鑑識写真係リタとうるさい幽霊
- 霊能力 (32)
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タイトル通り主人公は鑑識写真係なので、とんでもない状態の死体を撮影するお仕事をしているのですが… 嫌でも脳内で想像してしまうほど、生々しく描写されていてかなりゾワゾワしてしまいました。海外ドラマのボーンズやブレイキングバッドを思い出しました。そういったドラマが好きな方はハマると思います。 リタの現在と過去を章ごとに体験していけるのですが、ゾワゾワするほどの事件現場の描写があるからこそ、この書籍で美しいと感じた部分がより魅力的に感じたのかもしれないです。 事件がどう進んでいくのかも気にはなりますが、リタが写真を撮るようになった生い立ちの章の方が私は好きでした。 別の方もおっしゃっていましたが、私も最後の3行がグッときました! 読み終えてから思ったのですが、表紙のイラストのリタが白人っぽい…もう少しナバホ族の特徴が出てても良いのになと… | ||||
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訳題が面白いが、訳題だけ見たら、たぶん買わなかったと思う。 しかし、ミステリマガジン7月号311頁のミステリ文庫通信には、なかなかシリアスなストーリー紹介が載っていて(文庫のカバー後面と同じもの)、題名から予測される軽い内容とはちょっと違う。 いずれにせよ、次の文は決定的だった。「エドガー賞新人賞・・・にノミネートされた」 面白い題の、シリアスなストーリー紹介の、エドガー賞新人賞候補作の本邦初訳がハヤカワ文庫で読めるのなら・・それで予約した。 作者についての、本についての知識は仕入れずに、まず本を読んだ。 結論からいうと、ミステリーとして傑作かどうかは別にして、この本がとても気に入った。 リタが好きになった。リタを育てたおばあちゃんが好きになった。男に逃げられ、リタが生まれたことで未来を狂わされ、3歳のリタを捨てるリタの母アンも好きになってしまう。10歳年上の優しく強い従姉だったのに、不良と付き合って、暴走事故で死んでしまうグロリアも印象深い。 で、本書はリタの回想部分と、リタの現在部分が交互に出てくる物語で、最後のほうで、回想部分が現在に到着する。 よくある形式のようだが、特徴的なのは、現在部分はミステリーであっても、回想部分はミステリーではないことである。つまり、回想部分、すなわちリサの辿ってきた人生は、ミステリーとしては必ずしも必要ではない、あるいはもっと短くすませてもよかったのかもしれない。 しかし、物語としては、このナバホ族居留地育ちの鑑定写真係リタの回想部分がたいへん魅力的で、これがなければ本書は成立しない。 現在編のミステリーについては、ネタバレ防止で触れないことにする。 そうそう、もう一つの特徴として、過去編でも、現在編でも、リタが見て、リタが関わってしまう幽霊たちがいる。 つまり、本書は魅力的な回想と、現在ミステリーと、ちょっとうるさい幽霊たちからなる物語である。 その点では、シンプルな原題『Shutter』(カメラのシャッター)に『鑑識写真係リタとうるさい幽霊』という長い訳題をつけるのも悪くはない。 で、本書の最後の最後の三行は感動的であった。引用したいが、ネタバレになるのでできない。 読み終わってから、あとがきを読み、ネットを調べて、著者と本書についての知識を得た。著者はニューメキシコ州トハッチ出身のディネ族の女性カメラマン、映画製作者兼作家で、本書が小説デビュー作で、多くの賞の候補となる。アメリカ探偵作家クラブ賞は最優秀新人賞最終候補。 原書のアマゾンレビューは現在2212個の評価が付いていて、平均星4つ半の高評価。 レビューには、くだらない、と斬り捨てる感のものもあるが、多くはたいへん、かなり好意的である。 続編も読みたい。原題は『Exposure』(カメラの露出かな?)だが、どういう訳題になるだろうか。 | ||||
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舞台は、ニューメキシコ州アルバカーキ。スリラーを読むことで、世界のあらゆる場所を見聞することができます。本当にありがたい。 主人公は、アルバカーキ市警の鑑識課で写真係として働いて五年が経つリタ・トダチー二。彼女はナバホ族の居留地で育ち、何と幽霊と話ができるという能力が備わっています。ここは読者にとっての注意点ですね(笑)。スリラーの中で幽霊が探偵役の主人公に普通に話しかけてきます。少し、困った。 或る日、高速道路の跨道橋から落下した女性の轢死現場を撮影したリタの前にアーマというその女性の幽霊が現れ、自分は自殺ではなく殺されたのだと訴えかけてきます。果たして、真相はいかに?物語はいかに進展していくのか?元々リタは故郷の祖母や<まじない師>から幽霊と関わることを止められていました。そして、土地柄、その事件の背後に大規模な犯罪組織の存在が浮かび上がってきます・・・。 最初はユーモア・スリラーなのかと思いながら読み始めましたが、違っていました。むしろナバホ族出身の女性がいかに青春を過ごし、その中でリタがカメラと出会い、"メディスンマン"の存在を知り、<家族>とのパセティックなふれあいの中で自己を見出していくすこぶる瑞々しい物語として記憶されることになりました。その分、ミステリ的興趣は控えめです。訳者あとがきを読み、懐かしいトニー・ヒラーマンの存在を思い出しました。 現実世界を正しく写し撮ろうとするシャッター。そのシャッターが決して捕らえることができない霊的な世界。その間(はざま)で己がアイデンティティを確立しようとするリタの一途さにミステリの枠を超えたところにあるこの世の"悲しみ"を受け取ることができたような気がします。とてもいい物語でした。 ◻︎「鑑識写真係リタとうるさい幽霊 "Shutter"」(ラモーナ・エマーソン 早川書房) 2024/6/28。 | ||||
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