五番目のコード
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点6.50pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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何もすることがない夜 | ||||
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ジェレミー・ビールドとヘレン・ローズの関係がとてもうまく描かれていて、ミステリー小説としてまた別段の味わい深い物語になっている。作者はこのへんの人間心理やキャラクターに沿った話し方、言葉使いなど作家として流石と思う描写力である。さて、ミステリーとしてはスコットランドの地方都市で帰宅途中の女性教師が襲われる。この件を発端として連続殺人が起こる。現場には棺のカードが残されており同一犯の犯行と思われる。新聞記者ビールドは容疑者とみなされながらも犯人を追う。謎の絞殺魔の正体とその真意とは・・・。とこういったストーリーだが探偵役のビールドの人間臭いキャラクターが秀逸で読み進むのが楽しい一冊である。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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この小説はテンポがよく、会話が弾んでいて、日本語訳も自然で、とても読みやすい。 ただ一点ケチを付けるとすれば、小説の冒頭の「殺人者の告白」である。この殺人者の告白によれば、すべて事件は殺人者の目論見通りの順番で起こっていることになるが、(読むとわかるが)、実は違う。 小説の冒頭で、読者をアンフェアな方法で煙に巻くのが、許されるのかどうか? しかしこの小説は、主人公の恋の行方も気になる「ハーレクイン小説」のような側面もあり、意外な犯人像も用意されている。 読んで損の無い小説だ。 | ||||
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面白く読みました。 主人公の仕事の仲間の人物がもう少し分かり易いといいと思いました。少ない登場はどれも怪しく(犯人らしく思われる)感じさせるのは上手なミステリーだなと。もうひとひねりがあるともっと面白かったかなと感じました。 | ||||
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DMディヴァイン。 古典というほど古くはないけど、あまり日本では有名ではないような・・・?でも翻訳はたくさんされてるようですね。 評判の良いこちらの作品から読んでみました。 おお!面白い。 本格のテイストもあり、サイコな雰囲気もあり、真相が分かったときはビックリさせていただきました!しかも、ロマンスハッピーエンドのオマケつき(笑)。 ジェレミーおめでとう。 こんな面白い作品を書く作家さんがいたなんて、ちょっとした宝物を見つけた気分です。 だって、他にもレビューの高い作品がいくつかありますから。 期待できます。 とりあえず、こちらの五番目のコード、ミステリーとして十分に堪能できる作品です。 | ||||
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近年日本で再評価され玄人ミステリー・マニアの熱い支持を得た英国本格派の巨匠ディヴァインが連続殺人テーマに挑んだ最高傑作と呼べる名作です。本書はミステリーを読み慣れた通の方でも最後に明かされる犯人の正体に仰天されてその騙しのテクニックに唸らされる事間違いなしの完成度の高い稀な傑作ですが、唯一惜しいなと思える点はその題名で「コード」という言葉が一般的でない為に「本書はスパイ小説なのでは?」という印象を持たれてしまう所ですね。もっとおどろおどろしい狂気を感じさせる題名だったら尚良かっただろうなとは思いますが、でもそれ以外の内容的には文句のつけ様がない堂々たる本格ミステリーの傑作だと自信満々で太鼓判が押せますね。 八人の死を予告する殺人者の告白書が何処かで密かに書かれていて、最初に高校の女教師が襲われるが幸いにも抵抗した甲斐があって何とか一命を取り止める。やがて次々に殺人が起きて行き、現場には葬儀社が出す棺の絵のカードが置いてあって棺の八つの取っ手(コード)の位置が書かれているのが何やら暗示的だった。しがない地方紙の記者ジェレミーは偶然事件に最初から関わるチャンスを与えられ久々に張り切って懸命に事件の謎を追うのだった。 著者は最終的に発見される事となる殺人者の告白書を前もって読者に開示する事で大きなヒントを与えてくれるのですが、これが微妙な内容で結局重要な事柄についてはほとんど明かしておらず、しかも何時の間にか無意識の内に誤った先入観を植え付けられてしまっているのですね。この辺りが非常に巧みで、また一見無関係な人々をランダムに狙った無差別殺人と思わせておいて実はという趣向はよくありますが、その見つけるのが非常に難しい動機の手掛かりについても著者はさり気なくはっきりと書かれていますので完全なフェアプレイである事に後で気づかされるのも素晴らしいと思いますね。そして驚愕の意外な真犯人が明かされる場面では、冷静な仮面の裏に隠されていた狂気が一気に噴出する描写が凄まじく正常と異常の落差が半端でないだけに鳥肌立つ様な恐ろしさが心に迫って来て暫くは容易に忘れられない強烈な印象を残しましたね。それから気分を変えまして、冴えない男ジェレミーと魅力的な女ヘレンの若い頃には何故か互いに意地を張り合ってうまく行かなくて年を重ねてから幸運の女神が微笑んで再び熱く燃え上がる恋愛模様については著者が他の作品でも繰り返し描いて来た愛着が感じられるお気に入りのパターンですが、本当に何度読んでも良いなあと惚れ惚れして楽しく読めますね。順調な相思相愛の愛の形よりも些か屈折してはいますが苦しみ抜いた苦難の末に恋愛が成就する方が人情として何倍も心に強く響くのでしょうね。 著者の作品はどれを取っても当たり外れがなくミステリーとして高品質の素晴らしい出来栄えの物ばかりですし、また大人の男女の人間ドラマとしての味わいにも誠に優れた物がありますので、これから読もうと考えている方にもぜひ自信を持ってお奨めしたいと思いますね。 | ||||
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D・M・ディヴァインは、かってスコットランド南東部、ファイフ地方の名門セント・アンドリューズ大学の事務職員として勤務していた。 本作『五番目のコード』もスコットランドの地方都市ケンバラにある高校の女性教師が襲われるという事件から始まる。 先に読んだ『悪魔はすぐそこに』でも大学で起きる事件で大学の教師たちを登場させてストーリーを展開させていた。 限られた閉鎖社会で暮らす教師とう人種を、大学事務職員だったころからディヴァインは、どうも冷めた目で観察していただろうことが本作の中でもそこここに嗅ぎ取ることができる。 とにかく本作に登場する教師たちの人物描写にディヴァインの教師への悪意さえ感じてしまうのは評者の思い過ごしではないようである。 本作の主人公ジェレミー・ビールドは、大手新聞でトラブルに巻き込まれ都落ちして、このケンバラという地方新聞の記者として鬱屈した日々を過ごしているのだが、連続殺人事件の第一容疑者として警察にマークされてしまう。 この新聞記者ジェレミー・ビールドの優柔不断さや自虐的になる精神状態などを描写するときのディヴァインの筆の冴えは、知らず知らず読者を感情移入させるディヴァインならでは上手さであろう。 ミステリものとしてとりたててレベルが高い作品とは言い難いのであるが、登場する人物などの性格描写やストーリー・テラーとしての手際のよさは秀逸である。 この作品を単なる犯人探し=フーダニットの本格謎解きものとしてではなく、ジャンルにとらわれない上質な小説として読ませてくれた傑作だと評価したい。 もちろん野中千恵子さんの違和感のない翻訳が本書を読みやすくしていたことにも言及しておきたい。 | ||||
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