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弟、去りし日に



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【この小説が収録されている参考書籍】
弟、去りし日に (創元推理文庫)

弟、去りし日にの評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

良くも悪くも「目的は手段を正当化する」国だ、アメリカは。

日本での刊行は15年ぶりになるという英国人作家の長編ミステリー。ジョージア州北部、山間の町の保安官が疎遠だった弟の死をきっかけに家族の絆、自分の生き方を再生する人間くさいミステリー・サスペンスである。
12年も連絡を取り合っていなかった弟の訃報を受け取ったヴィクターは、気が進まないまま葬儀に参列した。町は違えどヴィクターと同じく保安官だった弟のフランクは、意図的に車に轢かれて殺されたという。兄弟は喧嘩別れになっており、ヴィクターはフランクが結婚したことも、離婚したことも、残された娘がいることも知らなかったのだが、葬儀で初めて会った姪のジェンナに「なぜパパは死んだのか、調べて欲しい」と懇願された。管轄が異なるために積極的にはなれなかったヴィクターだが、事件を担当する市警の消極的な態度に苛立ち、自分で捜査を開始した。すると、フランクが管轄する町の裏社会からフランクに関する悪い噂が流れてきた。果たして、フランクは不正を働き、仲間割れで殺されたのだろうか?
作品の基軸は憎み合って別れた弟との関係を築き直す、孤独な男の再生の物語である。そこに連続少女殺害事件を絡ませ、さらに捜査側とギャングとの闇を重ね、複雑で精妙なミステリーが展開される。主人公のヴィクターは我が道を行く狐狼タイプで、「目的は手段を正当化する」を体現した男なのだが、その根底には家族愛があるというヒューマン・ドラマに重点が置かれていて、単なる謎解き、アクションではない味わい深さがある。
警察ミステリーのファンはもちろん、ヒューマン・ハードボイルドのファンにもオススメする。

iisan
927253Y1

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