鼓動: P分署捜査班
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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順調に邦訳が続く「P分署捜査班」シリーズの第4作。はみ出し刑事たちがゴミ集積所に置かれた生後間もない赤ちゃんと行方不明になった子犬のために奔走する、群像警察小説である。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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P分署の、ろくでなし刑事達の奮闘を描くシリーズもいよいよ4作目。 怒りが抑えられない刑事ロマーノが、ある日ゴミ捨て場に遺棄されている赤ちゃんを発見。その両親を探すために刑事たちの捜査が始まる。 他方、自己顕示欲の塊アラゴーナもひょんなことから、仔犬探しを秘密裡に始めることに。 共に幼い命のため頑張る刑事達の捜査の結果は、という話。 個人的には、早川書房のショーン・ダフィーシリーズと並んで大好きなシリーズで、今回も期待に違わぬ内容でした。 個々の刑事の個性が炸裂するシリーズの魅力はそのままですし、言葉の遣り取りも最高です。 このシリーズは是非最終話まで刊行を止めないで欲しいです。 シリーズのファン以外の方でも、きっと愉しめる1冊になっています。 | ||||
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このP分署シリーズ(原題は『ピッツァファルコーネ署のろくでなしたち』シリーズ)はすべて読んでいるが、いずれもナポリの繁華街と下町を舞台とした軽妙なミステリーである。 ミステリーとしては、これまでのシリーズ同様、複数の事件を並行して走らせる構成であり、P分署のゴミ置き場に捨てられていた新生児をめぐる物語と、行方不明になった仔犬や猫といった小動物をめぐる物語が交錯して語られる。 実は、本書の原題は“CUCCIOLI”(仔犬)なのだが、この言葉には上記の新生児と仔犬を重ね合わせて「危機に瀕した幼きもの」という含意があるようだ。さらにいえば、新生児の母親であるウクライナ移民などの東欧からの移民も社会的弱者として含意されているのだろう。 とはいえ、こうしたミステリーの展開よりも、不祥事で取り潰しの危機にあるP分署と寄せ集められた個性的な刑事たちの生き様のほうが本書の主題であり、各人各様の家庭問題や恋愛問題が深刻な展開を見せている。複数の事件が展開することに加え、日本人には紛らわしい名前の登場人物が多く、注意しないと誰のことかわからなくなってしまう。 また、所々に一人称の語りが挿入されているのも唐突感があり、犯人の言葉なのか著者の言葉なのか戸惑う。 なお、訳者は英米文学翻訳家とのことだが、本書は英語訳からの重訳ということか? | ||||
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シリーズの前作「寒波 P分署捜査班」を読んだのは、2023/2月。 今回は、"ハルク"ことロマーノ巡査長が出勤途中にゴミ集積所の大型コンテナに生きた赤ん坊が放置されていることに気づきます。病院に急行したロマーノによってその子の命は取り留めたものの余談を許さない状況に変わりありません。誰が赤ん坊を放置したのか?ピッツォファルコーネ署の面々が捜索を開始します。一方、ピザネリッリ副署長が神父さんから或る女性から奇妙な告解を受けたことを知らされます。もう一方、アラゴーナ刑事は移民の少年からいなくなった犬を探して欲しいと依頼され、嫌々探し始めますが・・・・。スリラーのストーリーを語るのはこのぐらいにしておきましょう。 「この街は女だ。疑問の余地はない」で始まる第三十一章を読むや、嫌でも<八十七分署>シリーズのマクベイン節を想起させますが、今回はしっかりと伏線を回収しながらもミステリ的興趣が薄い仕上がりになっているように私には思えます。勿論、そのことを殊更強調したいわけではありません。<八十七分署>シリーズにしても50作を超える中、それぞれが毎回「傑作」だったわけではありません。(私のベストは、「警官(FUZZ)」) いつものキャラクター、パルマ署長、キャレラの生まれ変わり・ロヤコーノを含む"ピッツォファルコーネ署のろくでなし刑事たち"が繰り広げるイタリアの<艶歌>に溺れることができればそれで充分なのです。 何故なら、幾つになっても「日曜の夜がどんなものか知っている」から(笑)。 ◻︎「鼓動 P分署捜査班」(マウリツィオ・デ・ジョバンニ 東京創元社) 2024/6/17。 | ||||
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