死ぬまでほんの二、三分
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或る小説を読んでいましたが、ハヤカワ・ミステリの新作と聞き、優先順位を変更して(笑)、先ほど読み終えました。 物語の舞台は、ジョージア州、アセンズ。因みに、私はオハイオ州のアセンズから遠くない場所に住んでいました。アセンズという名称の土地は、他にもあるかもしれません。世界中に「アテネ」は存在します。 シチュエーションは、ヒッチコックの「裏窓」です。身体にハンディキャップを負った主人公が何かを目撃したが故に事件に巻き込まれるシチュエーション。または、「裏窓」から何かを目撃するという状況は、サスペンス作家にとっての登竜門なのかもしれません。映像分野ではブライアン・デ・パルマの或る作品があり、最近ではデビッド・フィンチャーのNetflix作品「ザ・キラー」の冒頭シークェンスは明らかにフィンチャーのヒッチコックへのオマージュに他なりません。また、車椅子探偵と言えば、ディーヴァーの<リンカーン・ライム>を想起してしまいますが、と、ここまで私が書いてきた内容は、あまり本作とは関係がないことに気づきました(笑)。(語りたかっただけでした。ご容赦ください) 二十六歳のダニエルは、毎朝のように見かけるアジア系女性が男が運転するカマロに乗り込むのを目撃します。そして、その女性がその後消息を絶ち、その失踪事件がアセンズの街を大いなる騒動へと巻き込んでいきます。 カレッジ・フットボールと南部の大学が詳述されている以上にこのスリラーの特徴は、主人公、ダニエルが背負ったキャラクターに存在しています。彼は一歳半の時に脊髄性筋萎縮症(SMA)を患い、車椅子での生活を余儀なくされますが、常に気道に入り込んだ異物によって命を奪われる危険に晒されながらの生活を送っています。その彼が、いかに事件に巻き込まれ、車椅子を操りながらどのようなプロセスを辿って結末へと爆走するのか、その顛末がすこぶるサスペンスフルでした。 但し、パズラー・マニアには叱られそうですが、特に大きなミステリ的な仕掛けがあるわけでもなく、<Who-Done-It>も<Why-Done-It>も特にマニアが満足させられるような輝きがあるとは思えませんでした。 しかしながら、私たちは”SMA”という病を深く知ることによって、ダニエルを助ける介護士のマージャニと幼馴染のトラヴィスとのトライアングルが、この病と向き合う喜びと悲しみを体感しながら、そのことに対する深い洞察を齎してくれることに気付かされることになります。それは、とても“How Lucky”な体験だったと思います。 罹患したら完治せず、言わんや進行性の病気でもある難病を患うダニエルに対して、伝説のボードゲーム・プレイヤーのトッドはこう宣います。 「いいやつのままでいるんだぞ。若いの。先のことなんか誰にもわからない」(p.139) 何と霊的で素敵な励ましの言葉なのでしょう。 □「車椅子探偵の幸運な日々 “How Lucky”」(ウィル・リーチ 早川書房) 2024/5/9。 | ||||
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