密やかな炎
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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アメリカ生まれ中国系移民二世の女性作家の長編第二作。オハイオ州の裕福な街に紛れ込んだボヘミアンな親娘が特権階級の家族に馴染み、親密になるのだが、あまりにも親密過ぎて破綻に至る文芸ミステリーである。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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海外ドラマ リトルファイアーは未視聴。様々な社会問題と絡めながらも、家族の話としてもミステリーとしても面白く、そして考えさせられます。特に終盤は息を呑む展開が続き、ページを捲る手が止まりませんでした。 著者の力量を感じます。次回作も期待大です! | ||||
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1990年代後半の米国オハイオ州、クリーブランド近郊、"シェイカー・ハイツ”を舞台にしたイヤミス・ドメスティック・スリラーと勝手に思い込んで、読み始めましたが違っていました。思い込みはやはり恐ろしい。 私は1994年夏までの5年間オハイオ州に在住していましたので、登場する地名、固有名詞については懐かしい思いがしました。当時、米国を歩いていて怖いと感じた場所は、ボストンのチャイナタウンとクリーブランドのダウンタウンでしたが(笑)。"シェイカー・ハイツ”がクリーブランドの東に実在する<計画都市>であったことは知りませんでした。時代設定は、1998年から1999年。ビル・クリントンの時代。アル・ゴアの名前やモニカ・ルインスキー事件を揶揄する記述がありますので、良く理解できます。 まずは、"シェイカー・ハイツ”の裕福なリチャードソン一家の末っ子、イジーが家を燃やしてしまったことから物語の幕が開きます。その「何故」の源に向かって、リチャードソン家夫婦と四人の子供達、リチャードソン家の持つ借家に住むことになったアーティストでシングルマザーのミアとその娘、パール、また(リチャードソン夫婦の妻)エレナの親友であり、養子縁組を熱望するリンダの物語がそれぞれ交錯しつつ語られていきます。果たしてスリラーと呼んでいいのかどうか?でも理由を特定できないページ・ターナーであることは間違いありません。約1/3を読み終えたあたり、米国を転々としながらミアとパールが"シェイカー・ハイツ”へと辿り着くに至った<過去>が語られていくに従い、その静かな炎のゆらめきの陰にある彼女たちの<情念>の虜になったと言っていいのかもしれません。それほどまでにミアとパール、二人のキャラクタリゼーションに魅了されました。 特権階級の権化、リチャードソン夫妻。金とモノが潤沢にあったとして、それが一体何だというのか?(勿論、ないよりあった方が良いと私の中の"リアリスト"は囁き続けます(笑))母と子について。その万華鏡を回すようにクルクルと変化する「母と子」たちの虚像と実像。 人は「それで、どうする?」と問いかけられる瞬間、何を思うのか?繰り返し語られる「人生には、全部を焼き払ってゼロから始めた方がいいときもある」のかどうか。実は私にはよくわかりません。しかし、何かが終わったときだけ、何かが始まります。誰かを本当に手離したときだけ、誰かが現れることだけは体験的に理解できます。"シェイカー・ハイツ”で暮らす完璧さが壊れるとき、やはりいたるところで「密やかな炎」が燃え上がり続けます。 ◻︎「密やかな炎 "Little Fires Everywhere"」(セレステ・イング 早川書房) 2025/5/9。 | ||||
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