人形パズル
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44年と云う御時世を反映してか、前作までと一転して、主人公ピーターは軍人さんになってしまっていて、現在は休暇中で少ない時間を愛妻アイリスとたっぷり楽しみたいと思っているところ。ところがサウナで軍服を盗まれたのをトラブル開始の合図とばかり、主人公夫妻の目の前に次々と転がる死体、暗躍する怪しい影、謎の暗号………ヒッチコック型の巻き込まれサスペンスだが、ただ単に奥さんと2人切りで過ごしたいだけのいじましい願いを叶える為に、事態を改善しようとけばく程バカなことをしでかしてどんどんドツボに嵌って行くどう仕様も無い主人公の不幸っぷりが実に可笑しい。前作までで探偵役を務めてくれていたリンツ博士は、恐らくドイツ系であった為か可哀想に退場させられ、代わりに都会型の私立探偵2名が登場する。ドタバタ騒ぎを逆用したどんでん返しもスマートで余韻爽やか。ロマンティック・サスペンスとして秀逸なシリーズだと思う。 | ||||
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コンパクトで、小気味の良い展開を楽しむことができました。主人公のダルース夫妻(海軍中尉の夫ピーターと女優の妻アイリス)が休暇を楽しむためにサンフランシスコを訪れます。ホテルがどこも満室で予約に四苦八苦するところから物語は始まります。そこから数日間で連続殺人事件が発生し、これに巻き込まれたダルース夫妻はどんどんと窮地に追い込まれます。短い間の出来事が非常にテンポ良く描かれていると感じます。登場人物の数が抑え目で筋立てがシンプルなのも良いですね。ラストの「どんでん返し」は、まさに探偵物語的な「お約束」ですが、大団円には欠かせない展開で、これはこれで、楽しめると思います。 | ||||
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ピーターとアイリスのダルース夫妻が活躍する本格推理「パズル・シリーズ」の3冊目が実に半世紀以上の時を経て新訳刊行されました!著者もまた忘れられつつある作家の一人で近年は各社から時々話題作が断片的にポツポツと紹介されていましたが、こうして東京創元社様による代表作シリーズの系統立った紹介が行われた事により再びスポットライトが当たったのは非常に喜ばしい事だと思います。私にとって実力のある作家が陽の目を見るのは本当に嬉しい事ですので、今後もこの傾向が途切れずにずっと長く続いてくれたらいいなと思いますね。 アメリカが戦争に突入した為に海軍中尉となったピーター・ダルースは妻のアイリスと共に久々の休暇を過ごしにサンフランシスコを訪れる。しかしのんびりとしたいという願望とは裏腹に、泊りの宿を苦労して取ったと思ったら、続いてサウナ店で軍服を盗まれ、遂には殺人犯人に罠を仕掛けられ容疑者にされてしまい絶体絶命のピンチに陥るのだった。 本書には過去2作で探偵役を務めたレンツ博士が全く出て来ないのが寂しいですが、その代わりに途中で意外な人物が登場してユーモラスな奇行振りで場を盛り上げてくれます。それにしても彼の名前が登場人物表にのせられていないのは可哀そうで、「謎のひげの男」等の説明をつけて記載してあげれば良かったのになあと思いますね。さて、偶然を巧みに利用して常に先手を取りダルース中尉に殺人犯人の濡れ衣を着せ追い詰めて行く真犯人の手際が真に鮮やかで敵ながら「恐るべし!」と感嘆させられました。うーん、肝心の真犯人の正体については登場人物の少なさから「ひょっとして」と疑いを持った勘がまんまと当たっちゃいましたね。でもまあ本作では殺人現場の凄惨さやダルース中尉の運命や如何に?といった強烈なサスペンスの味わいを楽しむべきなのだろうと思えます。それから解説で良くないと述べられていたホームズ長編ばりの伝奇小説風の部分についてですが、私は気分が変わって中々に楽しめましたのでそんなに悪くはないなと思っています。 パズル・シリーズの残り3冊「悪女パズル」「悪魔パズル」「巡礼者パズル」は他社の本を探して読み進めるとしまして、次に復刊される予定という名作の呼び声高い「女郎ぐも」が読める日を楽しみに待ちたいと思いますね。 | ||||
