ミゼレーレ
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グランジェを読むのは、「ブラック・ハンター」(2020/9月)以来になります。「ブラック・ハンター」を言い表すと「原罪」を背負うファムファタールの存在とマチズモを刺激する<Why-Done-It>の妙。そして、本作は大部であるにもかかわらず多くのマテリアルを巧みに組み合わせながら「死者の国」(2019/6月)を彷彿とさせるパワーに満ち満ちていました。また、"女性不在の主なる登場人物たち"というのも珍しい。 2006年12月のパリ。アルメニア使徒教会で聖歌隊指揮者でありオルガン奏者の男が殺害されます。その凄惨な姿。そこに出くわした元殺人課主任警部、リオネル・カスダンは捜査権がないにも関わらずこの事件にのめり込んでいきます。バディは青少年保護課の警部、セドリック・ヴォロキン。彼は或るトラウマからヘロインの依存症に苦しみ休職中でした。小児性愛犯罪への敵意の中、この事件は次第に連続殺人事件へと発展していきます。 残念ながら書き進めれば進めるほどネタバレになりそうなので、これ以上ストーリーを詳述することができません。上巻でばら撒かれた多くの伏線が下巻で粛々と回収されていく快感がたまらない。そこには私を重度の「スリラー依存」へと繋げる「原罪」が横たわっています(笑)。 物語とはほぼ関連がありませんが、アンリ・ヴェルヌイユ映画への言及(上巻・138p)があって、かつてエンニオ・モリコーネの音楽付きの「シシリアン」にどれほどエキサイトしたかを思い出しました。 また、本書を読むことで、「耐え難いほどの苦しみ。苦しみの中の苦しみ。叫びの中の叫びを吐き出したとき人ははじめて解放される。そうやって人は大人になる(下巻・p43)」、その<プライマル・スクリーム>の中にこの過酷な世界を生き抜く<原初的なヒント>が隠されていると感じることにもなりました。その気づきに深く感謝したいと思います。 2024/8月、マルセイユ・パリ旅行を実践しましたが、最も印象深かった人物は、サンシャルル駅からホテルまで乗せてもらったアルメニア人のタクシー運転手でした。何故かを具体的に書くことは躊躇われますが、激動と静寂の車内(笑)。感情的に起伏の激しい彼の姿が本書の主人公、リオネル・カスダンへと繋がっています。現実世界であれ、フィクションであれこの世界には強烈なキャラクターたちが揃っています。 ◾️「ミゼレーレ 上・下 "MISERERE"」(ジャン=クリストフ・グランジェ 創元推理文庫) 2024/9/30。 | ||||
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