殺人は夕礼拝の前に
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時代は1988年頃。或るソング・コンテストにスイス代表として出場したセリーヌ・ディオンが優勝したと言う一文が決定づけています。その後、彼女は”My Heart Will Go On”を歌い、パリ・オリンピックで「愛の讃歌」を熱唱する。英国、フランス、カナダが繋がっている。いやいずれにしろ世界は遥か昔から繋がっている。 舞台は英国の田舎の村、チャンプトン。村の聖マリア教会で司祭を務めるダニエル・クレメントが主人公(探偵)。 冒頭で様々な登場人物たちが紹介されていく中、ダニエルが教会にトイレがないことを訴えると村人の一部から反発を受けることになります。トイレを作らせないよう教会の花係・ステラは教会改修を提案してきます。そして、或る日教会の中で剪定鋏で喉を裂かれた村人が発見されます。村を制しているようなカントリー・ハウスの持ち主でもある一族の存在。口さがない女たちの噂話。小さな秘密。中ぐらいの秘密。大きな秘密。 大矢博子さんが解説でも指摘しているように、作中、あの「セント・メアリ・ミード」が引き合いに出されています。ベースにはやはりクリスティーが垣間見えますね。(時にル・カレが見えたりもします(笑))。果たして、犯人は誰?動機は?パズラーとして物語はどのような結末を迎えるのか? 気楽に読めるコージー・ミステリのような件も散見されますが、舞台も道具立ても登場人物たちも比較的「地味な」装いの中に生き続けています。また、<聖職者>ダニエルの探偵像もとても好ましい。日々を面白がって生きるのではなく(いささか破天荒なキャラクターを与えられているダニエルの母親・オードリーとの比較から)、一人の司祭として偏りなく人と接しようとする彼のあり様が実は時代を超えて受け入れられる要因となるかもしれません。 特筆すべきは、その犯行の動機に関わってきますが、1980年代後半の「こんな風になる」前の世界の息吹と「ラ・マルセイエーズ」へと繋がるヨーロッパの歴史の持つ重みを少しだけ感じさせて本当に地味ではあるけれども豊かな結構を持ったとてもいいパズラーだったと思います。 何故なら、「それでも地球は回っている」から。歓びも悲しみも超えて人は生き続けることが必要だから。 ◻︎「殺人は夕礼拝の前に "Murder Before Evensong"」(リチャード・コールズ 早川書房) 2024/9/05。 | ||||
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