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誰よりも狙われた男
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誰よりも狙われた男の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全20件 1~20 1/1ページ
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本作をかいつまんで言えば・・・・ ドイツのハンブルクにふらりと現れた謎の若者イッサを、イスラムの過激派かも知れないと感じつつも、地元ドイツの慈善団体の女性弁護士アナベル・リヒターやプライベートバンク経営者トミー・ブルー、諜報部員ギュンター・バッハマン等のドイツ側の人たちが何とかしてあげようと奮闘する。しかし、9.11以降の「テロとの戦い」という大義名分のもとに米 (CIA) およびイギリスの諜報部が、かなり強引に乗り込んできて・・・・という内容。 イスラムテロ vs 資本主義諸国という構図は『ピルグリム』(テリー・ヘイズ) や『スパイは泳ぎつづける』(ヨアキム・ザンデル) に近いものがあります。ただし、イスラム側からやってきた謎の若者が意外に善良な人物であるという点で『スパイは泳ぎつづける』のほうが本作『誰よりも狙われた男』により近いようです。 スパイ小説の巨匠 ル・カレ 77歳の作品ですが、例によって各キャラクターの人物造形がしっかりしており、ウイットに富んだ文体と巧みなストーリー展開で、読み手をグイグイ引っ張ってゆく手腕は全く衰えを見せていません。本作は2014年に映画化され、映画版も高い評価を得たようです。 本作にはもちろんミステリー的要素もあります。北ドイツの大都会ハンブルクにふらりと現れた若者イッサが、まずもって謎です。もちろん彼の素性も次第々々に明らかになってはゆくんですが〈台風の目〉的な存在であることは最後まで変わりません。 そして、弁護士アナベルや銀行家ブルー、諜報関係者バッハマン等々おおぜいの人々が謎の若者イッサをめぐって、人権擁護 & 覇権争い & 争奪戦を繰り広げるあたりは、巨匠ル・カレの面目躍如です。 私は2015年につづいて8年ぶり2度目の読了でしたが、最後の最後まで飽きさせませんでした。 | ||||
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彼の小説は、静かな展開で何事もなかったかのように進んでいたのに、急展開というか、かなり強引に物語が変わるので、静かな物語の展開にうんざりするほど。寒い国から帰ってきたスパイ以外はほぼ同じような展開で、本が終わる寸前に前触れ無しに変わってそのまま終わるので、物足りないというか、え?これで終わりという感じです。せめて中盤で急展開してその説明でもあればいいのだが。 | ||||
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評者は、ル・カレのスマイリー・シリーズまでほとんどの作品を読み終え、最近、本書と同じテロをテーマにした『繊細な真実』(2013年)を読んだばかりである。 読んでいなかった本作『誰よりも狙われた男』(2008年)を、遅まきながら入手して読むことにした。 ル・カレは、『繊細な真実』とは少し内容を変えて本作ではイスラム過激派のテロリストを捜査することをテーマにしている。 2001年9月11日、ニューヨークの世界貿易センタービルへハイジャック機が突入してビルが崩壊したテロ後、マドリード列車爆破テロ事件(2004年)、イギリスの首都ロンドンにおいて地下鉄の3か所がほぼ同時に、その約1時間後にバスが爆破され、56人が死亡したテロ事件(2005年)と続き世界を震撼させた。 9・11テロの実行犯であった首謀者モハメド・アタを中心とするイスラム過激派グループは、本書の舞台であるドイツのハンブルグに拠点をもって計画を練ってアメリカへ行ってこのテロを行ったのである。 この小説の主人公ともいえるドイツ連邦憲法擁護庁外資買収課のベテラン捜査官ギュンター・バッハマンは、このイスラム過激派グループがハンブルグを拠点にしていてドイツの都市ではこのようなテロを行っていないことと、なぜ彼ら過激派を事前に探知できなかったのかと忸怩たる思いを持っていた。 巨額なブラックマネーの相続者としてハンブルグに逃亡してきたイッサという若者から物語は始まるが、このブラックマネーを預かる銀行主トミー・ブルー、そしてイッサを助ける弁護士のアナベル・リヒターたちを交錯してストーリーは展開してゆく。 