終生の友として
- スパイ小説 (148)
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| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点8.00pt | ||||||||
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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最初に。本書は2003年に発売され、2008年に光文社文庫「サラマンダーは炎のなかに」として刊行された作品を早川が改題した作品である。元の光文社版と全く同じもの(訳者も解説者も同じ)をまるで新作のように売り出すのは、いかがなものか。騙された方が悪い(自分は「サラマンダー」は未読だったので良かったが)のかも知れないが。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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| ジョン・ル・カレの作品を読むのは実は初めてなのだが、本作はアメリカのブッシュJr政権が引き起こしたイラク戦争と英国ブレア首相のそれへの追随に対する怒りが込められている。 確かに、最後のカタストロフをでっちあげたCIA?の謀略や、随所でサーシャが憤る権力者の奢りへの非難は著者自身の怒りを代弁するものだろう。 スパイ小説としては、心ならずもスパイにされていく前の主人公の生い立ちと冷戦下西ベルリンでの急進的な学生運動の経験などが淡々と語られる部分がとても長い。世界的な「学生反乱」の時代で、日本では全共闘運動が想起されるが、セクト内の独りよがりの革命家きどりには読んでいて辟易する。学生反乱が鎮圧された後は、主人公の恋人は企業利益を代弁する弁護士に、主人公と盟友のサーシャは冷戦下を暗躍する二重スパイになるのだが、急進的運動家のそれぞれの「転向」である。 それにしても著者の描く二重スパイの人生は過酷なものだ。主人公は妻子にも自らの正体を隠し、交渉相手はおろか仲間と接するときも常に猜疑とテストの疑心暗鬼の緊張を強いられ、人間的な信頼関係や愛情の中に安んじることがない。 冷戦終結でスパイ活動を失業し、ミュンヘン郊外のリンダーホフ城(ルートヴィヒ2世の城の1つ)の英語ガイドをしていた主人公が盟友サーシャと再会し、「テロとの戦い」の謀略に巻き込まれるカタストロフが本書のストーリーのメインなのだが、急転直下の結末に至る読後感はよくない。 | ||||
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| 書影を見て、ソッコー『サラマンダーは炎のなかに』文庫上下をマーケットプレイスで買いました。ずっと前に図書館で借りたので懐かしくて。 改訂などあるかもしれませんが、筋書きを追うのがやっとなので、まぁ、いいかと思いました。「サラマンダーは炎の中に」という文言は絶妙なところに出てくるので、むしろよいのでは、と思ったり。 『裏切りのサーカス』というのもあったし。『赤毛のアン』でいいじゃん、みたいに。 いいの、もう、ル・カレの新作は出ないんだから。 どこまでいっても報われない大回収にいつも感心しつつ新作を楽しみにしていた日々が懐かしいです。 | ||||
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| (上下巻を通して) 光文社文庫が刊行された際、「サラマンダーは炎の中に」というタイトルに違和感があり見送ったが、同書(とは思わなかった!)が原題通りのタイトルに変わって再刊され、久々にル・カレを読みたくなったこともあって購入した。 いつもながら、ル・カレの作品は読みにくい。しかもインテリの文章である。 彼の作品は例えるなら、東京から横浜に行くのに、羽田から北海道~九州~四国~大阪へと飛び、新幹線で新横浜に戻りやっと目的地・横浜にたどり着くーそんな実に迂遠な展開をとる。しかしその間に、ストーリーはゆっくりと展開し、一気にクライマックスに進む。 半世紀近くにわたるマンディとサーシャー、二人のスパイ。60年代の描写では、懐かしい固有名詞がいくつも出てくる。 二人は最後に大きな渦の中に投げ込まれ、二度と浮き上がってくることはない。Absolute friends~完璧な友人とは皮肉なタイトルだ。炎に焼き尽くされても友情は変わらない。 こういう事件は、現実においても度々「計画される」のかもしれない、と思った。 多くの書評が書くように、特に最終章でル・カレは怒りを露わにしている。晩年、ル・カレはアイルランド国籍も取得していたという。こうした行為を招いた「母国の変質」を、ル・カレはどのように見ていたのだろう。。。 以下、余談。 〇どのような事情かは知らないが、本書は早川書房から2024年9月の発売予定が2025年5月に延期された。下巻巻末に編集部の注記として、「…原文に忠実な翻訳を心がけました」とある。加筆修正したとの記載はないが、この間に訳文に手が加えられたのだろうか。原文に忠実なのはタイトルだけか?集英社版のコピペとしたら早川らしくないが。価格も当初公表価格の倍以上になっていた。 〇サラマンダーという言葉で、小栗虫太郎「黒死館殺人事件」第四編の表題Salamander soll glühen(火精よ燃え猛(たけ)れ)を想いだした。 当初のタイトル「サラマンダーは炎の中に」は、『聖アウグスティヌスの『神の国』で、サラマンダーの存在はすなわち、永劫の炎でも燃えない魂がある(煉獄がありうる)ことへの傍証』(wikipedia)という。それが終生の友を示唆するとした理由で書名にしたのであれば、おかしくはない。 〇ル・カレの作品も翻訳した故・村上博基氏の翻訳は、同業者も絶賛するほど見事な職人技であった。村上氏が本書を訳していたら・・・。 〇2025年6月、MI6の長官に女性が就いた、との報道があった。 ジョージ・スマイリーも驚いたかもしれない。 | ||||
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| 本書は他の出版社から”サラマンダーは炎のなかに”の書名で出版されたものを 改題したもの。その旨を誰にもわかるようにしておくべきと思うが。 重ね買いとなってしまった。 | ||||
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| 未だ読書中ですが、年を重ねると細かい描写や、登場人物が多く、なかなか読むのが難解です。 ル・カレの本は沢山読みましたが、今回はしんどい思いをしながらも楽しんでおります。 | ||||
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