おとなしいアメリカ人



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    初公開日(参考)1956年01月
    分類

    長編小説

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    おとなしいアメリカ人  ハヤカワepi文庫

    2004年08月18日 おとなしいアメリカ人 ハヤカワepi文庫

    ヴェトナム戦争直前のサイゴンで一人のアメリカ人青年が無惨な水死体となって発見された。引退間際のイギリス人記者ファウラーは青年と美しい地元娘を争っていたものの、アジアを救うという理想に燃えていた純真なライバルの死に心を痛める。しかし、ファウラーには警察の捜査に協力できない秘密があった―無邪気なアメリカと老獪な欧州の報われない邂逅を人間ドラマとして紡ぎあげ、巨匠の転換点となった記念碑的名作。 (「BOOK」データベースより)




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    No.11:
    (5pt)

    グリーンのアメリカ批判の小説?

    フィリピンでフク団のルイス・タルクは、マニラ郊外まで肉薄しながらラモン・マグサイサイの善政に敗北した。
    マグサイサイを、アメリカ軍のエドワード・ランスデール将軍が監察していた。
    その後、エドワード・ランスデール将軍がマグサイサイの軍事顧問になったことは世に知られている。
    ランスデールは、フランスがベトナムで苦戦している1953年に対仏軍事顧問団の一員としてインドシナに派遣され、フィリピンで成功したことをベトナムでも行おうとした男である。
    本書の巻末でグリーンはこのころベトナムに何度も行き取材しているから、ランスデールの存在も知っていたから本書に登場するパイルをランスデールに重ねて描写したようである。
    パイルはアメリカのハーバート大を卒業した世間知らずの若者で、ヨーク・ハーディングという机上の思想家に傾倒していて、親しくなった本書の主人公イギリスのジャーナリストファウラーが忠告しても訊く耳もたなかった。
    ランスデールの辿ってきた経歴を知れば、パイルのような軟な理想家など比べるべくもないが、グリーンはフィクション小説としてのアクチュアリティーを読者に与えるためにパイルを登場させたのだろう。
    主人公のファウラーは、コレスポンデント(通信者で記者の意見も入れる)ではなくリポーター(報道のみする)に徹したいジャーナリストを矜持とし、インドシナの風土を好みイギリスへ帰りたいと思うこともない変わり者である。(離婚したいが同意しない妻が待っているからでもある。)
    が、戦争そのものを嫌悪していて「この国の民は平和に田圃で働きたいだけなのだ」とよく口にする。
    イギリスやフランスの植民地主義にもアメリカの共産主義のアジア侵食に対する恐れから介入することにも、ファウラーは辟易としているシニカルな男としてグリーンは描いている。
    フォンというベトナム女性を、ファウラーとパイルが争うことをこの物語の縦糸としているが、グリーンは本書を政治性に重きをおいて書いた小説だろうと評者は思いたい。
    その後、1960年~1975年まで続いたベトナム戦争がなによりもこのグリーンの小説で予告していることの証であろう。
    「おとなしいアメリカ人」ではなく「力のなくなったアメリカ人」と言い換え、現代世界を俯瞰しながら興味深く本書を読み終えました。
    おとなしいアメリカ人  ハヤカワepi文庫Amazon書評・レビュー:おとなしいアメリカ人 ハヤカワepi文庫より
    4151200282
    No.10:
    (5pt)

    プロの小説家

    グレアム・グリーン「おとなしいアメリカ人」を読みました。
    1955年の作品です。
    舞台はベトナムでフランスが植民地支配を続けるのに対し、ホーチミン率いるヴェトミンがゲリラ戦で戦っています。
    現実的な中年イギリス人特派員トーマスと愛人のフウオング、それと無邪気で善意に満ちた陽気な若いアメリカの経済使節団員パイルを軸にストーリーは展開されます。
    トマスは様々な政治勢力が複雑に絡まっているベトナムを冷めた目で見ておりフランスがヨーロッパの自由主義を守るために共産主義と戦っているというパイルの理想主義にうんざりしています。
    所詮、よそ者がよその国で、好き勝手をやっているとしか思われてないことを知っています。
    味方だと思っていた相手が敵であり、敵だと思っていた相手が、時に味方になる複雑な利害関係・敵対関係、権力図は流動的でトマスは我が身を守る現実的な方法を身につけて考え、行動は警戒的で慎重です。
    理想と大義名分に凝り固まったパイルは、トマスが恐れたとおり軽薄で無分別な行動が原因で殺されてしまいます。
    グリーンは何度もベトナムに出かけ取材して、これを書きました。
    ホーチミンにも会っています。
    「おとなしいアメリカ人」が発表されると反米的だと反響を呼びました。
    アメリカがフランスにかわってベトナム介入すれば、ホーチミンはすぐに降参すると誰しも思っていた頃です。
    その後のフランス撤退を受けてのアメリカによるベトナム戦争は、グリーンの描いたような泥沼の展開でした。
    グリーンの洞察力が当時の世界の常識を上回っていました。
    何度もベトナムへ出かけ正確に情勢を見通していたからでしょう。
    同様のことですが開高健さんが後に、ベトナムへ行きベトナム戦記を描きました。
    当初は北ベトナムに同情的だった開高健さんでしたが、ホーチミンの恐怖政治を知り批判的な立場に変わりました。
    サマーセット・モームのあとの大人の小説を書くイギリスの代表的な作家として確たる地位を占めたグリーンです。
    テーマ、ストーリー、人物描写、背景描写、プロットは、読者を楽しませる勘所を押さえていていかにもプロの小説家です。
    定年退職後はグレアム・グリーンの小説をゆっくり読みたいと思い、全集25巻を持っていますが、まだ数冊しか読んでいません。
    別に焦りません。
    「お楽しみはこれからだ」です。
    グレアム・グリーン全集〈14〉おとなしいアメリカ人Amazon書評・レビュー:グレアム・グリーン全集〈14〉おとなしいアメリカ人より
    4152003146
    No.9:
    (4pt)