このブラックマネーを餌にしてイスラム過激派の影の主導者ファイサル・アブドゥラ(イスラム学者)を拘束し利用しようと画策するギュンター・バッハマンに、イギリスMI6、そして何故か知らぬ間にアメリカのCIAまでも首を突っ込んでくる。 9・11の悪夢から過激派狩りに暴走していたアメリカらしい結末であっけなくこの物語を終えている。 バッハマンとアナベル、そしてトミー・ブルーの心中いかばかりかと、読者に思わせながらル・カレらしいいエンディングではあった。 が、昨年読んだ『地下道の鳩―ジョン・ル・カレ回想録』(2016年)が抜群に面白かったので本作にたいして残念ながらル・カレにしては出来の良くない作品だと評価(星3)してしまいました。 | ||||
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ジョン・ル・カレの作品では”寒い国から帰ったスパイ”が最高。ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ、はDVD が分かり易い。(英国BBC・・・アレック・ギネス主演と、ゲーリー・オールドマン主演の一般市販品共に所有しているが、後者がBetterだ)の諸氏はいかがでしょうか。彼の次作が待たれる。 | ||||
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ルカレの作品とのことで読んでみました。 全くの期待外れで面白くもなく、きつい言い方になるが、時間の無駄でした。 ルカの作品は初期、寒い国から帰ってきたスパイからずっと読んできましたが、リトルドラマーガールから少し作風が変わったように思います。 冷戦時代の物語は非常に面白いものでしたが、冷戦以降の物語はもう一つといったところでしょうか。 この作品も狙われた男がどれほどの価値のある男なのかはっきりせず、ましてやテロリストでもなく、それほど問題にする男なのでしょうか。 また、弁護士の登場も、わからない。最後の結末に至っては、あまりにもお粗末です。 初期のころの作品、とくにソビエト(ロシア)とのスパイ活動、戦いにおいては非常に素晴らしい作品が多くありますが、もうルは力量がなくなったのではと思います。 | ||||
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イアン フレミング全盛の頃、”寒い国から”を読んで全く違った世界が凄く面白かった。 それ以来のファンですが、読んでる自分が歳取ったと言う事でしょうか? | ||||
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ジョン・ル・カレは現代物を書いては全然面白くない。 年を取って駄作を書くようになった。 昔の東西冷戦時代の作品は素晴らしかったのに・・・ | ||||
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舞台はル・カレ作品ではおなじみのドイツ、9.11実行犯が暮らしていたハンブルク(著者は外交官時代にハンブルクに駐在経験あり)。 一人のイスラム系の青年が密入国し、トルコ人親子に助けを求める。彼には拷問の跡があり、精神錯乱の兆候がった。そんな彼を助けようとする理想主義的な弁護士、彼に遺されたとおぼしき財産を預かる老銀行家、彼を利用しようと企むドイツ諜報部の工作員。そこに忍び寄るイギリスとアメリカの影。青年を中心にして各々の思惑が絡み合う…。 本作中では、冷戦崩壊後のアメリカの一強支配時代、9.11以降ヒステリックに叫ばれた「疑わしきは罰せよ」の精神が蔓延する時代における諜報の世界が描かれています。そこでは拮抗した心理戦などという高度な駆け引きはすでにありません。結末は、現実がそうであるかのように不条理で、救いはまったくありません。 ル・カレ作品は複数の登場人物が様々な視点から同時進行していくのが特徴ですが、本書でもそれは顕在です。それでも以前のように緊張感ある鍔迫合いがないので物足りなさが残ります。 ひと昔前の作家グレアム・グリーンであればアメリカに対する素直な怒りが感じられたけれど、本作の結末からはそれ以上に西欧列強のアメリカに対する無力感が強くうかがえました。そこからは現代イギリスの知的エリートの複雑な心情が察せられました。 | ||||
