鼓動: P分署捜査班



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    初公開日(参考)2024年06月
    分類

    長編小説

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    鼓動: P分署捜査班 (創元推理文庫)

    2024年06月12日 鼓動: P分署捜査班 (創元推理文庫)

    四月初めの朝。ロマーノ巡査長がP分署近くのゴミ集積所で見つけたのは生後まもない赤ん坊だった。なんとか命をとりとめた捨て子の親を探して捜査班の面々は奔走するが、ピザネッリ副署長が得た情報が、事態を思わぬ方向へ導いていく。いっぽう、アラゴーナ一等巡査は初対面の少年に懇願され犬を探す羽目に。管内では同様の野良犬猫盗難事件が多発していて……個性派刑事たちの活躍を描く人気警察小説〈21世紀の87分署〉シリーズ!(「BOOK」データベースより)




    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点9.00pt

    鼓動: P分署捜査班の総合評価:8.25/10点レビュー 4件。Bランク


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    全1件 1~1 1/1ページ
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    (9pt)

    メンバーの人間模様が色濃く、緻密になって共感度アップ!

    順調に邦訳が続く「P分署捜査班」シリーズの第4作。はみ出し刑事たちがゴミ集積所に置かれた生後間もない赤ちゃんと行方不明になった子犬のために奔走する、群像警察小説である。
    妻から別居を通告され傷心のロマーノ刑事が分署のそばのゴミ集積所で放置されている赤ちゃんを見つけ慌てて分署に運び込み、病院へ同行したのだが、赤ちゃんは予断をゆるさない状況だった。ロマーノをはじめ捜査班のメンバーは親探しを始めたのだがまもなく、母親と思われる女性が殺されているのを発見した。殺人事件も絡んできて混迷を深めた捜索だったが、ピザネッリ副署長が親友の神父から聞いた情報が捜査の方向を指し示してくれた。同じ頃、アラゴーナ刑事は街で出会った移民の少年から行方不明の犬を探して欲しいと頼まれる。「分署で一番の有能な警察官」とおだてられたアラゴーナが犬探しを始めると近隣で何匹もの犬や猫が行方不明になっていることが分かった…。
    捨てられた赤ちゃん、拐われた子犬、二つの弱きものを助けるために奮闘するはみ出し刑事たち。これまでの3作とは少しテイストが異なる物語だが、謎解きミステリーとしての構造がしっかりしているのでシリーズ・ファンにも違和感を抱かせない。さらに、これまでも個性が強かったメンバーたちのキャラ、人間関係がより深く描かれることでヒューマンドラマとしても読み応えがある。
    シリーズ未読でも十分に楽しめる社会派ミステリーであり、多くの人にオススメしたい。

    iisan
    927253Y1
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    ※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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    No.3:
    (5pt)

    結局最高(原題:CUCCIOLI)

    P分署の、ろくでなし刑事達の奮闘を描くシリーズもいよいよ4作目。

    怒りが抑えられない刑事ロマーノが、ある日ゴミ捨て場に遺棄されている赤ちゃんを発見。その両親を探すために刑事たちの捜査が始まる。
    他方、自己顕示欲の塊アラゴーナもひょんなことから、仔犬探しを秘密裡に始めることに。
    共に幼い命のため頑張る刑事達の捜査の結果は、という話。

    個人的には、早川書房のショーン・ダフィーシリーズと並んで大好きなシリーズで、今回も期待に違わぬ内容でした。
    個々の刑事の個性が炸裂するシリーズの魅力はそのままですし、言葉の遣り取りも最高です。
    このシリーズは是非最終話まで刊行を止めないで欲しいです。
    シリーズのファン以外の方でも、きっと愉しめる1冊になっています。
    鼓動: P分署捜査班 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:鼓動: P分署捜査班 (創元推理文庫)より
    4488296076
    No.2:
    (4pt)

    原題は「仔犬」=危機に瀕した幼きもの

    このP分署シリーズ(原題は『ピッツァファルコーネ署のろくでなしたち』シリーズ)はすべて読んでいるが、いずれもナポリの繁華街と下町を舞台とした軽妙なミステリーである。
    ミステリーとしては、これまでのシリーズ同様、複数の事件を並行して走らせる構成であり、P分署のゴミ置き場に捨てられていた新生児をめぐる物語と、行方不明になった仔犬や猫といった小動物をめぐる物語が交錯して語られる。
    実は、本書の原題は“CUCCIOLI”(仔犬)なのだが、この言葉には上記の新生児と仔犬を重ね合わせて「危機に瀕した幼きもの」という含意があるようだ。さらにいえば、新生児の母親であるウクライナ移民などの東欧からの移民も社会的弱者として含意されているのだろう。

    とはいえ、こうしたミステリーの展開よりも、不祥事で取り潰しの危機にあるP分署と寄せ集められた個性的な刑事たちの生き様のほうが本書の主題であり、各人各様の家庭問題や恋愛問題が深刻な展開を見せている。複数の事件が展開することに加え、日本人には紛らわしい名前の登場人物が多く、注意しないと誰のことかわからなくなってしまう。
    また、所々に一人称の語りが挿入されているのも唐突感があり、犯人の言葉なのか著者の言葉なのか戸惑う。

    なお、訳者は英米文学翻訳家とのことだが、本書は英語訳からの重訳ということか?
    鼓動: P分署捜査班 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:鼓動: P分署捜査班 (創元推理文庫)より
    4488296076
    No.1:
    (3pt)

    ろくでなし刑事たちが繰り広げるイタリアの<艶歌>

    シリーズの前作「寒波 P分署捜査班」を読んだのは、2023/2月。
     今回は、"ハルク"ことロマーノ巡査長が出勤途中にゴミ集積所の大型コンテナに生きた赤ん坊が放置されていることに気づきます。病院に急行したロマーノによってその子の命は取り留めたものの余談を許さない状況に変わりありません。誰が赤ん坊を放置したのか?ピッツォファルコーネ署の面々が捜索を開始します。一方、ピザネリッリ副署長が神父さんから或る女性から奇妙な告解を受けたことを知らされます。もう一方、アラゴーナ刑事は移民の少年からいなくなった犬を探して欲しいと依頼され、嫌々探し始めますが・・・・。スリラーのストーリーを語るのはこのぐらいにしておきましょう。

     「この街は女だ。疑問の余地はない」で始まる第三十一章を読むや、嫌でも<八十七分署>シリーズのマクベイン節を想起させますが、今回はしっかりと伏線を回収しながらもミステリ的興趣が薄い仕上がりになっているように私には思えます。勿論、そのことを殊更強調したいわけではありません。<八十七分署>シリーズにしても50作を超える中、それぞれが毎回「傑作」だったわけではありません。(私のベストは、「警官(FUZZ)」)
     いつものキャラクター、パルマ署長、キャレラの生まれ変わり・ロヤコーノを含む"ピッツォファルコーネ署のろくでなし刑事たち"が繰り広げるイタリアの<艶歌>に溺れることができればそれで充分なのです。
     何故なら、幾つになっても「日曜の夜がどんなものか知っている」から(笑)。
     ◻︎「鼓動 P分署捜査班」(マウリツィオ・デ・ジョバンニ 東京創元社) 2024/6/17。
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    4488296076



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