自分に対し、そしてもう一人の人に対して、自分の過ちの本質をありのままに認めた」)について、それが犯罪者としてその生を全うしようとする彼らにとってはいかに<ひ弱>なものかということを看破して逆説的に見事な<埋め合わせ>の定義になっているようにも思えました。そこには決して更生することのない人生の凄みが確かに存在しています。
     それにしてもこれでドン・ウィンズロウの荘厳な<犯罪小説>を読むことは無くなるのですね?
     誰か「嘘だと言ってよ!」
     ◻︎「終の市 "City in Ruins"」(ドン・ウィンズロウ ハーパーBOOKS) 2024/7/02。
    終の市 (ハーパーBOOKS, H211)Amazon書評・レビュー:終の市 (ハーパーBOOKS, H211)より
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    No.2:
    (4pt)

    最後の作品も一気読み

    こちらが歳を重ねるにつれ、素晴らしい作家も一線を退く・・・
    ウィンズローサーガ、本当に良い作品を沢山ありがとう。
    宮崎駿に倣って、そのうちの復帰作期待してるよ。
    終の市 (ハーパーBOOKS, H211)Amazon書評・レビュー:終の市 (ハーパーBOOKS, H211)より
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