イタリアン・シューズ
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点6.50pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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ミステリーというより人間ドラマ感が強いです。 | ||||
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刑事ヴァランダー・シリーズで知られるマンケルのノン・シリーズ作品。恋人を捨て、世の中を捨てて一人孤島に暮らす男が否応なく過去に連れ戻され、自分が歩んできた道を苦悩とともに振り返るヒューマンドラマである。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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ヘニング・マンケルの作品で有名なのは『刑事ヴァランダー』全18巻で、したがって彼は「推理作家」というカテゴリーに入れられているが、どうして『イタリアン・シューズ』とその実質的な続編である『スウェーディッシュ・ブーツ』は存在と時間あるいは存在と無を意識した作品で、彼自身「いずれ推理作家がノーベル文学賞を取る」と言ったのは「・・の誰かが」ではなく「自分が」ということではなかったか思わせるぐらいで、この二つの非推理作品はその方向への決意を示したものではなかったか。とすればそこに至る前に逝ってしまったのは惜しい。一方、こちらは実際にノーベル文学賞を受賞した川端康成の『眠れる美女』と比較してみると、ほぼ同じ歳の作者が、同じ老年に向き合った作品として、あまりに違うものになっている。これを文化の違いと言ってしまえばそれまでだが、国柄、習慣、伝統その他地域的な個別事情とは別に人間として見たときに、「フレドリック・ヴェリーン」と「江口老人」の違いは何なのだろうと思ってしまう。二人の「老人」に共通するのは年相応の性的能力の衰えに対する寂寥と、なお消え去らない女性への関心であるが、その精神的健康さの度合いは比べ物にならない。後者(江口老人)はまさに死者と同衾する死者同然の者だが前者は今生きて時間をたぐっている存在そのものである。その川端を美意識という観点から盲目的に評価する向きもあるが、そういう人には是非この『イタリアン・シューズ』と『スウェーディッシュ・ブーツ』を読ませたい。美とはまさに存在の美しさであり力強さであり、優しさであることを知らせるために。 | ||||
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スウェーデンの小島で、孤独に暮らす元医師のフレデリック、66歳。取り返しのつかない医療ミスを犯した後、島に来て12年になる。共に暮らすのは犬と猫だけ。会話するのは毎日2時頃にやってくる郵便配達人のヤンソンだけ。そんな冬の日、37年前に捨てた恋人ハリエットが訪ねてくる。これをきっかけにフレデリックの人生の時計が再び動き出すのだった… スウェーデンの冬の荒涼とした白い風景と主人公の悲哀がかさなり、胸にせまる。フレデリックが様々な人と交流して行く中、コミカルなシーンもはさまれていく。続編「スウェーディッシュ・ブーツ」があるようなので、そちらもこれから読むことに決めた。 | ||||
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気晴らしにミステリー小説を読んでみようと思い、ヘニング・マンケルの本を内容も調べずに入手してしまいました。 読み始めて本書がミステリー小説ではないことに気が付き、訳者あとがきを読んでみたら、ヘニング・マンケルは、クルト・ヴァランダー警部シリーズから離れて小説を書くようになったと記してありました。 評者は、昔読んで面白かった『目くらましの道』などと同じような内容の本を期待していたから『イタリアン・シューズ』は、気晴らしになるような本ではなかったのです。 小説としての評価は優れていると思いましたが、内容が「Serious」なので気分が落ち込んでしまったのです。 柳沢由実子さんの優れた翻訳を高く評価したいと追記しておきたい。 | ||||
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ヴァランダーは殺人事件の謎を追っていたが、本作の主人公は自分の人生という謎を追っているのだ。読後感はヴァランダーシリーズと一緒である。笑っていいところなのかどうか分かりにくい笑いどころが随所にある点も、主人公がしょっちゅう「こうするべきだと思った。が、そうしなかった」と思っているところは『タンゴ・ステップ』と一緒である。多分ヘニング・マンケルがそういう人なんだろう。 本作は一応いい感じに終わるが、続編はあの家が火事になるところから始まるらしい。ええー?!と思うが、マンケルは、人生に最終回はないと思っていたのかもしれない。ただ、時間切れ、みたいに終わるだけだと。ヴァランダーの終わり方もそんな感じだ。 58歳で66歳の主人公を書き、主人公より一年多く生きただけのマンケルは、死んでみてどう思っただろう。きいてみたくなる。 | ||||
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過去にオリンピック級の水泳選手の腕を誤って切断してしまって、引退した老いた外科医。 舞台は、北欧だ。北欧といえばサウナ。この外科医は、サウナに入らず冬の凍った海に穴を開けて浸かるのを日課にしている。贖罪の日々だが一人で島に移住し一切の人との交わりを絶っている。医療過誤の前には、フィアンセを何の前触れもなく捨てて逃亡したこともある。物語は、そのフィアンセが凍った海を渡って再会するところから始まるのだ。 とにかく独りよがりで逃亡癖のある外科医だが、癌で余命いくばくもないフィアンセや、問題児を引き取ってボランティアをする片腕の水泳選手との望まぬ交流が再開し様々な事件が起こる。そのストーリー展開は、さながらジェットコースターのような興奮に溢れている。森の中にひっそりと住むローマ法王の靴を作る職人、芸術家、愛、信頼、孤独、自殺、病との闘い、様々なキーワードが散りばめられる。 イタリアンシューズは、その最高の靴職人が、外科医とフィアンセとの娘のために一年かけて作った靴だ。外科医が、フィアンセを捨ててから娘は生まれたので外科医との再会も劇的だった。 読んだ時あとに感無量の溜め息のでる作品だった。 | ||||
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