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パトリック・クェンティン著、白須清美訳『人形パズル』(創元推理文庫)はピーター・ダルース海軍中尉と女優アイリス夫妻を主人公としたミステリー「パズルシリーズ」第3作である。第二次世界大戦中のアメリカ合衆国サンフランシスコが舞台である。 主人公は愛妻との貴重な休暇を楽しみたい海軍将校であるが、殺人事件に巻き込まれる。巻き込まれ型はミステリーの王道であるが、巻き込まれることを「待っていました」と心の奥底で期待しているかのように、巻き込まれてイキイキとするキャラクターが多い。これに対して主人公は夫婦水入らずの休暇を妨害されたくないという思いが強く、その思いと展開とのギャップがユーモラスである。 ストーリーは展開が速く、飽きさせない。真犯人のどんでん返しも用意されていて、ミステリーとして秀逸である。犯罪者の動機や背景の説明が真犯人のモノローグや名探偵の解説ではなく、犯罪学者の論文になっている点は意表を突かれる。唯一読みながら残念な点は犯罪者の正体を知っている人物の自称「病気」である。 これは病気と呼ぶものではなく、だらしなさに過ぎない。この人物がまともであったならば殺人は防げたのではないかと思いながら読んでいた。しかし、最後の最後で彼の「病気」中の行動が犯罪者の計算を狂わせたものであることが明かされる。これで彼の「病気」に対する後味の悪さが解消された。ストーリーが練られていると感心させられた。 『人形パズル』は戦時中の物語であるが、「お国のために」と戦争一色であった日本とは大きく状況が異なり、それなりに市民生活を謳歌している。彼我の国力の差から日本が無謀な戦争をしていたことを改めて実感できる。 政治性や社会性の強い作品ではないが、好ましいものに対する形容として「日本の捕虜収容所で何ヶ月も過ごした後の白パン」という表現が登場する(15頁)。満足な食事も食べさせない日本軍の捕虜虐待は政治性の乏しい文学作品でも一般化していることが理解できる。巻末の「解説」が指摘するように「アメリカ市民社会の精神風俗を示す一資料としても興味深い」(227頁)書籍である。 | ||||
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パトリック・クェンティンのピーター&アイリス・ダルース夫妻シリーズの中のパズル・シリーズの第3弾です。以前、別冊宝石65号(1957年)に「呪われた週末」のタイトルで邦訳されたことがあるそうですが、私は未読です。本書は1944年刊行ということですから、第2次世界大戦中の物語ということになります。ということで、ピーター・ダルースは、海軍中尉になっています。そして、ようやく取れた36時間の休暇、それも愛妻アイリスの誕生日と重なっていることもあって、2人の愛を確かめるためにサンフランシスコ中のホテルを探し回ることになります。しかし、総てのホテルが満室で途方にくれている時、ミセス・ローズが2人のために部屋を譲ってくれることになります。少し風邪気味のピーターは、サウナで気分を一新しようと出かけますが、そこで軍服を盗まれます。これがけちのつきはじめで、次々と殺人事件に巻き込まれます。そして総ての現場に、ピーターの犯行を示唆するような証拠が残されていて・・・ 一言で言うと、戦時下を舞台にした、推理小説というよりは、ヒッチコックのような巻き込まれ型の冒険、サスペンス小説といった類の作品です。前2作では、メイン・キャラクターのレンツ博士は、敵国(ドイツ)の出身ということで、本作では文中で1ヶ所触れられているにすぎません。本作では、私立探偵のハッチ&ビルがその役割を演じます? 物語のクライマックスは、総ての鍵を握るサーカス会場へと舞台を移します。ここからは、物語はスピーディーに一気呵成に進行し、その情景が目に浮かび、まるで良質の映画(例えばヒッチコック)を見ているようです。 ただ、推理小説としては、犯人は直ぐに検討がつきますし、その後の説明もとってつけたようなもので、あまり感心しません。ただし、巻き込まれ型のスリル・サスペンス・冒険小説としては、ダルース夫妻のキャラクターの魅力もあって、非常に優れていると思います。 | ||||
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