    インドシナ戦争を材にとった力作

    インドシナ戦争中、イギリスの新聞記者が友人のアメリカ人の死に直面し・・・というお話。
    ここで著者のグリーンが追求したかったことは、インドシナ戦争は詰まる所、フランスの負けに終わり、アメリカが引き継いでも最終的にはアメリカも負ける、ということではないかと思いました。この戦争では中立的な立場だったイギリス人の記者を主人公に据えてその鳥瞰からインドシナ戦争を見渡し、アメリカ人の登場人物をアメリカの擬人化として使ったような読後感を持ちました。ただ、残念ながらこの時期の国際政治の真相や周辺をあまりよく知らないもので、訳者あとがきで詳述してあって感謝しましたが、個人的にはいまいちピンと来なかったのも真実で、もうちょっとこの作品当時の世界情勢やインドシナ戦争やヴェトナム戦争に関して勉強してから読んだ方が良かったのではないか、と後悔しました(そういう政治的情勢等を鑑みないで読んでも面白いことこのうえないですが)。
    やがてヴェトナム戦争に発展するインドシナ戦争に材をとった力作。機会があったら是非(私も折を見て再読したいと思います)。
    おとなしいアメリカ人  ハヤカワepi文庫Amazon書評・レビュー:おとなしいアメリカ人 ハヤカワepi文庫より
    4151200282
    No.8:
    (4pt)

    パイルの死が暗示するもの

    パイル=若いアメリカ経済顧問団員に対するファウラーの態度は友愛、皮肉、疑念、嫉妬である。実際、パイルをベトミンの手に渡し暗殺したのはファウラー自身であった。

    無邪気に自由主義を信じて爆弾テロに手を染めていくパイル。その大義名分の裏にあるアメリカという国家の胡散臭さを暴き出すことによって、グリーンはフランスからベトナムでの実権を奪い取ろうとするアメリカ政府の黒い意図を暴いてみせた。

    フランスは小説に描かれている時代の3年後ディエン・ビエン・フーの戦いで大敗を喫し、フランスによるインドシナ植民統治は終わりを告げる。しかしフランスの敗退はベトナム人民とホーチミンにとっては民族独立の勝利ではなく、アメリカという新しいオーナーが乗り込んできたのに過ぎなかった。ジュネーブ協定によりベトナムは17度線で東西に分断され、アメリカはベトナム戦争(第二次インドシナ戦争)という泥沼に引き込まれていく。アメリカが完全にベトナムから手を引くまでに、さらに20年以上も戦争にかかわらなければならなかったのである。

    グリーンは作家としてアメリカが暗裏に抱く意図を鋭く見破り、アメリカによるベトナム戦争統治と敗退を予言してみせた。

    この状況は現在も中東で進行中の状況と全く同じである。戦争には常に勝者も敗者もいない。あるのは傷ついた人民と死のみである。このことをグリーンは言いたかったのではないか。その意味で本書はすぐれた反戦小説であるといえよう。

    [・・・]
    おとなしいアメリカ人  ハヤカワepi文庫Amazon書評・レビュー:おとなしいアメリカ人 ハヤカワepi文庫より
    4151200282
    No.7:
    (3pt)

    この翻訳に異論あり

    kindleのおかげで、原文を読んで比較することができました。この翻訳文体には異論があります。「おれ」はいけない。あくまで「私」と訳してはじめて語り手の英国人ジャーナリストの在り方が生きてくるように思います。今切実に、この後世に残したい英文学の1つに、新たな翻訳を望みます(ちょっとした誤訳もあるし)。日本の小説に、このような視座を持ったものは少ないように思います。矢作俊彦にがんばってほしい。アルコールやめて。
    おとなしいアメリカ人  ハヤカワepi文庫Amazon書評・レビュー:おとなしいアメリカ人 ハヤカワepi文庫より
    4151200282



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