リスボンのブック・スパイ
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第二次世界大戦の戦時下でありながらもニューヨークの図書館で平和な暮らしを続けていた女性司書が志願してヨーロッパへ向かいました。中立国であるポルトガルは、戦場にはならなかったもののさまざまな勢力の権謀術数が渦巻いています。 ドイツ、フランス、スペインから決死の脱出を決行してきたたくさんのユダヤ人たちをアメリカ行きの船に乗せるために書類を偽造したり、船員を買収して順番を早めたりする「無私の善意」を続ける書店主とその助手。そして彼らと知り合った司書も敵国の出版物をひたすらマイクロフィルムに収めるだけでなくさらに命がけの行動に出ます。 秘密警察に徹底マークされながら、彼らの行動が実を結ぶのか?最後まで気が抜けません。そして迎える結末はいかに?残酷な戦闘シーンなどはありませんが戦争の醜さを乗り越える人々の尊さを鮮やかに描き切っています。 | ||||
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第二次世界大戦中、スパイとして働くべく戦略情報局(OSS)に配属された実在の図書館司書たち。その史実に基づきクリエイトされた司書とマイクロフィルム専門家たちのエスピオナージュ。 主人公は二人。ニューヨーク公共図書館のマイクロフィルムの専門家のマリア・アルヴェスとリスボンの書店の経営者、ティアゴ・ソアレス。マリアはIDC(外国刊行物取得のための部局間委員会)の設立からそれは自分のための職務だと確信してその一員となります。そして彼女はポルトガル、リスボンに派遣されます。リスボンはナチス・ドイツの迫害を逃れる避難者たちで溢れていました。彼女はそこでティアゴと出逢いますが、ティアゴは書店経営の陰で密かに避難者たちの渡航の手続きをしていました。 虚実皮膜。 実際にあった出来事を再構築しつつ歴史の狭間で出会った二人の毅然とした道行がダイナミックでありながら或る意味静かに語られていきます。私は二人の行動に「大義」という言葉を思い出すことになりました。因みに我が国(日本)からはるか昔に忘れ去られてしまった言葉です。 その歴史の重みに比して軽やかに駆け抜けるマリアを描く作者の筆致は女性作家かと思えるような繊細さと優しさに溢れていました。(女性が優しいなどと書いてもいけない時代になってしまったのでしょうね?私たちはどう言葉を見つけていけばいいのでしょう。) この物語を読んでいる最中、映画「2度目のはなればなれ "The great Escaper"」(監督:オリバー・パーカー)を鑑賞しました。とても醜いタイトル(邦題)ですが、二人のベテラン俳優による「Veteran』(退役軍人)たちに捧げる映画でした。2014年夏。イギリスの老人ホームで寄り添いながら人生最期の日々を過ごす老夫婦バーナード(マイケル・ケイン)とレネ(グレンダ・ジャクソン)。一人、バーナードはフランスのノルマンディへと旅立ちます。それは、何故? この映画と「リスボンのブック・スパイ」がラストでしっかりと繋がりました。その麗しい<シンクロニシティ>。 極端な感傷を排した作者の文体の果て、ラストの究極の一行が大いなる感動をもたらします。それはヘミングウェイの「武器よさらば」のラストにも似て私の心をしっかりと繋ぎ止めてくれました。 遥か昔に無駄死にした人々へ。私はいつも思っています。戦争にロマンなどないことを。 ◾️「リスボンのブック・スパイ "The Book Spy"」(アラン・フラド 東京創元社) 2024/10/19。 | ||||
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