白い雌ライオン
- 刑事ヴァランダー・シリーズ (10)
- 北欧ミステリ (199)
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点8.50pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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前作では、ラトビアでスパイアクションを繰り広げたヴァランダー警部。今回の物語の舞台のひとつが南アとあって、またまた国外での活動が中心になるのかと思ったが、さすがに南アは遠すぎたようで、スウェーデン国内にとどまっての大活躍を見せてくれる。 | ||||
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久しぶりのクルト・ヴァランダーです。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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刑事ヴァランダー・シリーズ3作目。黒人への権力移行期の南アフリカ共和国を舞台に、ネルソン=マンデラを暗殺し、一気に騒擾を起こそうとする企みと、暗殺のためのメンバーが「訓練中」のスウェーデンで起こすいくつかの(あるものは偶発的な)事件を交互に描き出す。それも、入れ替わり立ち替わり視点が変わる複雑な構成。 登場人物の中では、アフリカの大地に根ざした感じの殺し屋ヴィクトール=マバシャのキャラクター設定が(殺し屋なのに)魅力的。2作目でも思ったけれどヴァランダーってあんまり法律を守らないな。 マンデラの功績や人間的な魅力を語る人は多いけれど、白人から黒人への権力の移行という、一歩間違えればクーデタや内戦にまで結びつきかねなかった偉業をマンデラと共に成し遂げたデクラークも偉大な政治家だったのだなといまにして思う。 | ||||
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リガの後に、南アフリカ新世界に飛び込むとは、何と無謀な男なのだろうか?刑事小説の枠を大胆に飛び越えた凄い長編であった。マンデラが描いた人間革命は、21世紀においても実現どころか、大混乱をきたしている。 | ||||
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前作、『リガの犬たち』でヴァランダーがラトビアで活躍したため、今回は南アかと思いきや、スウェーデンで起こる事件と南アで進む陰謀は相互に関りをもっているが、互いに独立して別の視点で進む。 その関りがいつどう絡み合うのかも見どころだが、一つ一つの細かなエピソードが魅力的だ。 冒頭の何の関係もなさそうな殺人から、南アの政治的権謀術数、ボーア人とアフリカ、KGB、黒人の暗殺者たち、ヴァランダーシリーズの読みごたえともいえる家族のエピソード、主人公の冴えない愛しむべき必死さや周囲の人間たちのそれぞれの思考や思惑が重層的に語られて、立場によって、人種や環境、人間によって変わるものの見え方や生き方を考えさせられる。 南アの歴史、人種差別政策とそれにより作られたアフリカの人々の在り方が本書のひとつの軸である。 「恥辱感」という言葉が印象に残った。 人種差別的な人間ではないものの、受動的に人種差別政治の継続を目指す体制に協力してきた、自身も荷担してきた、そしてこの黙認こそが、そのような人間がこれからも受動的であることを、暗黙の感謝を捧げていることを計算に入れて、人種差別を絶対的に肯定し、人を殺し血の雨を降らすような計画が進められているのだという、登場人物の恥辱感である。 この、自らが最悪の不利益を被らねばよいという受動的な黙認は、社会のあらゆるところに存在し、人間としての尊厳を奪われる存在をつくりあげ、場合によっては魂や命を奪う大きな力のひとつになる。奪われた側は奪い返そうとし、負の連鎖は続く。争いの裏には能動的には関わらない多数の黙認が存在する。そして黙認は優勢なほうへ常に傾くのだ。 この「黙認」に対し本書ではいくつかの受動的な荷担からの個人的な抵抗が描かれている。 人の尊厳を踏みにじる行為、不当な殺人への怒り、弱いものへの迫害の拒否、囲われた身からの諜報活動。生命や生活を犠牲にしてもせずにいられない行動 これらはいずれも思想の為の戦いではない。 人として荷担できない、それをすれば命が危ういとわかっていても、しなければ己が人として壊れてしまうという感情からなされるものだ。 そうしないと人として生きていくことができなくなる。 良心と呼ぶにはもっと能動的な、魂の根源的な動き。 そして、そんな感情などなく残酷になれる人間たちもいるのだという冷徹な表現は、お前はどうなのかと問いかけてくるようでもある。 服従することに耐えてきた人間はそれが一つの生き方になってしまう、あきらめが心に忍び入れば意識がなくなりゆっくりと死んで降伏が完全なものになる、と繰り返し、「あきらめ、無力感を植え付け受動的に黙認させようとする力」に言及しながら、人間はそのようにしては本当には生きられないのだ、そして他者の尊厳を無視し支配して生きようとすればその人間の中には最後は何もないのだということをひとりひとりの行動と生きざまの中から訴えてくる作者の強いメッセージが感じられる。 長い作品だがボリュームにふさわしい力の入った一作で、ヴァランダーシリーズの中でもベストに入るものだと思います。 | ||||
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4日に届きました。 商品も良好でした。 ありがとうございました。 | ||||
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スウェーデンの田舎町で、不動産業の女性が殺され・・・というお話。 今回も単なる殺人事件かと思ったら、国家を跨ぐ謀略が発覚し・・・というスケールの大きい警察小説でした。 あんまり深く書くとネタバレになるので書けませんが、南アとロシアとスウェーデンの思惑が交錯する国際謀略小説風の作品でした。 南アとロシアですが、ソ連の時代に金本位制で裏取引があったそうで、そういう時代の過去で繋がっていたのが、これが書かれた90年代にも波及していたのかなぁとか思いました。 色々な警察小説の所で書いている気がしますが、最近のこのジャンルは毎回巨大な謀略にいきつかないといけないみたいで、大変そうだなとかとも思います。本作もページ数も700ページを超える大作になっております。 著者の方はもう亡くなったそうで、心よりお悔やみを申し上げます。ありがとうございます。今後の作品も楽しみます。 スケールの大きい警察小説の傑作。是非ご一読を。 | ||||
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