誰よりも狙われた男
- スパイ小説 (146)
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ジョン・ル・カレが2008年に発表した21作目の長編。1931年生まれなので、77歳での作品なのだが、老いをまったく感じさせない、エキサイティングな国際謀略小説に仕上がっている。 | ||||
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本作をかいつまんで言えば・・・・ ドイツのハンブルクにふらりと現れた謎の若者イッサを、イスラムの過激派かも知れないと感じつつも、地元ドイツの慈善団体の女性弁護士アナベル・リヒターやプライベートバンク経営者トミー・ブルー、諜報部員ギュンター・バッハマン等のドイツ側の人たちが何とかしてあげようと奮闘する。しかし、9.11以降の「テロとの戦い」という大義名分のもとに米 (CIA) およびイギリスの諜報部が、かなり強引に乗り込んできて・・・・という内容。 イスラムテロ vs 資本主義諸国という構図は『ピルグリム』(テリー・ヘイズ) や『スパイは泳ぎつづける』(ヨアキム・ザンデル) に近いものがあります。ただし、イスラム側からやってきた謎の若者が意外に善良な人物であるという点で『スパイは泳ぎつづける』のほうが本作『誰よりも狙われた男』により近いようです。 スパイ小説の巨匠 ル・カレ 77歳の作品ですが、例によって各キャラクターの人物造形がしっかりしており、ウイットに富んだ文体と巧みなストーリー展開で、読み手をグイグイ引っ張ってゆく手腕は全く衰えを見せていません。本作は2014年に映画化され、映画版も高い評価を得たようです。 本作にはもちろんミステリー的要素もあります。北ドイツの大都会ハンブルクにふらりと現れた若者イッサが、まずもって謎です。もちろん彼の素性も次第々々に明らかになってはゆくんですが〈台風の目〉的な存在であることは最後まで変わりません。 そして、弁護士アナベルや銀行家ブルー、諜報関係者バッハマン等々おおぜいの人々が謎の若者イッサをめぐって、人権擁護 & 覇権争い & 争奪戦を繰り広げるあたりは、巨匠ル・カレの面目躍如です。 私は2015年につづいて8年ぶり2度目の読了でしたが、最後の最後まで飽きさせませんでした。 | ||||
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彼の小説は、静かな展開で何事もなかったかのように進んでいたのに、急展開というか、かなり強引に物語が変わるので、静かな物語の展開にうんざりするほど。寒い国から帰ってきたスパイ以外はほぼ同じような展開で、本が終わる寸前に前触れ無しに変わってそのまま終わるので、物足りないというか、え?これで終わりという感じです。せめて中盤で急展開してその説明でもあればいいのだが。 | ||||
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評者は、ル・カレのスマイリー・シリーズまでほとんどの作品を読み終え、最近、本書と同じテロをテーマにした『繊細な真実』(2013年)を読んだばかりである。 読んでいなかった本作『誰よりも狙われた男』(2008年)を、遅まきながら入手して読むことにした。 ル・カレは、『繊細な真実』とは少し内容を変えて本作ではイスラム過激派のテロリストを捜査することをテーマにしている。 2001年9月11日、ニューヨークの世界貿易センタービルへハイジャック機が突入してビルが崩壊したテロ後、マドリード列車爆破テロ事件(2004年)、イギリスの首都ロンドンにおいて地下鉄の3か所がほぼ同時に、その約1時間後にバスが爆破され、56人が死亡したテロ事件(2005年)と続き世界を震撼させた。 9・11テロの実行犯であった首謀者モハメド・アタを中心とするイスラム過激派グループは、本書の舞台であるドイツのハンブルグに拠点をもって計画を練ってアメリカへ行ってこのテロを行ったのである。 この小説の主人公ともいえるドイツ連邦憲法擁護庁外資買収課のベテラン捜査官ギュンター・バッハマンは、このイスラム過激派グループがハンブルグを拠点にしていてドイツの都市ではこのようなテロを行っていないことと、なぜ彼ら過激派を事前に探知できなかったのかと忸怩たる思いを持っていた。 巨額なブラックマネーの相続者としてハンブルグに逃亡してきたイッサという若者から物語は始まるが、このブラックマネーを預かる銀行主トミー・ブルー、そしてイッサを助ける弁護士のアナベル・リヒターたちを交錯してストーリーは展開してゆく。 このブラックマネーを餌にしてイスラム過激派の影の主導者ファイサル・アブドゥラ(イスラム学者)を拘束し利用しようと画策するギュンター・バッハマンに、イギリスMI6、そして何故か知らぬ間にアメリカのCIAまでも首を突っ込んでくる。 9・11の悪夢から過激派狩りに暴走していたアメリカらしい結末であっけなくこの物語を終えている。 バッハマンとアナベル、そしてトミー・ブルーの心中いかばかりかと、読者に思わせながらル・カレらしいいエンディングではあった。 が、昨年読んだ『地下道の鳩―ジョン・ル・カレ回想録』(2016年)が抜群に面白かったので本作にたいして残念ながらル・カレにしては出来の良くない作品だと評価(星3)してしまいました。 | ||||
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ジョン・ル・カレの作品では”寒い国から帰ったスパイ”が最高。ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ、はDVD が分かり易い。(英国BBC・・・アレック・ギネス主演と、ゲーリー・オールドマン主演の一般市販品共に所有しているが、後者がBetterだ)の諸氏はいかがでしょうか。彼の次作が待たれる。 | ||||
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ルカレの作品とのことで読んでみました。 全くの期待外れで面白くもなく、きつい言い方になるが、時間の無駄でした。 ルカの作品は初期、寒い国から帰ってきたスパイからずっと読んできましたが、リトルドラマーガールから少し作風が変わったように思います。 冷戦時代の物語は非常に面白いものでしたが、冷戦以降の物語はもう一つといったところでしょうか。 この作品も狙われた男がどれほどの価値のある男なのかはっきりせず、ましてやテロリストでもなく、それほど問題にする男なのでしょうか。 また、弁護士の登場も、わからない。最後の結末に至っては、あまりにもお粗末です。 初期のころの作品、とくにソビエト(ロシア)とのスパイ活動、戦いにおいては非常に素晴らしい作品が多くありますが、もうルは力量がなくなったのではと思います。 | ||||
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