弟、去りし日に



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    初公開日(参考)2024年09月
    分類

    長編小説

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    弟、去りし日に (創元推理文庫)

    2024年09月28日 弟、去りし日に (創元推理文庫)

    弟の訃報が届いたのは朝食後すぐのことだった。彼は車で何度も轢き殺されたという。保安官のヴィクターは、弟とは憎しみの果てに約12年間会っておらず、悲しみは湧かなかった。だが唯一の肉親となった弟の10歳の娘から、真相を調べてほしいと頼まれる。ヴィクターは捜査中の少女殺人事件を追いつつ、弟の死の謎へも踏み込んでいくが……。まっすぐな姪と真実の解明が、ヴィクターの灰色の人生を切なく鮮やかに彩っていく。実力派作家による心揺さぶるミステリ!(「BOOK」データベースより)




    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

    弟、去りし日にの総合評価:9.00/10点レビュー 4件。Bランク


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    サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

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    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (8pt)

    良くも悪くも「目的は手段を正当化する」国だ、アメリカは。

    日本での刊行は15年ぶりになるという英国人作家の長編ミステリー。ジョージア州北部、山間の町の保安官が疎遠だった弟の死をきっかけに家族の絆、自分の生き方を再生する人間くさいミステリー・サスペンスである。
    12年も連絡を取り合っていなかった弟の訃報を受け取ったヴィクターは、気が進まないまま葬儀に参列した。町は違えどヴィクターと同じく保安官だった弟のフランクは、意図的に車に轢かれて殺されたという。兄弟は喧嘩別れになっており、ヴィクターはフランクが結婚したことも、離婚したことも、残された娘がいることも知らなかったのだが、葬儀で初めて会った姪のジェンナに「なぜパパは死んだのか、調べて欲しい」と懇願された。管轄が異なるために積極的にはなれなかったヴィクターだが、事件を担当する市警の消極的な態度に苛立ち、自分で捜査を開始した。すると、フランクが管轄する町の裏社会からフランクに関する悪い噂が流れてきた。果たして、フランクは不正を働き、仲間割れで殺されたのだろうか?
    作品の基軸は憎み合って別れた弟との関係を築き直す、孤独な男の再生の物語である。そこに連続少女殺害事件を絡ませ、さらに捜査側とギャングとの闇を重ね、複雑で精妙なミステリーが展開される。主人公のヴィクターは我が道を行く狐狼タイプで、「目的は手段を正当化する」を体現した男なのだが、その根底には家族愛があるというヒューマン・ドラマに重点が置かれていて、単なる謎解き、アクションではない味わい深さがある。
    警察ミステリーのファンはもちろん、ヒューマン・ハードボイルドのファンにもオススメする。

    iisan
    927253Y1
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    ※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
    未読の方はご注意ください

    No.3:
    (5pt)

    文学的なスリラー

    スリラーとかミステリのジャンルに入るのだろうけど、純文学のような筆致で主人公ヴィクターの孤独が切々と伝わってくる。ヴィクターはずっと疎遠だった弟の死をきっかけに過去と向き合わざるをえなくなるが、真実をいくら追い求めたところで弟はもうこの世には存在しない。そのことに胸を突かれた。それでもそんな彼が10歳の姪っ子と心を通わせるうちに徐々に変わっていく過程がすごく良かったし救われた。
    弟、去りし日に (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:弟、去りし日に (創元推理文庫)より
    4488155065
    No.2:
    (5pt)

    名作

    こちらはミステリーなのか、スリラーなのか、
    いや、そんなコワくもないですが、
    これは純文学だろ、と言いたくもなる内容、
    かつ、上質な文章。
    じわじわと主人公の内面に変化が起き始めると、色合いを変えていく文体。
    ヒトが変わっていく、それは希望として、
    いつ、いかなるタイミングにでも起きうること。

    主人公は孤独だ。
    しかし、丁寧でスジが通った男である。
    毎日を一生懸命に、マジメに生きていくと、
    ある日こんな夜明けを迎える事が出来るかもしれない。
    どうか、続編を、と期待してしまう、1冊。

    今、孤独な、
    もしくはかつて孤独だった、
    孤独を共として、暮らしていた事がある、
    今もそうなアナタに送りたい。

    とは言うものの、
    誰しも、どこか孤独を抱えていたりするものだから、
    是非、みんなに読んでもらいたい。

    ※登場人物が多いように見えて、
    実は数名、覚えていられれば、大丈夫です。
    弟、去りし日に (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:弟、去りし日に (創元推理文庫)より
    4488155065
    No.1:
    (4pt)

    違和感が実は何かを変えるための起爆剤

    舞台は、米国南東部、ジョージア、テネシー、ノースカロライナ。1992年8月。ジョージアの地方都市、ブレアズビル。ユニオン郡の保安官、ヴィクター・ランディスが主人公。彼の元へデイド郡で保安官を務める彼の弟、フランクが車に轢かれて亡くなったという訃報が届きます。状況から見て明らかに故殺であり、何故弟が非番の日にテネシーへ向かっていたのか?謎が残ります。弟には離婚した妻、エレノアと二人の娘・ジェンナがいることを知ります。
     しかしながら事件を担当するトレントン市警察はいつまで経っても事件に本腰を入れる気配がありません。いくつかの謎と弟がもしかすると<悪徳警官>だったのではという疑惑が残る中、ユニオン郡の貯水地の畔で或る少女の死体が発見されることになります。そして、他の郡でもいくつかの少女の遺体が発見されていきます。それは「連続殺人事件」なのか?弟、フランクの事件との関連は?最大の謎は、何故長きに渡ってヴィクターとフランクは絶縁状態だったのか?スリラーですから概略をお話しするのはここまででしょうね(笑)。
     前半は、まるでやる気を見せないトレントン市警察のせいか遅々として捜査が進まずイライラすることになりましたが、後半はそうなるであろうと予測した展開を超えてドラスティックでスリリングなストーリー・テリングが待っていました。勿論、その内容も話すことはできません。
     米国南東部は、本当に米国でも美しい場所の一つだと思います。ジャック・ダニエルの醸造所があるテネシー、リンチバーグがドライ・カウンティだったこともあってか郡境まで行ってバーボンを買ったことを思い出しました(笑)。<行政区>の存在がこの物語を複雑にさせている所以であり、或る意味ミス・ディレクションの役割を担っているかもしれません。
     また、終盤はいささか"違和感"を感じる読書になりましたが、それについて詳細を語ろうとするとどうしてもネタバレになる危険性があるためこれも語ることができません。ワイオミングを舞台にした猟区管理官、ジョー・ピケット・サーガをジョン・フォードを筆頭とする「正統派ウエスタン」の末裔とするならば、<英国人>作家による米国の物語がセルジオ・レオーネをその端緒とする「マカロニ・ウエスタン」("Spaghetti Western"とも呼ばれる)と見なすことができるのかもしれません。その違和感が実は何かを変えるための起爆剤としての役割を担っています。抒情的な邦題が実は一番しっくりきませんね。言っておきますが、この物語の本質はそこにはありません。ブライアン・ガーフィールドの「狼よさらば」の論理によって物語が構築されています。

     「物事をずっと同じ見方でしか見なかったら、決して違うようには見えないのよ。そうじゃない?」(p.279)とヴィクターに向かってフランクの前妻、エレノアは宣います。
     人が"Last Highway"と向き合おうとする時、きっとそのことを思い出すでしょう。
     ◾️「弟、去りし日に "The Last Highway"」(R・J・エロリー 東京創元社) 2024/10/3。
    弟、去りし日に (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:弟、去りし日に (創元推理文庫)より
    4488155065



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