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全く緩慢で、初期作のハラハラ、ドキドキ感は全く無い。 筆力が無いので年寄りの愚痴を読んでいる様です。 作家の旬を痛切に感じます。 悲しいなー。 | ||||
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他の方のレビューにもあるように、情報機関の非情さや汚さをここまで書けるのはさすがジョン・ル・カレの真骨頂だろう。 しかし、テロリストと呼ぶにはあまりにも大げさな、この程度の男を各国の情報機関がそこまで執拗に狙う必要がどこにあるのか。狙われる男の正体がわかってガッカリというか、だまされたような感じだ。 単に、糞ったれアメリカの復讐心や、いまや落ちぶれてアメリカの腰巾着に成り下がってしまった小英帝国がそれに迎合したという話じゃないか。もしもル・カレの真意が、落ちぶれた英国の情けなさとアメリカの糞加減を書きたかったのであれば星四つにしてもいいのだが。 | ||||
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少し読みました。 展開が少し、かったるい。 最後まで読めるか・・・・。 | ||||
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練りに練られたストーリー。 本当に良くできた文章や展開を読んでいく楽しさが感じられます。 | ||||
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文庫が出たので購入。またなんとも言えない切ない物語でした。 いや傑作です。 | ||||
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登場人物の名前がいっぱい出てくるので混乱する。同じ人物が複数の呼び名で書かれるのでますますややこしい。昔のロシアの小説を読んでいるみたいだ。とにかくプロットが次から次へと方向変換する。その中でも主要な登場人物の造型は一貫している。複雑なマネーの動きやイスラムの深淵がさりげなく披露される。読むのには多少のエネルギーが要るが傑作だ。 | ||||
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ルカレ、期待以上に面白かったです。夢中になって、読みました。 | ||||
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ある日みすぼらしい青年がハンブルグにたどり着く。彼はトルコ人一家にかくまわれた後、ドイツの女性弁護士アナベルの信念と正義心のおかげで、父が莫大な金を預けているという英国系銀行の頭取トミー・ブルーに会うことが出来る。この青年イッサの目的は一つ、この金を世界の抑圧された民族の為に使うことであり、仲介として、ドクトル・アブドラを使おうとする。しかし、イッサはチェチェンの過激派として指名手配されている。ドイツの諜報組織だけでなく、英国、そして直接利害関係者のいないと思われる米国の諜報組織が本件に絡んでくる。この金自身が結構汚い金であり、また仲介するドクトル・アブドラも「95%は正しいことをしているが、5%は分からない」という人間だ。3カ国の諜報部隊は、このアブドラとイッサを逮捕したいと躍起になる。「サラマンダーは炎の中に」でイラクを攻撃するために、無理やり大義を作り上げる米国のネオコンを強くj糾弾したルカレだが、今回のラスト30ページの急展開においても抑圧される中東やチェチェンの人たちへのルカレの同情と愛情があふれ、またまた米国への激しい怒りが彷彿するものとなる。相変わらず、結末は読者に迎合することのないものとなっている。まるで最後のページに「続く」という言葉が出てもおかしくないような結末でもある。既に映画化されているらしいが、果たして映画ではどのような結末にしているのだろうかと思ってしまう。いい意味では読後感たっぷりなのではあるが。 | ||||
