刑事マルティン・ベック ロセアンナ
- 身元不明 (119)
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.50pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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今さら説明の要はない、スウェーデンのみならず世界を代表する警察ミステリー・シリーズの第一作。迷宮入りしそうな女性惨殺事件を地道な捜査と思い切った奇策で解決に導く、社会派警察ミステリーである。 | ||||
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昭和でいうと、40年。 | ||||
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「刑事マルティン・ベック」シリーズ第1作。若い女性の遺体が発見されるが、そもそも被害者の身元すらなかなか判明しない。序破急という感じの物語の展開。最初は遅々として進まない捜査が、次第にスピードを上げていくあたりがスリリングである。 訳者あとがきや解説によれば、本シリーズはチームとしての警察、普通の人間としての刑事を描くとともに、執筆された時期(1960~70年代)のスウェーデン社会を批判的に描いているのだという。訳者の柳澤由実子は、特に女性の描き方について「自立心が強く、正直で、装うことを嫌い、経済的に独立していて、自立と自由を重んじる。性的にも解放されていて、性生活イコール結婚とは考えない」被害者女性ロセアンナと、「子育てから手が離れるようになっても働こうとしない」ベックの妻(固有名詞すら与えられていない)が対比されているとする。その背景には著者の2人が結婚しないペア(当時としては珍しかっただろう)であったこともあろうという。 なるほどそういう読み方もできるのかと思う。そうするとロセアンナ殺しの犯人は、因習的な社会の歪んだ拡大像と言えるのだろうか。 しかしまあ、この時代の人は本当によく煙草を吸っていたんだなと思う。 | ||||
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最後に読み残したマルチンベックでしたが、ようやく読むことができました。おもしろかったです。 | ||||
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レビューが不当に結合されているが、2014年、柳沢由美子=訳(スウェーデン語より)へのレビュー 後半1/3 を一気読みして読了。この取り調べ・尾行・おとり捜査部分はとりわけスリリング。しかし本作を傑作たらしめているのは、ロセアンナの身元がわれ、その足取りが判明するまで。この部分にベック刑事、アールベリら捜査陣の心の動き、刑事を刑事たらしめている契機や過程が大袈裟になることなく誠実・リアルに綴られている気がする。この女性は誰なんだ。そして名前が判明してから彼女という人物像が浮き上がってくる。捜査というものは、犯人を突き止める前に、犠牲者の人物像を知ることなのか、と思う。ロセアンナはどんな女性だったのかと。本作の題名が「ロセアンナ」というのは重要だ。 読みどころを幾つか挙げよう。この身に沁みついた刑事魂ともいうべきものが彼の家族に落とすネガティブな側面。捜査と共にこの家庭生活がうまく挿入され、ベックのプロフィールに深み・奥行きを与えて。そして触れなければならないのはこの本に流れている時間。事件発覚から解決にいたるまで半年。遅々として進まない事件。何も起こらない期間。この「時間」描写がさらに本作に現実味を与える。さらに(これはシリーズを読んでいけばわかることだが)60年代以降のスウェーデン社会の空気。行政、警察改革が描かれ、 また当時「フリーセックス」などと呼ばれた北欧の女性の、そして女性への価値観も匂わせる。そして個人的に面白かったのが、地図、ストリートビュー、写真などを使いなが読むこと。ここがロセアンナと「彼」が下ったイェータ運河か、とかここがベックらが車を飛ばした街道なのか、ここが犯人の勤めていた界隈かとか、非情に面白く読み進めることが出来た。「ミレニアム」シリーズ(「映画「ドラゴン・タトゥーの女」なども」、北欧ミステリの原型がここにある。寒々と自然豊かな、しかし他の国と同様に諸問題を抱えた国。映画「ドラゴン・タトゥーの女」はこの国の女性の立ち位置を改めて示し、その「復讐」ともいうべきものを中心に置いていた。北欧ミステリの嚆矢とも呼ぶべき「ロセアンナ」はすでにこの点を鋭く提示していたと言えよう。 肉厚の筆致と空気、そして人々と社会の息遣い。謎解きがとか、伏線がとか、ひねりが、オチがとか、犯人の異常性とか・・そんなものミステリにおいても、小説の出来に関係ない。 なおこの「マルティン・ベック」シリーズは75年に角川文庫より高見浩による英語からの訳本が全10作刊行され、2014年には「ミレニアム」人気からか、原著からの訳による柳沢由美子の翻訳が5作品同じく角川文庫より刊行された。しかし6作品目以降の出版の予定はきかない。この「ロセアンナ」はごく一部に名前の誤訳があるがとても読みやすい。スウェーデンとストックホルムにいってみたくなる。 本シリーズはそれぞれ別の事件であり、単体で読むことができるが、ベックと家族、同僚刑事ら、そしてスウェーデンを描く10作の連作とみることもできる。読むのであれば「ロセアンナ」からが望ましい。 Roseanna(65年)。 自身のレビューを他サイトと共有しています。 | ||||
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40年ほど前、マルチン・ベックシリーズに夢中になった。たまたま新訳が出たということを知り『笑う警官』とともに購入。しかし読んでみて二作品とも何か違うのだ。古本で若い頃夢中になった高見訳を購入して読み比べてみた。結論は「まあ、読み手の好みの問題でしょうが」でお茶を濁します。ただ、警察ものの訳者が銃器に無知というのは致命傷では。 | ||||
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主人公ベックはコーヒーを飲んだら胃が痛くなる胃弱に、地下鉄の中や煙草の煙の中にいると息苦しくなったりと虚弱のうえに腕っ節も頼りなく頭が切れるようにも読めないし夫婦関係は末期的。これで事件を解決しよってんだから大変です。これは忍耐と我慢の男マルティン・ベックの物語でした。 | ||||
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