スマイリーと仲間たち
- スパイ小説 (146)
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スマイリーと仲間たちの総合評価:
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全1件 1~1 1/1ページ
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ジョン・ル・カレの作品で面白いものにまだ出会っていません。相性が悪いのかもしれません。「スクールボーイ閣下」よりは分かりやすいですが一本筋が通ってません。作者自身の経験をダラダラと書いているように思えました。スマイリーにも魅力がありません。 | ||||
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イギリスに亡命していた将校が殺され・・・という御話。 所謂「スマイリー三部作」の最後にあたる作品ですが、ソ連の宿敵カーラとの対決という事で、そういう展開になっております。 私の貧弱な読解でしょうか、最後はあまり派手な終局にならずも、緊迫感のある終わりになっていて、この辺の機微がル・カレの小説の優れた部分に思えました。 今回も判読するのに結構大変でしたが、読んでいる間はカタルシスを感じました。 若い方は、本書を読むに際して、資本圏と共産圏の対立が激化していた頃を知らないと、何故こういう風な小説が書かれたか判りずらいと思いますが、これを書いている2024年頃はまた、ウクライナの戦争で、ロシアとアメリカが対立したり、アメリカと中国で覇権争いになっていたりで、世界的な地政学の人によると、事実上の第三次世界大戦の端緒だそうで、常にそういう問題を世界が孕んでいるので、この小説などで、冷戦時代を鑑みるのも、時代や社会を読み取るのにいいかもしれません。 という個人的な感想はどうでもいいので、素直に冷戦時代の緊張感を小説で体験するのにうってつけの三部作に思えました。シリーズ順に是非ご一読を。 | ||||
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結末を読み終えてもう一度最初から読み返していくうち、スマイリーとカーラとの対決3部作を、本書をもって著者が終わらせようとしていたことがよくわかってくる。そう考える第一の理由は、『スマイリーと仲間たち』という、同窓会ムードが漂うタイトルにある。メンデル元警視がスマイリーの思い出を語り、画廊経営者に転じていた元同僚エスタヘイスは現場に呼び戻され、サーカス(イギリス諜報部の1部署)のパリ本部長という現職にありながら、元側近のギラムまでが、スマイリーのために管轄外の仕事に駆り出される。他にも『ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ』(以下『TTSS』)と『スクールボーイ閣下』でスマイリーと関わった人々が続々登場する。 対決3部作を終わらせたがっていたように思える第二の理由は、引退中のスマイリーが最初、かたくなに今回の事件に関わることを拒否していたことだ。「この年だ。もう勘弁してくれよ」というスマイリーの声が、著者には聞こえていたのではないか。それでもスマイリーは今回の任務を引き受けた。なぜなら、殺害されたウラジーミルは、スマイリーのかっての「仲間」だったから。 パリ在住のオストラコーワ、ロンドン在住のウラジーミルや彼を補佐するミケルとヴィレム、あるいはウラジーミルの密命をうけたライプチッヒや彼の友人クレッチマーなど、本書は亡命者たちの声なき声の物語である。そしてカーラ。プロットに関わるのでぼかした書き方になるが、カーラもまたソ連から亡命を企てる。その理由こそが、上述の、カーラとの対決3部作を著者が本書で終らせたがっていたと評者が考える第三の理由と結びついてくる。カーラはミスを犯した。「カーラもしょせん人間だった」という類のミスだ。これが評者には納得がいかない。『TTSS』や『スクールボーイ閣下』で描かれたカーラなら、決してしでかさないミスなのだ。人の情けを知っているカーラ。これこそ、ル・カレ作品のファンが知りたくないカーラだろう。そのミスにたよらざるをえないほどに、著者はカーラを(そしてスマイリーを)舞台から退場させたがっていたのか。 そう考えれば、ラストシーンでのスマイリーの逡巡も理解できる。スマイリーはカーラの弱みにつけこんだ。『TTSS』でカーラはアンというスマイリーの弱点をついたわけだから、本来ならば見事やり返して「してやったり!」とご満悦でいいわけだ。しかし、ギラムがスマイリーに、「ジョージ、きみの勝ちだ」と言ったとき、「わたしの?」ときき返し、「うん。そうだな、そうかもしれない」と彼は答えた。スマイリーはカーラのことを憎んではいるが、お互いプロのスパイとして認め合ってもいた。「プロとしてこんな姑息な手段でよかったのか」という後悔と、「カーラほどのプロがこの程度の誘いにのってくるのか」というとまどいが、スマイリーに勝利宣言をためらわせるのだ。 最後に一言。2017年に出版された『スパイたちの遺産』にスマイリーが登場し、亡命後のカーラについて語っている。 | ||||
