手/ヴァランダーの世界
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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ヴァランダー・シリーズの最終作(書かれたのは最後ではないが)となる未訳の中編小説と、著者自身によるシリーズの説明と索引を併録した「ヴァランダー解題」である。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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「刑事ヴァランダー」シリーズの拾遺という感じ。中編1つ(時間的には「苦悩する男」の前の事件)と、シリーズの事件、登場人物、場所などの索引的な一覧。 とても興味深かったのは著者がこのシリーズのそもそもの成り立ちを書いた文章で、拾い上げると 「帰国してすぐに私は、留守にしていた半年の間に人種差別が不気味に広まっていることに気づいた。」「数ヶ月後に、私はレイシズムについて書く決心をした。」「どのような物語にしようかと考えているうちに、犯罪小説が自然だろうということに行き着いた。単純に、私の考えでは人種差別は犯罪であるからだ。」 とある。いままでヴァランダー・シリーズには人種差別をはじめ種々の社会問題が取り上げられていて「この作家は社会的な意識が強いな」とは思っていたのだけれど、順番が逆で、社会問題が先で、ヴァランダーは後に生まれたのだ。もう一度、そういうことを踏まえてシリーズを読み返してみようかとも思う。 ひとつ残念なのは、索引的な一覧に「ヴァランダーが飲んだ酒」が紹介されていないこと。あんなに飲んで、しばしば酔っ払っているのに。 | ||||
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亡くなくなってしまい、もう会えないと思っていましたが、思いがけなくも出会った感じがします。中編ですので物足りなくはありますが、間違いなくヴァランダーの世界です。ありがとうございます。 | ||||
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ヘニング・マンデルの刑事ヴアランダーを主人公にしたスウェーデンの南部の小さな街のイースター暑で起きる事件がマンデルの社会問題に関する視点を交え、最初は酒に溺れ家族を失う哀れな刑事の物語から新しい恋が生まれ、そして後半は刑事の道を選ぶ娘との苦い交流を描いて、各巻ごとに起きる事件の解決の物語としても面白く大好きだったが、後半で著者マンデルが亡くなってしまうという悲しい事実を受け容れなくなって、このところの海外小説の売れ行きの悪さから、マンデルがヴランダーシリーズを完結していたが日本で最後まで翻訳書がでるだろうかとハラハラしていたが関係者の努力なのか、多くの読者が居てくれたからなのか日本でも最後まで出版された。さらに著者がこれだけ長かったヴアランダーシリーズの読者のために辞典まで作成してくれていて、そのおまけにシリーズにはないヴァランダーの余韻の物語を加えてくれているのが本書だ。至れり尽くせりのマンデルに感謝するとともに最後に思わぬヴァランダーと再会も果たし、これが最後なんだと確認しながら楽しんだ。マンデルとずっと翻訳の労を執って下さった柳沢由美子さんにも心からのお礼を申し上げておきたい。長い間、厳しいスウェーデンの風景と決してアメリカのハードボイルド小説や警察小説では味わえないヴァランダーの生き方を大事に楽しめたのはお二人の頑張りのお陰だった。いつかこの小説に出てくる街に足を運んでみたいものだという夢を持っているが、果たして実現できるかどうか・・・・。 | ||||
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中編「手」は刑事ヴァランダーシリーズの最終作である。といっても、かなり前にオランダで宣伝用に書かれたものを出版したとされ、作中の年代としては『苦悩する男』の前の時期に当たる。 物語はヴァランダー自身が家を買う下見に行って人骨を発見するところから始まる。人骨は50年も前の殺人事件によるものであり、被害者は誰かという困難な捜査が描かれるが、やがて主題が第2次世界大戦中の難民・移民問題であることが明らかになっていく。シリーズ第1作の『殺人者の顔』が移民問題を扱ったのと呼応している。 人生に疲れたベテラン刑事ヴァランダー、悩み多き同僚のマーティンソン、気むずかしいが信頼の厚い鑑識のニーベリ、父親と対立しつつも刑事として活躍し始めた娘のリンダ等々のおなじみの配役が、それぞれ人間味あふれる存在として描き分けられているのもこのシリーズの大きな魅力である。 そして、ヴァランダーがルール違反の単独行動で危機に陥るのもおなじみの展開と言っていい。 本書の後半は著者ヘニング・マンケルによるヴァランダーシリーズの解題とガイダンスである。 著者によると、1990年に長期間アフリカに滞在していたときに「劇的にレイシズムが強まっている」と感じ、「レイシズムについて書く決心をした」ことがシリーズの端緒なのだという。それが上記の第1作『殺人者の顔』になるのである。 このように著者の強い正義感と社会問題への関心を殺人事件の捜査という形で反映させてきたのがこのシリーズなのであり、移民問題だけではなく、児童虐待や政治的陰謀、経済犯罪等が事件の背景となる。 著作ガイダンスでは、全著作の著者自身による簡潔な紹介とヴァランダーの人物像、登場人物や物語の舞台となった場所が目録として詳しく書かれている。シリーズの読者はすでに知っていることばかりだが、これから読む人には役に立つだろう。目録はマニアックであり、テレビドラマにもなったこのシリーズがいかに人気があったかを示すものといえる。 | ||||
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ヴァランダーシリーズ実質最終作。ストーリーはどんでん返しがあるのではなく地道な捜査の末にたどり着く過去の事件の真相解明。もうこれでヴァランダーの作品はないと思うと感慨深いものがある。おまけとして作者ヘニングマンケル自身による詳細な解説と登場人物や地名の索引があるのはファンにとってのお楽しみ。 | ||||
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