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ル・カレの小説としては、わりと読みやすいと思いました。人の心理の書き方が巧みです。本当にスパイ活動に巻き込まれたら、普通の人はこのような心理になるのだろうな、と思わせられます。一方で、私は、この本のほとんどの登場人物の人物像がわかりやすい、或いは納得できるのに対して、中心人物の1人であるイッサの人物像、性格づけがわかりにくいと思いました。そのため、イッサと他の登場人物の人間関係が深まる経緯も、物語の筋として納得するしかない、という印象でした。ル・カレ自身の属する文化ではなく、作り上げた人物像であるためなのだろうか、と思います。スパイ小説をいろいろ読んだ方ならば、他の方々がレビューに書かれているような観点から高く評価できるのでしょう。スパイ小説は各作家の代表作を読んでいるかどうかという程度の私のような者としては、導入部などは風景が見えてきそうな描き方でおもしろそうに思えるので、物語としてもっと波乱万丈とまでは言わないまでも、せめてそのような書き方で書き込んでくれたら、と思いました。 | ||||
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ジョンルカレ 偉大な作家 大きな力に取り込まれていく様子が辛かった。 ハッピーエンドが好きな人には向かないかな。 フィリップシーモアホフマンの映画を楽しみにしています。 | ||||
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いやあ、巨匠健在です! 他の方も仰せのとおり、故フィリップ・シーモア・ホフマン主演の未公開映画の 原作と知って、俄然興味をひかれて手にとったが、これは面白かった。 先日の記録的な雪の週末、一気に読み切ってしまった。 舞台の良さ(ハンブルク)、ドイツ、イギリス、アメリカの諜報組織と、 かつてのソ連赤軍&ロシアマフィアが絡み合う構成の巧みさ。 このあたりは、ル・カレにとってはもちろん自家薬籠中のものだろう。 だが、20世紀の冷戦時代が過去のものになりながら、“国際テロリスト” という新たな標的の前で、21世紀のいま過去と同じように、 国益なのかメンツなのか、エゴと野心をむき出しにする諜報員たちの個性 (ドイツ人はドイツ人らしく、英国人、米国人はまさに彼等らしく!) を活写する筆力には、恐れ入るしかない。 とくに、ドイツ諜報組織内部の対立と、イギリスのやり口のイヤらしさは、 読み手の肺腑をえぐる(彼らを出し抜くもう一つの大国の野蛮さに憤る以上に!)。 さらに、女性主人公(慈善団体の弁護士)の造型のみずみずしさ。 彼女に惹かれていく銀行経営者の人物像の愛すべき愚かさ。すばらしい。 そして、チェチエン人青年の発することばの切なさ。 ここに、訳者の日本語力がもっとも発揮されていると言えるかも知れない。 その、非欧米的な発想と発言に、ドイツ人の弁護士だけでなく(疑似欧米人の) われわれ読者もとまどい、いらだちを感じながら、最後まで関心が途切れない。 善なのか悪なのか、無垢なのか有害なのか、最後まで。 なお、邦題はスパイ小説の巨匠のために用意された「いかにも」のタイトル。 とくに悪いとは思いませんが、原題の“A Most Wanted Man”の含意にしびれます。 最後に、グッときた(いくつもある章句のうち)一節を引用します。 「すべての宗教は悪人による誤用から逃れられない。 多様性は神がわれわれに授けたものであり、われわれはそのことを称えるべきである」 (本書p.279) | ||||
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ル・カレの作品の中では比較的短めで、展開も文章もわかりやすいエンターテイメント。 人物も魅力的な善人が多く登場し、特にドイツのスパイたちは、かつてル・カレのスパイ小説を彩った往年のメンバーたちを彷彿とさせる。 舞台もドイツのハンブルグということで、70年代の冷戦時代のノスタルジックな雰囲気を醸し出していて嬉しい。 が、相変わらずスパイ同士の会談は息もつかせぬほどスリリングで、物語の後半に進むに従ってページを繰る手を休ませない。 クライマックスは「寒い国からきたスパイ」に似て、いつもながら一筋縄にはいかないほろ苦さとシニカルさに満ちている。 今回のテーマは、大国が掲げる「テロとの戦い」という疑心暗鬼の暴走が、無実の人々とその良心を蹂躙していく様をリアルに描くことにある。 主人公たちの出自や葛藤は、非常に今日的でドキュメンタリーのように説得力があった。 今年公開の映画では銀行家が私の好きなウィレム・デフォー、ドイツのスパイを先頃亡くなったフィリップ・シーモア・ホフマンが演じており、監督はアイルランドのバンドU2の写真やヴィデオでおなじみのアントン・コービンだという。1日でも早く日本で公開されることを願っている。 | ||||
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