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大変よろしゅうございました | ||||
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スマイリー三部作の中で、最も静かで緻密な物語でした。スマイリーをはじめアンやトビーも含めた登場人物たち、そして、最終的にはカーラすらそこに含まれるわけですが、それぞれの痛みや苦しみを自分の人生に照らしながら一語たりと欠かさずに読みました。 それぞれが老いて、何かを失い、消えないものを背負いながら生き、一つ一つ積み上げた先に悲願を成すわけですが、最後の場面に私が見たものは圧倒的な虚無感でした。 三部作を通して、ほとんど指摘できうる矛盾や齟齬がないままに、多くの人々を描き切る構想力は圧巻としかいいようがありません。 一つの具体例としてトビー•エスタヘイズを挙げると、私の中でこの人物に対する印象が前作までと全く変わりました。ここにもやはり描写の中に矛盾はなく、一人の人間や一つの人格が持つ多面的な性質を、国籍や背景を緻密に設計した上でフィクションの場で表現し尽くした結果であると思うと、改めて深い感銘を覚えました。 | ||||
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スマイリー三部作最後の『スマイリーと仲間たち』(1979年)までようよう辿りつき読むことにした。 ロシア亡命の老女マリア・オストラコーワの住まうパリから物語は始まる。 このオストラコーワがロシアに残した娘が、本作の重要なキーとして物語は複雑に交錯しながら進んで行く。 ル・カレが本作を書上げたのが東西冷戦のピーク時(ベルリンの壁崩壊10年前)であり、そのことを理解していなければこの小説を読んでも面白さを100%楽しむことはできないだろう。 カーラとスマイリーとの確執が本作のメインテーマであるが、カーラとて人間、どこかに弱点はあるはずだ。 スマイリーにとっての妻アン同様に・・・。 ネタバレになるからこれ以上書くのを控えるが、とにかく人間を語たらせたらル・カレに優るスパイ小説作家は他に見出すことはできないだろう。 本作でも感じたのだが、訳者の村上博基氏が少々難しい訳語をちりばめているのが気になってしまった。 格調高い作品にふさわしい訳語を、との配慮は否定はしないのですが、例を挙げれば「陥穽」(かん・せい)とか「一臂」(いっ・ぴ)など普通に使用するだろうか。 大昔のル・カレのエスピオナージュの傑作を読んで楽しむのは、よほどへそ曲がりなのかもしれないと思いながらスマイリー三部作最期の『スマイリーと仲間たち』を楽しみながら読了しました。 <追記> これから読まれる読者のためにお節介ながら、この作品で使用される隠語の意味を書いておきます。 ①ホワイトホール=ロンドン地域名。(イギリスの政府機関が数多くあり、ちょうど日本の霞が関に当たる名称) ②子守(ベビーシッター)= ボディーガード。 ③サーカス= MI6(本部がロンドンのケンブリッジ・サーカスにあるという設定からそう呼ばれる) ③いとこたち(カズンズ)=CIAのこと。 ④ハニー・トラップ=女性スパイが性的関係を利用して行う色仕掛け。(敵への脅迫に使う) ⑤点灯屋= 監視や盗聴の専門家。 ⑥レジェンド= 偽装身分。 ⑦もぐら= 信頼を得た立場から機密情報を長期にわたって盗み出す二重スパイ。 ⑧マザー= サーカスの上級職員に仕える秘書やタイピスト。 ⑨モスクワ・ルール= 西側の諜報員が敵国の手法を使うこと。(スパイ活動の技術や道具も指す) ⑩モスクワ・センター=KGB本部。 ⑪隣人=ソ連情報部。 ⑫首狩り人=危険な任務にあたる諜報工作員。 | ||||
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